第64話 居眠りモモ

「モモ〜おっはよ!」

「……おはよ」


朝、登校していると後ろから紗由佳が抱きついてきた。


いつもなら避けるか抱きつかれてもすぐに振り解こうとするんだけど眠すぎてそんな気力もない。


「およよ?随分とねむそうだねぇ」

「超眠い……」


最近、調子に乗って全然ゲームやめられてないからあまり寝る時間が無いんだよね。


学校で寝ないようにしないと……。


「紗由佳、どさくさに紛れて私の胸を触るのやめてくれる?」

「え、えーなんのことかな?抱きついただけだよー?」


紗由佳が私から離れて誤魔化そうとする。


どう考えても私の胸をいやらしく触ってたのに誤魔化すのは無理があると思うよ、というか鷲掴みだったからね?!


「チッ、眠気で判断が鈍ってる今ならいけると思ったのに……」

「そういうのは聞こえてない声量で言おうよ……」


隣にいるんだから聞こえるに決まってるじゃん。


「だってモモ、本気で怒ってなさそうだし満更でもないんでしょ?」

「眠いから怒る気力がないだけだから!何度も言ってるけど私にそんな趣味は無いって!」


結局、紗由佳は学校に着くまでスキあらば抱きつこうとしてきた。


そして睡魔に耐えつつなんとか昼休憩になった。


「モモ〜!ご飯食べよ!」

「……うん」


眠くてボーとしちゃうなぁ。


私と紗由佳はいつも中庭のベンチで弁当を食べているんだけどポカポカ陽気な光がとても眠気を誘ってくる。


「そろそろ暑くなってきたしここで食べるのも今週までかもね」

「……そうだね」


いつもと言ったけど実際には春と秋だけここで食べてる、夏と冬は気温的に外で食べるのはキツいから教室で食べてる。


あ、もう無理……眠……。


◆◇◆


「あとねーなんと!……ってモモ?聞いてる?」

「すぅ……すぅ……」

「ね、寝てる!」


弁当も食べ終えてお腹いっぱいになったしポカポカ陽気で暖かいから眠たくなったのかな?


そういえば朝から眠いって言ってたもんね、授業中もウトウトしてた気がするし。


モモは真面目だから授業中には寝ないかー、私は余裕で寝てたけど!


「それにしても……」


モモの寝顔可愛すぎぃー!写真撮っていいかな?良いよね!


パシャッ!パシャッ!


*普通に盗撮です。


「スマホの壁紙にしよう、うん」


スマホの設定で壁紙を変えている時に私は思ってしまった。


"今ならモモに触りたい放題なのでは"


「ふ、ふへへ」


一応周囲を見渡して見るが都合が良いことに誰もいなかった、ラッキー。


「んん……」

「おっと、危ない!」


ベンチでもたれかかっているモモが横に倒れそうになっていた。


私はすぐに支えてモモが倒れないようにする。


モモの肩!ときどき触れているはずなのになんかいつもより柔らかく感じて……うへへ。


「よいしょっと」


立ったまま支えるのも疲れるので隣に座って支えることにした。


コテンと私の肩にモモの頭が傾く。


ぷにぷにとモモのぽっぺたを触ったりしてみる。


「無限に触ってられる……気持ち良すぎ」


時折、モモから花のような良い匂いがして……うぐっ。


「抑えろ、私ぃ!これ以上はダメだから!」


モモを見ているとチラチラと胸元の隙間から下着が見えそうで……見えない。


「はっ!全然抑えきれてない!」


無意識に目線が胸元に寄っていた。


「ん、んん……」

「も、モモ?!」


モモの頭が下がり私の太ももが枕となった。


おおお!私、今!モモに膝枕しちゃってるぅぅ!


サラサラの髪が私の太ももに!そして下を向けば見たことがないだらしない顔のモモが見放題!


パシャッ


「この光景も写真に残さないとね!もう二度とできないかもしれないし」


私はモモの髪やほっぺたを触りつつ写真を撮り続ける。


むぎゅ。


「モモが私の太ももを触って……」


寝ているモモが私の太ももを触る。


もにゅもにゅと優しく揉まれてる感じがしてちょっとやばい。


「んっ!モ、モ……それ、やめっ」


変な気分になっちゃうよぉ……。


そしてモモによる反撃?はモモが起きるまで続いた。


・・・

・・


「ん……あ、寝てた」

「はぁ、はぁ……おはよう、モモ」


このモチモチした感触……そして紗由佳の声が上の方から聞こえる。


もしかして私、膝枕されてる?


「なんで私、膝枕されてるの?てか私に何かしてないよね?」

「モモが、勝手に、私の、膝の、上に、乗った、んだ、って!」

「本当かなぁ……」


なんか怪しい気がする。


だってなんか紗由佳、ぐったりして息切れしてるし変な感じするもん。


本当に何もされてないよね?私の身体……大丈夫だよね?


紗由佳の膝枕から抜け出して少し身体を動かすが特になんの異常もなさそうだった。


「あ、そろそろ授業始まるから教室に戻ろう」

「わ、私……トイレ行ってから、戻るから、先行ってて」

「そう?じゃあ先に戻ってるね」


一応、紗由佳のおかげでぐっすり寝れたので授業中に寝ないですみそうだね。


そんなことを思いつつ紗由佳と別れて私は教室へと戻っていった。

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