第54話 激闘の末に

「はぁ、はぁ」


私はなんとか逃げ回って悪魔の攻撃を避けていた。


「どうした、逃げるだけか?」


何か弱点はないの……?


「うぐっ!」


上手く避けれず少し攻撃をくらってしまった。


それでも私は逃げ回る。


「《簡易結界》……これでもう逃げられねぇぞ」

「あだっ!いてて……」


目の前に半透明な壁が現れて勢いよくぶつかってしまう。


よく見ると私と悪魔を囲むように半透明な壁があった。


「スコーン召喚!《毒液》!」

「雑魚が!」


スコーンを召喚させて毒液を使わせながら突撃させる。


それを悪魔はいとも簡単にスコーンを真っ二つにした。


『スコーンが倒されました』

『24時間の休眠状態に入ります』


「あいつどこ行った……?」

「ここだよ」


スコーンに身を隠して私は悪魔の後ろへ回り背中に短剣をぶっ刺す。


「ガッ!」


私は短剣を離さずもう片方の手で殴り続ける。


「いい加減にしろ!」

「やばっ!」


殴っていると短剣を持っていた方の腕を掴まれてそのまま短剣を引き抜こうとしていた。


私はなんとか掴まれていた腕を振り解くが短剣が抜けてしまった。


「なかなかやるじゃねぇか、油断してたぜ」


もうさっきみたいな不意打ちは無理そうだ。


「"破壊開始"」


もう小細工は出来ない、真っ向勝負だ。


「ふ、ワハハ!マジかあいつまだ力を残してやがった、面白え」


私の姿を見て悪魔は大笑いしている。


さっきまで俊敏は同じくらいだったから今なら悪魔より速いはず。


「いくよ」


私は一瞬で悪魔の正面に入り拳を叩き込む。


悪魔は反応出来なかったのかしなかったのか何もせず私の拳が当たり半透明な壁まで飛ばした。


「速えな、これは俺も本気を出すか……《狂化》」


これ以上強くならないでよ……。


「ああ、いいぜぇ……この感じ、久々の感覚だ」


パキッ


悪魔が半透明な壁を自分で壊し始める。


「良いの?私、逃げちゃうよ」

「何言ってんだ、お前、楽しそうな顔してるだろ。そんな顔して逃げるわけがねぇ」

「……はは」


確かにこんなに勝てそうにない相手は初めてだ、今までもピンチな時はあったけど勝算はあった。


「それに今のお前ならこんな結界なんて簡単に壊せるだろ」

「まあね」


なんとなく壊せる気はしていた。


そもそも建造物判定なら破壊の呪いで一発で壊せる。


「こいよ」


悪魔が挑発してくる。


「言われなくても!」


私に出来ることは殴ることだけなんだから!


真っ直ぐ悪魔に向かっていく。


悪魔が私の拳に合わせて爪で攻撃してきた。


「お前、最高だわ」


私の拳と爪が衝突した結果……悪魔の爪が折れた。


私の勝ちだと言いたいところなんだけど反動で私のHPが半分消し飛んだ。


「《攻撃予測》」


悪魔は今、スキルを使ってステータスを上げているはず。


ならどんな攻撃もスキルによる攻撃判定になるのではないかと思いこのスキルを発動させた。


予想通り悪魔の攻撃が全て赤い軌道で示される。


「なぜ避けれる」


悪魔が驚いていた。


この1分で勝負を決める!


ギリギリで悪魔の攻撃を避けつつ反撃をする。


「グッ!」

「おらおらおらー!」


どんどんダメージを重ねていく。


悪魔に余裕の表情が無くなりつつあった。


「攻撃が当たらねぇ!」

「ハハハ!さいっこう!」


相手の攻撃は当たらず私の攻撃は全て当たる。


悪魔の防御はそこまでないみたいで確実に弱っていた。


「これで終わりだぁー!」

「終わるものか!」


私と悪魔の拳が同時に当たりお互いが遠くに飛ばされる。


『スキル《根性》が発動しました』


最後の最後で攻撃予測の効果が切れた為、攻撃を受けてしまった。


「う、うう……」


サザーッと地面に擦られるように飛ばされて身体中が痛い。


「悪魔は――」


遠くの方で悪魔も倒れているのが見えた。


消えていないということはまだ死んでいない。


私は立ち上がり悪魔に近づく。


「最後の方は油断してなかったんだけどな……」

「手加減してたくせに」


攻撃が当たらないなら一度私から離れて様子を見ることだって出来るはず。


「俺はそんな細かいこと考えねえ……攻撃しかしねぇ」


脳筋悪魔だった……。


「チッ!身体が動かねぇ。麻痺か……」


なんで麻痺……?今の私はスキルを使えないしパラはやられちゃったよ?


「あのキノコか、やりやがったな……《狂化》で耐性が落ちて麻痺になったか」

「パラ……!」


死ぬ前に悪魔の中で撒いていたであろう麻痺粉が今になってやっと効いたんだね!


「俺の負けだ、トドメさせよ」

「じゃあね、楽しかったよ」


私は短剣を持って悪魔の心臓の辺りを思いっきり刺した。


『"名もなき悪魔"を討伐しました』

『レベルが上がりました』

『レベルが上がりました』

・・・

・・

『スキル《悪魔転生》を取得しました』

『スキル《敵討ち》を取得しました』

『スキル《見切り》を取得しました』

『スキル《格闘術Lv8》が《格闘術LvMAX》になりました』

『スキル《格闘術LvMAX》が《拳闘士》に進化しました』

『スキル《根性》が《ド根性》に進化しました』

『パラのレベルが上がりました』

・・・

・・

『スキル《挑発》を取得しました』

『スキル《再生》を取得しました』

『スキル《スロースタート》を取得しました』

『スキル《麻痺粉》が《超麻痺粉》に進化しました』

『スキル《回復粉》が《超回復粉》に進化しました』

『スコーンのレベルが上がりました』

・・・

・・

『スキル《無敵突進》を取得しました』

『スキル《根性》を取得しました』

『スキル《自己犠牲》を取得しました』

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