第50話 第二回イベントのお知らせ

「さーて、今日もやるぞー!」


学校から帰って宿題などを済ませ、早速ログインする。


昨日は疲れてそのままゲームせずに寝ちゃったからね。


「まずは装備をどうにかしないとね」


アルマさんは……今日もログインしてないね、忙しいのかな?


あ、運営から新しい情報がきてる。


「何かなー、第二回イベントかなー」


『第二回イベント"ティニット最強プレイヤー決定戦"を開催します!』

『詳しい情報はこちら』


やっぱり第二回イベントだった、そろそろだと思ったんだよね。


「最強プレイヤー決定戦かー、予想通り対人戦っぽいね」


詳しい情報を見てみよう。


ふむふむ、土日に開催して1日目に予選、2日目に決勝トーナメントをするらしい。


予選は何ブロックかに分かれて広大な専用エリアによるバトルロイヤル、制限時間3時間生き残るか残り人数が1人になった時点で終了。


10分おきに専用マップに全プレイヤー表示させられる。


回復アイテムは持ち込み不可、専用エリアに落ちているらしい。


決勝は残った人数によっては小規模のバトルロイヤル、そしてトーナメントとのこと。


前イベント上位者は意図的に予選では離されスキルのクールタイムなどは予選や決勝の戦いが終わるごとにリセットされる。


「リセットされるなら毎試合ユニークスキルが使い放題じゃん」


他の人たちも使うんだろうなー。


あと回復アイテム持ち込み不可って魔法使いの人たちが凄い不利な気がする、私はパラがいるから安心だね。


魔法もあんまり使うことないし。


「今週の土日かー、それまでに色々準備しないとだよね」


ひとまずアルマさんがログインしたら装備品を頼んで……。


「そういえばこれ使ってなかったね」


私はドラゴン戦で手に入れた虹のオーブを取り出す。


「スキルかユニークウェポンか……やっぱりユニークウェポンの方がいいよね」


そうなるとやっぱりナックル系の武器にした方がいいのかな?でもこの今装備しているグローブでいい気もする。


「何か私に足りない武器は無いかな?」


結局、今のところ欲しい武器が無かったので一旦保留ということになった。


「これもずっと忘れてたよ」


ずっと放置してた弓を手に持つ。


矢も買ってなかったので買うことにしよう。


第二層には矢が売っていなかったので一度、第一層に戻って適当なお店に入って矢を買った。


そして始まりの草原で試し撃ちすることにした。


「どうやって使うんだろう……」


とりあえず矢をセット?して弓を引いてみる。


「えい!」


ちゃんと矢が飛んでいったけど狙ったウサギには当たらなかった。


「むー!当たらない」


私は次々と矢を飛ばすが10本以上撃ってやっと1回当たった。


当たらなかったのでちょっとずつ近づいていったので最初に撃った場所よりも数メートル近い場所でやっと1回。


「難しい……」


これ初心者にはキツすぎない?


「ふふふ」

「ん?誰?」


私の後ろから笑い声が聞こえてきた。


「ごめんごめん、弓を使っているのが見えて様子を見ていたんだよ」


笑い声の先には優しそうなお兄さんがいた。


初期装備なので初心者のひとかな。


「初めて弓使ってみたんだけど全然当たらないんだよ」

「初めての人にはキツイよね、これ」


お兄さんは弓を引いて遠くにいたウサギに見事に当てる。


「おおっ!凄い!」


私は思わず拍手をする。


あんな遠くの標的に当てるなんて私には無理だよ。


「一応、弓道やってたからね」

「それでも凄いよ!」


めっちゃカッコよかった、なんかシュッて撃ってスパッて刺さる感じスマートというか何というか。


「ゲームだからあんまり難しく考えなくてよく狙えば当たるよ」

「うーん、こんな感じ?」


私は再度現れたウサギに向かって弓を構える。


「もうちょい上だね」

「こう?」

「そうそう、それで撃ってみてよ」


言われた通りに弓を引いて放つと見事に一発でウサギに当たった。


「当たった!当たったよ!」

「うまいね!いい感じじゃん」

「お兄さんの教え方が上手いんだよ!私は言われた通りにやっただけで」


なるほど……確かによく狙えば当てれるかも、遠くの敵にはまだ当てれそうに無いけど近くならなんとかなるかも。


「あ、友達が呼んでるから僕はもう行くね」

「うん、弓教えてくれてありがとう!」


私は手を振ってお兄さんと別れた。


◆◇◆


「遅かったじゃん」

「ごめん、ちょっと弓使ってる女の子がいて上手く使いこなせなさそうにしてたからほっとけなくて教えてたんだよ」

「うわ、イケメンにしかできない行為じゃん、どんな子なの?フレンド登録した?」


別に僕はイケメンでは無いと思うし困っている人がいたら助けるのは当然でしょ。


「フレンド登録はしてないけど一緒にスクショは撮ったよ、これ」


実は別れ際にあの子からSNSに投稿したいからスクショ撮っていいか聞かれて一緒に撮ったんだ。


「どれどれ、おお!可愛い……ラビリルじゃん!」

「ラビリル?あの子を知っているの?」

「はぁ……お前は初心者だから知らないか」


どうやらあの子は結構有名人みたいだ、そういえば装備も初心者じゃ無かった。


そして友人にラビリルのことを聞いて驚いた、まさか前イベント2位でトッププレイヤーだったとは……。


「弓を教えていたんだろ?そもそもエイムアシストがあるからそんなに当たらないことはないと思うんだが」

「エイムアシスト?」

「まさかお前……エイムアシスト無しで弓使っているのか?そうか、初期設定はみんなエイムアシストオフだったわ」


エイムアシストというものをオンにすると僕でも驚くほど遠くの敵に綺麗に当たる。


エイムアシスト無しだと現実と変わらないと友人に聞いた。


そうなるとあの子、ラビリルはちょっと僕が教えただけであれほど上手くなったということ……。


「また会う時にはもっと上手くなってそうだ……僕よりも」


そう思って僕はエイムアシストを切って練習を始めた。

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