第44話 レイドクエスト2

「ドラゴンのHPが半分切ったのじゃ!」


どうやらさっきのハンマー投げでドラゴンのHPが半分を切ったらしい。


ドラゴンの周辺に10体くらいの小さなドラゴンが出現した。


レッサードラゴン Lv15


「ドラゴンの攻撃に気をつけながら先に雑魚を倒すぞ!」


私もレッサードラゴンの1匹に殴りかかる。


「結構硬いね……でも!噴水のほうが硬かった!」


ボコスカとレッサードラゴンを殴りまくって1匹目を倒した。


「次!」


そう思って次のレッサードラゴンを見ると口を開けていることに気づいた。


あれは……ブレス攻撃のモーション?!


「《攻撃誘導》!」


目の前で放たれたブレス攻撃がカクンと横に曲がる。


「俺、復活!」


今度はしっかりと大盾を構えているエスクードさんがブレス攻撃から庇ってくれた。


そうだ、あの人、回復魔法使えたんだった。


「回復がいる者は俺のところに来い!ブレスもくるけどな!」


近づけないじゃん!


そう思いながら目の前のレッサードラゴンに攻撃する。


さっきと同じ感じでボコボコにした。


「雑魚は全部片付けたのじゃ!」


よく見ると確かにレッサードラゴンはいなくなっていた。


「む?何かドラゴンの様子が変だぞ!皆、注意するのだ」


猫の助さんが大きな声でみんなに注意を呼びかける。


ドラゴンを見るとなんか湯気のようなものが出ているような……。


「なんじゃ?これは……粉?」


気づいた時には周辺に赤い粉?みたいなものが舞っていた。


「いかん!皆!離れ……」

「ダメだ……」


瞬時に気づいた猫の助さんとアルテナさんが叫ぶが時すでに遅し、大爆発を起こした。


「あぐっ!ゲホッ……何が起こったの――」


『スキル《根性》が発動しました』


激しい爆発で私は壁に吹き飛ばされた。


一体何が起きたの……。


「みんなは……」


煙が少しづつ晴れていき人影が見えてきた。


私と同じ壁に吹き飛ばされたのか壁で倒れているアルテナさんとあるふぁさん、そして大盾を構えて耐えたであろうエスクードさん。


それ以外の人たちは見当たらなかった。


「粉塵爆発か、良い爆発だったぞ!」

「こんな時に何言ってるのじゃ……」

「みんなやられたか……」


みんなあの爆発でやられちゃったんだ……。


「ラビリルも無事か、《根性》を持っていない人は全員やられたな」

「俺は素で耐えたぞ!流石に大盾は使ったがな」

「この前やられて、片っ端からスキル取っといてよかったのじゃ」


4人が集まりエスクードさんが回復魔法をかけてくれた。


「さて、どうする」

「幸いドラゴンに動きはないのじゃ」

「残念だが俺のMPは尽きそうだ」


そして3人が私を見てくる


「えっと、なんで私を見てくる?」


そんな期待するような目で見ないでー!


「いや何、この前のイベントでの破壊っぷりをまた見てみたいなと」

「爽快だったのじゃ」

「ゾクゾクきたぞ!」


破壊モードでもあのドラゴンに勝てるかなぁ……。


そんなこと思っていると――


「と、ラビリルだけに頼るわけにはいかないよな」

「はぁ……これは対人戦イベントの為に隠したかったんじゃが」

「ついに俺の真の力を見せる時が来た!」


ザッと私の横に3人が並んだ


「"太陽の光よ"私に力を!」

「"魔道の力を"なのじゃ!」

「"守れ抗え"俺ぇ!」


3人が同時に叫ぶ。


そしてアルテナさんはオレンジ色、あるふぁさんは虹色、エスクードさんは青色に目が光る。


「え?え?みんなどういうこと?」


なんかみんなスキルを使ったみたいだけどなんだか見たことあるような……。


「あー!ユニークスキル!」


視聴者のみんなに言われて自分のアーカイブ見返してたら破壊モードの時めっちゃ目が光っていたんだよ!それに似てる!


「みんな隠していたんだな」

「上位勢は皆持っとるじゃろ、隠してるだけで」

「俺は隠してるつもりは無かったんだが使う機会がなくてな」


みんながみんな目が光っているのに不思議と眩しくない。


「あ、じゃあ私も……"破壊開始"」


破壊モードになる。


「間近で見ると迫力凄いな」

「なに、お主も同じ様なものじゃ」

「うぉぉ!ラビリル!もっとその目で俺を見てくれぇ!」


うわぁ……破壊モード解除しようかなぁ。


「む?ドラゴンが動き始めたのじゃ」


本当だ、それにあれはまたブレス攻撃をしてこようとしてる。


「俺の出番だな《攻撃誘導》」


エスクードさんまたもや大盾を使わずにブレス攻撃を受け止めた。


「何やっとるんじゃ……」


私たちは左右に避けた、後ろにいると余波が来るもん。


「キタキタキター!力がみなぎるぞー!」


かなり鈍足だったはずのエスクードさんがかなりの速さでドラゴンに向かっていった。


「なんかあやつブレス攻撃をモロに受けた割にピンピンしておるな」

「私たちも向かうとしよう、ラビリルも戦いたくてしょうがない顔をしているぞ」

「エ?本当?!」


やっぱり私って顔に出てるのかなぁ?もっとシャキッとしないと!ポーカーフェイスを意識して!


「ラビリル、死んだ様な目でにやけ口はやめてほしいのじゃ……」

「すまん、私が言ったせいで顔に出さない様にしたんだな……普通にしてくれ」

「そんなぁー!」


ダメだったらしい。

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