第52話 新たなユニークウェポン

「さて、放置していたこの虹のオーブを使うかー」


流石に第二回イベントまでに少しでも強くなっておきたいからね。


「あとはスキルにするかユニークウェポンにするか……」


やっぱりユニークウェポンの方が良いかな?今素手だし。


アルマさんにグローブも新しく作って貰ってるけどユニークウェポンはセットスキルがあるからなー。


「ということでナックル系のユニークウェポンをください!」


『虹のオーブを使用します』


手に持っている虹のオーブが輝き始める。


そして虹のオーブは形を変え、黒い宝石のついたグローブに変わった。


「か、カッコいい……」


短剣もだけどユニークウェポンってめっちゃカッコいいよね。


はたして性能はどんな感じかなー。


予知のグローブ……全ステータス(HP、MPを除く)5上昇、セットスキル《攻撃予測》を取得、譲渡不可、破壊不可。


「セットスキル以外は短剣と同じ感じね、それでセットスキルの内容は……」


《攻撃予測》……MP無しで使用可能。1分間の間スキルを使った攻撃が自身に向かっている時、スキルの軌道が赤く示される(クールタイム1時間)


「これはどういうこと?」


魔法とかが私に向かって飛んできた時にあらかじめどこに飛んでくるかが分かるってことかな?


試してみたいけどスキルを使ってくるモンスターっていたっけ?


そう思っていると視界にスコーンが映り込む。


「すぐ間近にいた!」


よく考えたらパラもスコーンもスキル使うじゃん!それにそこら辺のモンスターも最近は魔法使ってきてたよ。


私は予知のグローブを装備してスコーンの前に立つ。


「《攻撃予測》」


スキルを使ってみるが今のところ変化はない。


「スコーン!私に向かって《毒液》!」


命令すると尻尾の先を私に向けてくる。


そして毒液を飛ばしてきた。


「あ、なんか私に向かって伸びている赤い線?みたいなのが見える」


スコーンの尻尾の先から放物線をえがくように毒液が向かってくるであろう赤い線が見えた。


「すごく避けやすい……」


どう飛んでくるのかが分かるからとても避けやすかった。


1分と時間は短いからここぞという時に使うのがいいかな。


「ありがとう、スコーン!」


私はスコーンにお礼を言って一度街中に戻った。


「相変わらずお水ばっかり売ってるね」


第二層にきた私は街中を散策する。


なんか面白いもの売ってないかなとか考えてたけど特に何にもないね。


「誰か!誰か娘を助けて!」

「ん?」


誰かが叫ぶ声がする。


声の方に向かうと街NPCの女の人が叫んでいた。


「あの、どうしたんですか?」

「娘が!娘が盗賊に攫われたんです!」


盗賊?!いるんだ。


『クエスト"攫われた娘を助けて!"が発生しました』

『受けますか?』


おおっ!クエスト!


もちろん私は受ける。


「旅人さん!助けてくれるんですか!盗賊は西の洞窟にアジトを構えています!きっと娘もそこに連れて行かれたはずです!」


ピロンとマップに盗賊のアジトが表示された。


とても便利だね。


『"攫われた娘を助けて!"は時間制限があります』

『残り時間……120分』


まさかの時間制限ありだ、急がないと!


「スコーン召喚!西の洞窟に向かって発進!」


私はスコーンに乗って盗賊のアジトに向かった。


岩山の下に大穴が空いていたのでわかりやすかった。


大穴と言ってもスコーンは入れそうにないくらいの大きさなので送還、パラを召喚して私は洞窟の中へと入っていった。


「こんにちは……」


特に門番とかはいなかったのですんなり入れたのだが入ってすぐに盗賊らしきNPCがいた。


「なんだテメェ!」

「侵入者だ!」


私を認識した盗賊は武器を構えて向かってくる。


剣をグローブで受け止めて反対の手で思いっきり殴る。


「グフッ」

「ガハッ」


殴ったり蹴ったりして撃退する。


「何も考えず、人を殴ったり蹴ったりするの楽しいよねー」


現実は絶対にダメだし、ゲームでもPKになるからあまり堂々と出来ないけどこれなら大丈夫だもんね!


やられる反応が面白い!


「ほらそこ、逃げない!」


なんか逃げようとしている盗賊がいたので蹴っ飛ばしてから頭をぐちゃりと潰した。


「誰一人逃がさないからね!」


そう言って私は短剣を手にする。


「や、やめ!」


グサリとお腹部分を刺す。


刺した後グリグリと短剣をひねると盗賊は死んでしまった。


「ああ、もう壊れちゃった」


やっぱり短剣はすぐに壊しちゃう。


大丈夫、まだまだ洞窟の奥から盗賊が沢山来ている。


そんなこと思っていると最初の方に飛ばして生きていた盗賊が逃げ始めていた。


「だから逃げないでよ」


シュッと手に持っている短剣を逃げている盗賊の背中に投げる。


「パラ〜あとは任せたよ」


洞窟の入り口にはパラがいる。


案の定、逃げた盗賊たちは麻痺粉で動けなくなって全員倒れていた。


「さて、私は奥に進んでいこう」

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