第53話 圧倒的強者
「お前か、侵入者というのは」
奥に進んでいくとなんか玉座?みたいなのに座って威張っているムキムキな男の人がいた。
あの人がボスかな?
「攫った女の子はどこ?」
「良くも俺様の手下をやってくれたな」
場所は教えてくれないようだ。
「俺様が相手をしてやろう」
盗賊のボス Lv25
盗賊のボスは立ち上がって自身の拳を私に向けてくる。
「同じナックル系かー」
敵として相手にするのは初めてだ。
盗賊のボスと私の拳が当たりお互いが吹っ飛ぶ。
「俺様と力比べか?いいだろう!」
「負けないから!」
右、左と拳が飛んでくる、それを合わせるように私も同じように拳をかざす。
鈍い音が洞窟内に響き渡る。
そして数分間その戦いが続いた……がついに盗賊のボスのナックルが限界を迎えた。
「何?!」
「これで終わりだぁ!」
思いっきりお腹を殴って洞窟の壁まで盗賊のボスをぶっ飛ばす。
「グフッ……やるな」
「攫った女の子は?」
「この奥……だ」
「そう、じゃあね」
再度お腹を殴ると盗賊のボスは消えた。
『"盗賊のボス"を討伐しました』
私はすぐに奥へと進んでいくと女の子が倒れているのが見えた。
「大丈夫?!」
すぐに駆け寄るが女の子に反応はない、なんか倒れている場所が魔法陣みたいなのの真ん中なんだけど変なことされてないよね?!
「時間遅かった?!……ん?」
「すぅ……すぅ……」
これ寝てるだけだ。
「うーん、持ち上げて連れてくしかないか」
私はなるべく起こさないようにゆっくりと持ちお姫様抱っこをして洞窟の外まで歩いた。
「あ、パラ!」
洞窟の入り口にはパラがムシャムシャと盗賊の生き残りを食べていた。
あんなに沢山いたのにもうラスト一人になっていた。
「沢山食べたねぇ」
『特殊条件をクリアしました』
『悪魔が降臨します』
「はぇ??」
なんか物騒な通知が来たんだけど!悪魔降臨って何?!
「うっ……」
「え?大丈夫?!」
お姫様抱っこをしている女の子が急に苦しみ始めた。
「あわわわ、どうしよう……」
なんか女の子から黒い煙が出始めた。
直感的に離れた方が良さそうな気がしてきたので私は女の子を置いてその場から離れる。
「一体何が起きてたの……?」
特殊条件ってどんな条件だったんだろう。
そんなこと思って遠くから様子を見ていると急に女の子が爆発した。
危なっ!近くにいたら終わってた。
「グハハ、久々の地上だな」
爆発の後には女の子の姿はなく真っ黒な人型の化け物がいた、あれが悪魔?
「あ、パラ!離れた方が……」
パラが悪魔に近づいているのが見えた。
「なんだ雑魚は引っ込んでろ」
ペシンと叩かれてパラがコロコロと転がる。
「へぇ、意外と丈夫なんだな」
パラは負けじと立ち上がり再度悪魔に向かっていく。
そして近くまでいくとパラが周辺に赤い粉を撒き散らし始めた。
なんか見たことないスキル使ってるんだけどどこで覚えてきたの……?いや、あれなんか見覚えあるぞ。
ドカンッ
「あー……ドラゴンが使ってた粉塵爆発?だっけ、あれだ」
なんでパラが使えるんですかねぇ。
「雑魚と言って悪かったな、少し痛かったぜ」
そう言って悪魔は鋭い爪をパラに突き刺す。
「パラ?!」
パラのHPがゴリっと削れた。
あんなに防御が高くて耐性のあるパラが?!
そして爪に突き刺されたまま身動きが取れなくなったパラは足をバタバタさせてなんとか抜け出そうとしていた。
「ちょうど腹が減ってたんだ……」
そう言ってパラをパクリと食べてしまった。
「パラー!!」
「ん?おっ人間がいるじゃん!」
思わず私は叫んでしまい悪魔に居場所がバレてしまった。
『パラが倒されました』
『24時間の休眠状態に入ります』
パラがやられた、初めての死亡だ。
名もなき悪魔 Lv60
『*警告 現在のレベルを大幅に超える敵です。逃げることをオススメします』
いや倒せなくない?!流石に強すぎると思うんだけど。
そりゃ、パラもやられるわけだよ。
「なんだ?逃げるのか?」
「速っ!」
急いでその場から逃げようとすると一瞬で目の前に悪魔が現れる。
「なぁに、すぐには殺さねぇ」
ああ、これは確実に死んだ。
「見たところお前、魂がない人間だな……」
「魂……?何を言って――」
「魂がない人間は何度でも記憶を残して生き返るんだ、心当たりがあるだろ」
プレイヤーのことを言っている?
「チッ!魂がない人間は殺してもつまんねぇし食っても美味くねぇ」
悪魔がジロリと私を見つめてくる。
「そうだ、こういうのはどうだ?俺が提案した条件を呑めばお前を生かして帰してやろう、なんなら力を与えてやってもいい」
「な、何をするの……?」
『名もなき悪魔からの提案です』
『今から30分以内に街にいるNPCを10人殺してください』
え?そんな簡単な事で良いの?出来るといえば出来るけど……。
「どうだ?簡単な提案だろう?」
本当に簡単だ、それに力を与えてくれるのなら私はもっと強くなれるかもしれない。
でもなんか言い方がムカつくしパラを殺した奴の命令なんか聞きたく無い。
あとNPCを殺しすぎると街に入れなくなるらしいし。それは困る。
「……いやだね!お前の提案なんか呑むもんか!」
私は悪魔から離れつつ挑発する。
「残念だな」
シャキンッと爪を私に向けて襲ってきた。
『名もなき悪魔の提案を断りました』
『名もなき悪魔が完全に敵対します』
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