第33話 自作ポーション美味しいよ
「アルマさんこんにちはー!」
「お、お邪魔しまーす」
いつも通り誰もいない店内、さまざまな装備品やポーションが並んでいるのに前と全く配置が変わっていないところを見るにやっぱり誰も来ていないのだろう。
「こんにちはラビリル……そして初めまして実質2人目のお客さん」
やっぱり誰も来てなかった。
「初めまして!サユです!」
「僕はアルマ、何故かお客さんが来なくてラビリル専属の生産職みたいになってるよ。あとラビリルみたいに砕けた口調で良いからね」
お互いに自己紹介をして握手を交わす。
「うーん、なんでアルマさんのお店に誰も来ないんだろうね?」
「僕も不思議に思ってるんだよ。確かに入り口が路地裏にあるけど、ちゃんと入り口に呼び込み看板置いてるんだよ?」
「装備品もめっちゃ良いしポーションも美味しいのにねぇ、高いけど」
サユは思った、確かに入り口に呼び込み看板が置いてあったが何の情報も無しに"ポーション1本50G"とか書いてあるお店に誰が入るんだと。
ポーションですら高いのに装備品なんてどれほどするんだろうと。
物好きなら入りそうだがそもそも路地裏で見つけにくいしここはあまりプレイヤーが通らない場所なのだ。
「そうだ、改めてラビリル……イベント2位おめでとう」
「アルマさんも10位だったじゃん、生産職なのにすごいね」
「限定アイテムが欲しかったから頑張ったんだ、ギリギリだったけどね」
話を聞くとアルマさんは城壁の修復の他に自作した毒ポーションや麻痺ポーションなどで次々とゴブリンを倒したらしい。
「ところでラビリルはどうしてここに?もしかしてサユの装備品を頼みにきた?」
「グローブの耐久性がね、サユの装備品は……サユの懐次第?」
アルマさんのはポーションもだけど装備品も高いからね。いやアルマさんのことだから2人目のお客さん記念でーみたいなので割り引きしてくれそうだけど。
「私の装備品?!アルマさん良いの?」
「武器は何を使ってる?」
そういえばサユって何を使ってるんだろう?サユって運動神経いいからなんでも使えそう。
「私は大盾に長剣でステータスは筋力と防御よりで少しだけ俊敏だよ!」
「大盾に長剣……珍しいね、大盾はそこそこいるけど大体は皆んな短剣か短刀だから」
大きな盾持ちながら剣とか振り回しにくそう。
私は単純に殴るだけだし短剣も包丁みたいなものだから扱いやすいもんね。
「お金があまり無いので今は頼めないけど貯まったらお願いしていい?」
「分かったよ、僕も鍛治スキルを上げて待ってるね」
私が買った時ってどのくらいだっけ?
『ボス撃破のお知らせ!アルト地下洞窟であるふぁがリザードマンをソロでの初討伐に成功しました!おめでとうございます!』
もう解放された東エリアをクリアした人が現れたようだ。
「あるふぁってイベント3位の人だよね!やっぱりトッププレイヤーは凄いなぁ、私もまずは始まりの平原のボスを倒す!」
「サユなら大丈夫!――あっもう落ちないといけない時間だ」
そろそろ寝ないと朝起きれなくなる時間まできてしまった。
「グローブは明日までに直しておくよ」
「じゃあねーラビリル、また明日!」
私は手を振りながらログアウトした。
「ふわぁ……寝よう」
大きな欠伸をして目覚ましの設定をしようとスマホを開き気づく。
「ふえっ!めっちゃ通知がきてる!」
作ったばかりのSNSアカウントの通知だ。
全て誰々がフォローしましたの通知だ。
「何も投稿してないしどうしてこんなことに……あっ!」
よく見たら由佳さんが私のアカウント拡散してんじゃん、そりゃこんなことになるよ……。
「何か適当に挨拶でも投稿しとこ……何もしないのも悪いし」
『ティニットの公認プレイヤーになりましたラビリルです。よろしくお願いします!』
「投稿っと……よし、寝るか」
通知をオフにして私は目を瞑った。
そして朝――
フォロワーが増えに増えていた。
「あわわ」
それに運営からのフォローは分かるが有名な声優の人とかもフォローされていて戸惑いと動揺でいっぱいになる。
「――とりあえずフォローバックしといて学校いこ」
思考を放棄した。
配信……土日にするかぁ、後で機材のこと東井さんに聞いとこ。
「そろそろテストがあるんだけどなぁ……」
とにかくあと3日、夜のゲーム我慢して勉強……土日にあーそぼっと。
成績が落ちないか心配になる私であった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます