第47話 新たな仲間

「しかし下から攻撃されたら分からないよねー」


初見だったら食べられる自信がある。


さっきのパラじゃなくて私が食べられてたらやられていたかもしれない。


「何か対策とかあるのかな?急に現れたら無理なんだけど」


そう思っていると若干地面が揺れ始めた。


「ん?もしかして……」


私は咄嗟に横に飛ぶ。


そして飛んだ瞬間にさっきまでいた場所からデザートスネークが現れた。


「うーん、さっきも揺れてたのかなぁ?気づかなかったよ」


とにかく地面が揺れたら横に飛べば避けれるね。


パラは食べられても大丈夫でしょう、うん。


私は出てきたデザートスネークに魔法で攻撃する。


「よーし、パラやっちゃえ!」


パラがデザートスネークに近づいてパクパクと食べはじめた。


しばらく食べているとデザートスネークは消えてしまった。


「パラ〜MP回復はいる?麻痺粉結構使ったでしょ」


私がMP回復ポーションを持って近づくとパラは可愛く口を開けて待っていた。


「いい子いい子!じゃあポーション流すね――」


ポーションをパラの口に近づけるとパラはポーションを容器ごと丸呑みした、私の手も。


「あああああ!私の手がー!」


なんで捕食出来たの?!私、状態異常なってないって!


そう思って急いでパラのステータスをみるとなんと状態異常なしで捕食出来る様になっていた。


良く考えてみたらリザードマン戦の時に私の腕食べてたね。


ならなんでさっきは私の魔法で状態異常になるまで食べなかったの?!騙してたの?!


ゴリっと私のHPが減ってしまったので私はとりあえず回復ポーションを飲んだ。


パラは私の手を食べた後、満足したようで勝手に送還していった。


自由だなー……。


「気を取り直してもっと奥に進んでみよ」


まだ手はなくなったままだけど片手でもなんとかなるでしょ。


そんな事を思っていたら真っ黒なサソリが現れた。


デザートスコーピオン Lv26


「うわぁ……カッコいい!」


車くらいの大きさで立派な尻尾?を私に向けて威嚇してきた。


「うわっ!なんか飛ばしてきた」


尻尾の部分から紫色の液体を飛ばしてきた。


私は咄嗟に避けると地面に紫色の液体が飛び散る。


「ジュウジュウいってる……めっちゃ毒だ」


あれは避けないとヤバそう。


「って速い!」


想像を超える速さでデザートスコーピオンは私に向かって走ってくる。


そしてデザートスコーピオンは鋏の部分で私に攻撃してきた。


「危なっ!」


上空に飛んで回避しようとするが上空でもう片方の鋏で掴まれてしまう。


「このっ!離せー!」


手や肘でガンガンと掴まれた鋏を叩く。


バシャッ


「え……熱っ!痛いいい!」


身体が焼けるように痛い。


凄い勢いでHPが無くなっていく。


「は、な、せ!」


このタイミングで食われた手が元に戻り両手が使えるようになった。


両手に力を込めて思いっきり鋏を叩く。


バキッ


なんとか壊して拘束を解く事に成功した。


「はぁはぁ、痛すぎ……」


今までにない痛みだった。


私は一旦距離をとって息を整える。


「ふー……よし!」


デザートスコーピオンが砕けていない方の鋏を私に向けて攻撃してきた。


私はその鋏を受け止めて思いっきりへし曲げる。


「あはは、これで掴めなくなったねぇ」


へし曲げた鋏をポイッと捨てる。


デザートスコーピオンは負けじと毒を飛ばしてくるが私には当たらない。


「それも攻撃してくるんだ」


毒が当たらないとわかりついには尻尾で私を刺してこようとしてきた。


「つーかまえた!」


尻尾を掴んだ私は鋏と同じようにへし曲げようとするがなかなか折れない。


「ぐぬぬ……こうなったら短剣で――」


短剣を取り出して尻尾の先をちょん切った、ほんとこの短剣切れ味いいよね。


「どうどう?攻撃手段もうないでしょ?」


案の定、私に突進してくるくらいしか攻撃手段がなくなっていた。


「ほらほらーこっちだよー!」


足が速いので突進も受けたら痛そうだがそんな攻撃が私に当たるわけもなく避けられては方向転換して突撃を繰り返していた。


「あれ?疲れちゃったの?」


急にピタッと私の前でデザートスコーピオンが止まってしまった。


『デザートスコーピオンが仲間になりたそうにこちらを見ている。仲間にしますか?』


「え?」


ええー!仲間になりたいの?!


聞いたことのあるメッセージが流れる。


「じゃあ、えっと……仲間になる?」


目の前で止まったデザートスコーピオンを撫でる。


しっかり触ってみるとツルツルしてて気持ちいいね、しっかり見てみるとかっこよさに可愛さもあるような……。


『デザートスコーピオンが仲間になりました』

『デザートスコーピオンの名前を決めてください』


「あー名前ね、うーん……」


いい名前……。


デザートスコーピオンでしょ?何か良さげな感じの……。


「決めた!スコーンで!」


可愛いし美味しそう。


名前を決めるとボロボロだったスコーンが元通りになった。


「こうしっかりみると立派な鋏だね!」


私はこれに掴まれたのかー。


「よろしく!スコーン!」


こうして私に2匹目のペットができた。

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