第32話 破壊少女ラビリル
「私の部屋に謎の荷物がたくさんある……」
家に帰って制服を着替えようと自分の部屋に行くと巨大な段ボールが沢山積み上がっていた。
「お母さんー!この荷物何?」
「昨日、百が行った会社からよ。今日のお昼届いたけどお母さんよく分からないから百の部屋に置いておいたよ」
「昨日言ってた機材?!もう届いたの?!」
どうやら配信の機材っぽい。
まあ今は放置でいいや、設定とか私も分からないから調べながらとか東井さんに教えてもらいながらやろうと思ってたし時間かかりそう。
ご飯食べたあとに宿題して紗由佳とティニットの街で集合予定だ。
そして全てを終えた私は早速ログインした、ちゃんとbanは解除されていた。
「紗由佳……ゲームではサユだっけ?」
まだ宿題が終わらないようで少し遅れると連絡があったから適当に街でも歩いて時間を潰そう。
「イベントの報酬がたんまりアイテム欄に入ってる……」
お金にボス撃破とかの素材、あと限定アイテムらしきやつ。
「不思議な水筒?これが限定アイテムなの?」
取り出して見るが特になんて事のない青色の水筒だ。
説明を見てみるとどうやら美味しい水が無限に飲めるらしい。
「ごくごく……おお、確かに美味しい」
美味しいけど所詮、ただの水だし特に特殊効果とかはない。
限定アイテムにしてはしょぼい気がする。
「まあ、いつでも飲み物が飲めるって感じかな」
ゲームだから喉が乾くとかお腹が空くとかないから意味ないんだけど唐突に飲み物が飲みたくなる時あるし、私の場合は高いポーション飲んだりしてたからありがたいかも。
「その水筒にその容姿……もしや其方ラビリルか!」
「え?そうだけど……誰?」
適当なところで座って美味しい水を飲んでいたらなんかめっちゃ身体が大きいマッチョな男の人が私に話しかけてきた。
「私の名は猫の助!困っている人を助ける正義の味方!主に武器や防具を作っているぞ、よろしく!」
「猫の助……1位の人!」
でっかいハンマー背負ってるのに生産職の人だったんだ……。
「ラビリルに認知してもらえるなんて嬉しい限り……どうだ、これから一緒に狩りでもしないか?」
「あーこれから友達と遊ぶから……ごめんなさい」
「いやいや、謝らないでくれ。私が唐突に誘ったのが悪い。ではまた今度狩りでもしよう!これは出会いの証として受け取ってくれ」
なんかポーションを貰ってフレンド登録もした。
「ではまた会おう!ハーハッハッ!」
そして嵐のように過ぎ去っていった。
「なんか凄い人だったなぁ……」
それにこのポーションよく見たらMP回復ポーションじゃん……普通のHP回復ポーションより数倍高いやつ。
さらに1番性能良いポーションだよこれ。
「おーい!モ……じゃなくてラビリルー!」
「この声は……」
やっと宿題が終わったらしい紗由佳の声が聞こえてきた。
「サユ……?」
「そうそうサユだよ!」
後ろを振り向くと青髪青眼の紗由佳がいた、現実よりも髪が長く雰囲気が全然違ったため一瞬分からなかった。
「全然見た目違うね、ちょっと分からなかったよ」
「ラビリルが変わらなさすぎるだけだって……」
見た目変更ってちょっと面倒くさかったからね、一度設定したら課金しないと変えられないし。
「うわぁ……本物のラビリルだぁ」
「なんでそんなジロジロみるの……同性でもセンシティブ判定くらうよ?banされるよ?」
サユがキラキラした目で私の身体を見てくる。
「そういう目では見てないから!」
「じゃあなんでそんな見てくるの?現実でいつも見てるじゃん」
「ゲームと現実では違うから!皆んなの憧れ、公式公認アイドル!破壊少女ラビリルなんだよ!」
「ちょっとまて、なんか変な名称が聞こえてきた」
公式公認まではわかる……アイドルも、まあなんとか?理解出来るが破壊少女ラビリル??魔法少女みたいなノリでつけるのやめてー!
「え、私ってそんな呼び方されてるの……?」
「うん、ティニットやってるなら多分大体の人が知ってるんじゃないかな」
私はフッと周囲の人たちを見る、するとサユの声が聞こえていたのかそもそも聞いていたのか見た人全てが私から目を逸らす。
「うわぁ……マジっぽい」
「まあまあ、1時間くらいしか出来ないんでしょ?どこか行こうよ!」
「あ、うん」
私はサユに手を引かれながら適当に街中を歩いた。
「どうする?モンスターでも倒す?でも私は始まりの平原しか行けないしそれじゃラビリルがつまらないかぁ」
「別に私はどこでも良いけど……あっ!ちょっと装備品の耐久性が低くなってるからいつも私がお願いしてる生産職の人のところ行っていい?」
「ラビリルのそのカッコよくて強そうな装備作った人?!行ってみたい!」
「おっけー、ついてきて」
今見たら防具は全然耐久性減ってないんだけどグローブがめっちゃ減ってるんだよね、あんだけゴブリン殴ったらそうなるかー。
今度は私がサユの手を引いてアルマさんのお店まで歩いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます