第69話 天使の雫

「よーし!今日もゲームやるぞー」


昨日はちゃんと夜更かしすることなく寝れたので授業中に眠くなることはなかった。


「天使さんの言われた素材は全部集めたから天使の神殿に向かおう!」


いや、まだ1つ素材が残ってるんだっけ?えっと……神秘の雫かぁ、これまたレアそうな名前してるね。


3つの素材を集めたら教えてくれるって言ってたけどもうレアドロップはこりごりだよ……。


私はスコーンに乗って天使の神殿へと向かった。


「やっぱり綺麗だよね、この神殿」


なんていうか神秘的で……クエスト終わった後なら壊してもいいかな?


「天使さん!素材持ってきたよ」


神殿の中に入ると大きな白い翼を広げた天使さんが佇んでいた。


「お待ちしておりました」


天使さんは私の前まで飛んできてぺこりとお辞儀をする。


「よく素材を集めてくれました。では最後の素材の在りかをお教えします」


レアドロップ素材じゃないといいなー。


そんなこと思っていると天使さんの手のひらで何かが光っているのが見えた。


「こちらが残り1つの素材……神秘の雫です」


なんと光っているものは神秘の雫だった。


なんで持ってるのー!え、これもしかして貰えたりする?


凄く光ってるし宝石みたいで綺麗だね。


「私と戦ってくれたらこの神秘の雫をあげます」


まあ、そんな簡単に貰えるわけがないよね……。


めっちゃ強そうなんだけど悪魔レベルに強いのはやめてよ?


「ふふ、大丈夫ですよ。ちゃんと人間レベルに強さを下げますので」


良かった、そうだよね。そもそも天使さんは力を失ってるから悪魔に勝てないって言ってたじゃん。


悪魔より弱いなら勝てるはず。


「始めても宜しいでしょうか?何か準備が必要なら言ってくださいね」

「大丈夫、準備おっけーだよ!」


心配なのは破壊者のクールタイムがまだって事くらいだし手加減してくれるならそんなに苦戦はしないでしょ。


「では始めましょうか……」


名もなき天使 Lv40


ん?普通に強くない?!


ミイラとかドラゴンよりも全然レベルが高いんだけど?!これで手加減してくれてるの?!


「来ないのですか?では私から行かせていただきます!」


どこからか出現した大きな槍を構えて私に飛んで向かってくる。


「飛ぶのずるくないー!」


私は驚きながらも槍の突き刺しを避ける。


普通にあの白い翼を広げながら飛んできたんだけど!


「かなり素早いですね、これはどうですか?」

「わ!速っ!」


天使さんが連続で攻撃してくる。


「いっ!」


避けきれず私の横腹に槍が突き刺さる。


「人間にはかなりの痛みでしょう、降参しますか?」

「まさか、まだこれからだよ」


突き刺さっている槍を思いっきり掴み離さないようにする。


「これで槍、使えないね」

「やられました」


天使さんの筋力は私よりも低いみたいで天使さんが槍を引っこ抜こうとするが私が阻止していた。


横腹がめっちゃ痛いけどなんとか手に力を入れて槍を抜かせないようにする。


天使さんは諦めたのか槍から手を離して私から距離を取った。


「うぐっ!」


私は横腹に刺さっている槍を引っこ抜いて槍を思いっきりへし折る。


そして足元に落としてバキバキに踏み潰す。


これで完全に槍は使えなくなったね!


「《風龍の加護》!」


俊敏をあげて天使さんに向かって近づく。


「速い!」


予想を超える速さだったのか天使さんは急いで飛んで避けようとするが私の拳が当たる方が先だった。


「がはっ!」


壁に叩きつけられた天使さんに私は追いつき短剣を喉に突き刺そうとする。


バチッ


「え……?」


何故か短剣が天使さんの喉元で止まってしまった。


何か壁みたいなのに当たったような感覚だった。


「ふふ、降参です。まさかこんなに早く決着がつくとは思いませんでした」

「終わり?まだ勝ってないよ?」


なんか戦いは終わりらしい、高レベルの割にはあんまり強くなかったね。


「私と戦ってもらうだけで勝てとは言っておりませんよ、正直負けないと思っておりましたし」

「そうなんだ、じゃあこれで最後の素材が揃った?」


なんか最後は呆気ない感じだね、ドラゴンの血液の方が手に入れるのに苦労したよ。


「はい、これで悪魔を弱体化させるアイテムが作れます。最後に戦ってもらったのはあなたが弱体化した悪魔に勝てるかどうかの最終試験みたいな感じです」


弱体化前の悪魔を倒してるから勝てるに決まってんじゃん!え、弱体化したらさっきの天使さんくらいの強さなの?よっわ。


私を散々痛ぶってくれたお返しに弱体化した悪魔をボッコボコにしちゃお!


「では作成します……」


私が集めた素材たちが魔法の瓶の中に入っていく。


天使さんが手のひらから謎の光を魔法の瓶に向かって放ち始め魔法の瓶自体もピカピカと光り始める。


「……出来ました、天使の雫です」


天使さんに魔法の瓶を渡された、天使の雫というらしい。


魔法の瓶の中には綺麗に光っている謎の水みたいなのが入っていてとても綺麗だった。


「これを悪魔に使用すれば弱体化するはずです」


なるほど!ぶつければいいんだね!


「じゃあ、早速悪魔と再戦してくるよ!」

「あなたの無事を祈ってお待ちしております」


『クエスト"天使のお願い"をクリアしました』

『報酬……天使の雫』


私は街に戻って例の攫われた娘の母親を探して回った。

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