第59話 魔法研究所

「お邪魔しまーす」


ギギギと扉を開けて魔法研究所と思われる建物に入っていく。


中に入ると謎のアイテムらしきものや見たことのないものが沢山置いてあった。


あんなごちゃごちゃと飾ってあると壊したくなっちゃうね。


「なんだ?いきなり入ってきて……盗賊か!」


私に短剣を向けたおじさんが奥から出てきた。


「盗賊じゃないよ!いや、ちょっとそこら辺の物を壊してみたいなとは思ったけど……」

「物騒だな?!」


おっと口が滑った。いけない、いけない。


だってここ最近で壊したものって岩くらいなんだもん、綺麗なものも壊したくなっちゃった。


綺麗なものといえばあの天使の神殿も綺麗だったね……壊しちゃおうかな、えへへ。


「急に笑い出して変な奴だな……盗賊じゃねぇならこんな所になんの用だよ!金目のものはあんまりないぞ?!そして俺のアイテムはやらん!」

「魔法の瓶がここにあるって聞いて貰いにきたんだよ」

「だからアイテムはやらんと言っただろう!それによりにもよって貴重な魔法の瓶かよ!」


あ、魔法の瓶って貴重な物なんだ。


「えーいいじゃん、1つだけでいいから!」

「いいか、魔法の瓶というのはな……」


なんかこのおじさん、魔法の瓶の説明を長々と初めだんだけど……。


「まずこのようにあらゆる魔法を瓶に閉じ込めることで誰でも魔法が使えるのだ!」

「はぁ」


そう言っておじさんは《ファイアボール》を魔法の瓶に閉じ込めた。


瓶の中が燃えていてちょっと綺麗かも。


「ちょっとこっちに来い」

「わわ、なに?」


私は手を引かれて奥の方に連れていかれる。


奥にはそこそこ広い空間にカカシが立っていた。


「なんでカカシがこんなところに?」

「魔法を試し撃ちする的だ」


凄い燃えそうな感じするんだけど大丈夫だろうか。


「いいかよく見ておけよ……先程ファイアボールを閉じ込めたこの魔法の瓶を投げる!」

「投げるの?!」


普通割れない?!絶対割れちゃうよね?!


私がそんなことを思っている間におじさんがカカシに向かってファイアボールを閉じ込めた魔法の瓶を投げた。


「あー魔法の瓶が!」


カカシに当たった瞬間に魔法の瓶は割れてファイアボールが飛び出しカカシが燃え始めた。


「このように使えるのだ!凄いだろう!」

「割れちゃったよ?貴重じゃなかったの?!」


せめて壊すなら私がこの手でぶっ壊したかったんだけど!


「まてまて、そう焦るではない……魔法の瓶の凄いところはまだあるんだ。ほらカカシの方を見てみろ」


おじさんがそう言うので私は燃えているカカシを見る。


カカシの足元には粉々になった魔法の瓶が見える。


そして少しの間、待っていると燃えていたカカシが鎮火した。


「無傷じゃん、あのカカシ」

「あれは俺が開発した無敵カカシだ!どんなに攻撃しても無傷だぞ、そして微量だが経験値も入るぞ!街の訓練所にもあるのだがお前は知らないのか?」

「知らなかったよ」


第一層に訓練所があるのは知ってたけど第二層にもあるんだ、そしてこんなカカシもあったんだ。


今度行ってみよう、無敵って言ってたけどもしかしたら壊せるかもしれないし。


「ほれ、そんなことよりも魔法の瓶をみよ」

「へ?」


魔法の瓶のかけらがどんどん集まっていき元通りになる、そしておじさんの手元にまで戻っていった。


「このように閉じ込めた魔法の効果が切れたら投げた本人の手元に戻ってくるアイテムなのだ!凄いだろう!」

「良かった、私の魔法の瓶が元に戻って」

「いや、お前のじゃねぇよ」


えー、なんか貰える流れじゃないの?長々と説明してくれたんだし。


「ところでその魔法の瓶って複数の魔法を閉じ込めたりは出来るの?」

「いや、上書きされて最初に閉じ込めてあった魔法はかき消されてしまうぞ」


そうなんだ、沢山入れたらあるふぁさんが使っていたみたいに大量の魔法が使えると思ったんだけどそう上手いことはいかないかー。


「――この魔法の瓶、そんなに欲しいのか?」

「うん!めっちゃ欲しいけど……くれるの?」

「そうだな……こんなにも俺の長々とした話を聞いてくれたのもお前が初めてだし条件次第ではくれてやってもいい」


やったー!絶対上げないとか言ってたのにこのおじさんチョロいね!


「それで条件って?」

「俺はここで魔法の研究をしているんだが最近はアイテムの研究や開発もしててな、どうしてもミイラの包帯というアイテムが欲しいんだ。それを持ってきてくれたら魔法の瓶をあげてもいいぞ」


ミイラの包帯?また聞いたことのないアイテムだね。


「ミイラの包帯は西の奥地にいるボスが落とすから……流石の俺でもボスには敵わなそうでな、頼めるか?」

「西ね!倒して持ってくるよ!」

「おお!頼む!」


と言うことなので私は早速西の方に向かっていった。

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