第43話 レイドクエスト1

「よし、皆……準備は良いか?」


レイドクエストを開始すると噴水前にボスゲートが出現した。


「一つ質問いいか?あるふぁは一度レイドボスと戦ったんだろ?どういう攻撃してきたとかそういうのあればみんなを守りやすい……」


エスクードさん、なんか急に真面目に質問してきたんだけど……。


みんなも同じ反応をしている。


「なんだ?みんなして俺をみて……そんなに変な質問だったか?俺は大盾を使うしタンクになるつもりだったんだが」

「いや、至って普通の質問じゃ……ゴホンッ、レイドボスの攻撃じゃったな、名前はドラゴン。名前の通りのモンスターで我の時は離れるとブレス攻撃、近づくと爪攻撃だったのじゃ」


それだけ?それなら勝てそうだけど。


「あとHPが半分を切ると子分のレッサードラゴンを複数呼び出してきてブレスなどの攻撃が激しくなったのじゃ、我は子分を対処している間にそのブレスにやられた」


あーめんどくさそう、ボスだけじゃ無いんだ。


「ふむ、それで何か作戦はあるのか?」

「ないぞ?各自突撃じゃ!」


まあ、半分以上がソロだしね。


「それにしてもヒーラーが誰もいないのはきつそうだな、私のパーティでサーリアが一応使えるが基本は他の魔法を使うし……」

「私のパーティ、筋肉部隊は皆が皆ハンマー使いだからな!ハーッハッハッ!私の自作ポーションを分けてやろう!」


そういえば忘れてたけど猫の助さんって生産職だった。


「俺、光魔法Lv5だぞ?」

「む?」

「おお!」

「のじゃ?!」


なんとエスクードさん、回復魔法のエキスパートでした。


「なんかお主に回復してもらうの嫌なんじゃが……」

「私は構わないが……うちのサーリアは嫌がりそうだ」

「筋肉部隊は全然大丈夫だぞ!」


そしてみんな私の方を見てくる。


「私も……ちょっと嫌かなぁ、ポーションあるし」


まだ大量にポーションあるしこれだけの人がいれば回復する隙もあるはず。


「なんでだ……」


ガックリと崩れ落ちるエスクードさん。


「ま、まあ、とにかく行くか」

「我についてくるのじゃ!」


あるふぁさんたちがボスゲートの中へと入っていく。


私も続けて入っていった。


『レイドクエスト"第二層への道"を開始します』


大きなドラゴンが現れる。


ドラゴン Lv25


「先制攻撃じゃ!《ファイアボール》×10」


あるふぁさんのまわりに沢山の炎の球が現れ一斉にドラゴンを襲う。


あんないっぺんに魔法を使うことが出来るの?!


私は一回一回ちゃんと使わないといけないから何かのスキルなんだろう。


「私もやるか……《太陽剣》」


アルテナさんの剣が赤く燃える、めっちゃカッコいい。


そして燃えている剣を振ると炎の刃のように飛んでドラゴンに向かっていった。


他の魔法使いの人も次々と魔法をドラゴンにぶつけていく。


「ドラゴンのブレス攻撃がくるのじゃ!」


ドラゴンが大きく口を開け始めていた。


「任せろ《攻撃誘導》」


ドラゴンのブレスが放たれるがエスクードさんのスキル?でブレスがエスクードさんに向かっていく。


「さあ、こい!」


何故かエスクードさんは構えていた大盾を投げ捨ててからブレスを正面から受ける。


「良いぞ!良い熱さだ!身体が燃え尽きるほどの熱さ……」


いや、あれ大丈夫なの?!


みんなドン引きである。


「皆!エスクードがブレスを受けている間に攻撃するぞ!」


アルテナさんが燃える剣を構えてドラゴンに突撃していく。


「私も行こっと《疾風》!」


疾風で俊敏を上げてアルテナさんに追いつく。


「そういえば共に戦ったことはこの前のイベントであったが並んで戦うことは無かったな」

「私も友達と遊ぶ時はサポートばっかりで並んで戦うことないかも」


2人でそんなことを呟きドラゴンの前まできた。


近づいたことでドラゴンが爪攻撃をしてくる。


「ラビリル、頼む」

「了解!」


ドラゴンの爪攻撃に思いっきり拳を叩き込む。


「うぐっ!いって……」


攻撃を弾くことに成功したがめっちゃ拳が痛かった。


よく見るとドラゴンの爪が一部割れていた。


「助かった」


アルテナさんが私にそう言ってドラゴンの腕に向かって燃える剣を振りかざす。


ザックリとドラゴンの腕に剣がめり込んで切り傷が燃えた。


「まだまだいくのじゃー!《ウォーターボール》×10、さらにー!《ファイアボール》×10」


物凄い量の魔法がドラゴンに降り注ぐ。


あの人どんだけ魔法を使うんだろう……。


そして見た目がボロボロになったドラゴンがジロリと私とアルテナさんの方を見て口を開ける。


「いかん!ブレス攻撃がくるぞ」

「あわわわ」


エスクードさん、ブレス攻撃は任せろって言ってたじゃん!何やって……。


チラッとエスクードさんの方を見る。


「クッ!ブレス攻撃をまともにくらいすぎた……すまん」


どう考えても瀕死なエスクードさんがいた。


「耐えるしかないか……」

「こうなったらパラを盾に……」


アルテナさんは剣を盾のように構えて私はパラを召喚して盾にする。


大丈夫!パラは死なないよ、うん。


「2人とも伏せるのだ!」


後ろから猫の助さんの声がして私たちは咄嗟に伏せる。


すると後ろから大きなハンマーが複数飛んできてドラゴンの頭にヒットする。


頭に当たったことでブレス攻撃の軌道がズレて私たちには当たらなかった。


「猫の助!助かったぞ」

「ありがとう!」


パラが焼きキノコにならずにすんだよ!

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