第38話 リザードマン戦

悲報、パラは私に懐いてなかった。


「パラ〜このウサギ肉あげるからせめて命令無視はやめてくれー!悲しいから!」


勝手にスキルを使うのは良いからさぁ。


私はこの前倒したウサギのドロップアイテムをパラにあげる。


目の前に出されたウサギ肉を次々と捕食していくパラ。


『貢いどるw』

『ペットが懐かないの分かる』

『いつ見ても捕食の仕方酷いな』


そして食べ終わったパラは私に《回復粉》を使ってくれた。


「パラ!やっぱりパラは良い子だよ!」


私はパラを抱きしめて進むことにした。


そしてすぐに複数のブロックスライムが現れた。


「今度は群れで来たね!よし、あれ使おう!《ダークボール》!」


久々の魔法を使い、私の前に黒い球が現れブロックスライムに飛んでいった。


ダメージはほとんどないが運が良いのか一発で状態異常になった。


「よし!パラ《捕食》――」


と言おうと思ったんだけど命令する前に捕食するモーションに入っていた。


「あ、うん……食べて良いよ」


私の意図を読み取って先に捕食しようとしたんだよね……!


『やっぱり命令無視w』

『懐いてなくて草』

『闇魔法使えたんだ』

『判断が早い』


食べ終えたパラは私の前まで戻ってきた。


私はパラを再度抱いてモンスターを倒しながら洞窟の奥へと進んでいった。


「なんか簡単にボスゲートまで来ちゃったね」


特に苦労することなくボスゲートの前まで到着してしまった。


『やっぱりボス倒す気じゃん』

『なんでこんなにサクサク攻略できるん?』

『MPとか大丈夫?』


「あっ、MP回復しとかないと!教えてくれた人ありがとう!」


コメントのおかげで魔法とか使っててMPが少なかった事に気づいた。


『ええんやで』

『そんな感謝されると照れるな』

『ここら辺のHP、MP管理は初心者らしいね』


私はMP回復ポーションを飲んで回復する。


「パラも飲む?……って思ったけどそもそも飲めるの?」


麻痺粉とか回復粉とか使っててパラのMPもほとんど無くなっているけどモンスターにポーションって使えるのかな?


そう思っているとパラが口を大きく開け始めた。


「パラ?飲めるの?口に流すよ?」


私は大きく開けた口にMP回復ポーションを流し込んだ。


パラのステータスを見るとちゃんと回復しているみたい。


「よし!準備完了!いざ、ボス戦へ」


私はパラと一緒にボスゲートの中へと入っていった。


そして私の前に二足歩行するトカゲのようなモンスターが現れた。


リザードマン Lv20


剣と盾を構えて私を見ている。


「剣を持ってるってことはパラは戦わないよね」


思った通りパラは私の後ろに隠れてしまった、不利な相手には逃げるパラ。


「《疾風》」


俊敏を上げて私はリザードマンの後ろへと回る。


「まずは一発……殴ってみようか!」


後ろに回った私を見失ったリザードマンの背中を思いっきり殴る。


綺麗に当たったんだけど筋力は高くないからリザードマンが横に倒れるとかはなかった。


「やっぱりこうでなくちゃ!」


最近のモンスターは殴ったらすぐ倒れたりして呆気なかったからね。


「とりあえず……盾から壊しちゃおうね!」


私に剣を振りかざしてくるのを避けてわざとリザードマン本体ではなく盾に向かって殴る。


「硬いねー」


ガンッと音が鳴るが盾に変化はない。


剣の攻撃を避けて盾に攻撃を繰り返すと少しだけ盾に凹みができた。


「よし――えっ……」


盾に変化が起きてリザードマンが口を大きく開けている事に気付くのが遅れた。


リザードマンの口からオレンジ色のブレスが私目掛けて飛んでくる。


「熱っ!痛っ!」


激しいブレスを至近距離で受けて遠くに飛ばされる。


「いて、てて……あ、れ?」


上手く声が出ないし身体も動きにくい。


これ麻痺になってるじゃん……麻痺ブレスだ、あれ。


耐性(小)スキルじゃダメだったらしい。


「動けない、わけじゃ、ない!」


近づいて剣を振り下ろしてこようとするリザードマンを転がって避ける。


「イッ!普通、盾、投げる?!」


転がって避けた私の顔面にリザードマンが持っていた盾が投げつけられる。


突然の出来事で困惑している間にリザードマンに腕を掴まれてしまった。


「ちょっ!離して!うぅ……力が入らない」


私は中に浮くように左腕を持ち上げられてしまう。


そしてリザードマンが剣を再度構える。


「え、と……どうする気――ガフッ」


グサリと腹に剣が突き刺さる。


「あ、あ、あ……」


痛い、凄く痛い。


腹に突き刺されるのは二度目、あの時よりステータスが上がっているのに痛みは変わらない。


HP16


『スキル《逆境》が発動します』


「うぐっ!」


すぐに腹に突き刺された剣を抜かれる。


そして次は私の頭目掛けて剣を振り下ろしてくる。


このままでは真っ二つになると思い、私は痛みに耐えてなんとか身体を捻って避けようとするが右腕を肩から斬られてしまった。


『スキル《根性》が発動しました』


「……っ!はぁ、はぁ――耐えた」


次の攻撃が来る前になんとか拘束を解かないと……。


「あ、たれ!《ダークランス》」


黒い槍が私を掴んでいるリザードマンの腕に突き刺さり私を落とした。


私は床に着地してリザードマンから離れる。


「はぁ……油断しちゃったなぁ」


スーッと深呼吸して息を整えて回復ポーションを飲む。


「あまりこれに頼りすぎも良くないって思ってたのに、負けたくないし使うけど……"破壊開始"」


弱体化されてから初めて使う破壊モード。


弱体化と言ってもほとんど変わらないどころか1対1だとむしろ継続時間伸びてて強いくらい。


「アハハ!第二ラウンドの開始だよ!」

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