第29話 公式生配信2

「じゃあ次に今後のアップデート情報を紹介したいと思いまーす!」


イベントの結果発表を終え、次に進む。


『おおっ!』

『待ってました!』

『東エリアの開放かな?』


これは私も楽しみだ。


「まずは東エリアのアルト地下洞窟を開放します!推奨レベルは20です!」

「おお!」


パチパチと拍手をして私も盛り上げる。


『推奨レベルたけぇ』

『キターーー!』

『ないす!』


「まだあります!東西南北、全てのボスを倒したプレイヤーは"第二層への道"というクエストを受ける事が出来ます!そして見事にクエストクリアしたプレイヤーにはクエスト名の通り、第二層へと行くことが出来ます!」


第二層ってことは今いる場所は第一層って事だね。


『全ボス撃破キッツ』

『まだキングゴブリンしか倒せてません』

『ラビリルとか超嬉しそう、てか顔に出てる』


「え、そんなに私って顔に出てる?!」


『とても笑顔ですよ()』

『可愛い、ずっと見つめてる』

『ボス倒したくてたまらないって顔』


「ちょっと皆んなラビリルをからかわないの!」

「あははー……」


そんなに私、笑顔だったんだ……無意識だった。


「あの、このアップデートっていつからなんですか?」

「良い質問ですね!なんと明日のお昼からです!」


早い!色々と行動が早いよ、運営さん!バグとか不具合は多いけどそこんとこは良いよね。


私も明日学校から帰ったらすぐに……って1週間banされてるんだったー!


「あのー私、今アカウントロックされてるだけどアップデートまでに解除出来ませんかね?」


ほらそこにいるスタッフ?さんとかもお願いだよ!


『未だにbanされている公認プレイヤー』

『公認プレイヤーとは?』

『運営はよ解除してもろて』


「ラビリルって今banされてるの?!私が解除してもらえるように言っておくから安心しといてよ!」

「良かった……」


スタッフさんも了解と言いたそうな仕草をしていた。


『あの笑顔でゴブリンを殺戮するラビリルがまた見れる』

『これにはラビリルも安堵の表情』

『我々には攻撃しないでね?』


「ちょっと、プレイヤーは意味もなく壊さないって!」


『と、イベント参加者を虐殺した者が言っております』

『意味があれば俺ら壊されるらしい』

『倒すじゃなくて壊すって言い方好き』

『プレイヤーを物扱い、最高』


ええ、一部変態がいる……。


「その他細かいアップデート情報は公式サイトを見てね!――じゃあ皆んな待ちに待ったラビリルへの質問コーナー!」

「本当にやるの?!」


私に質問することなんてないでしょ。


なんて思ってコメントを見るととんでもない量の質問が流れていた。


「私が大丈夫そうな質問を聞いていくね!」


まあ住所とか聞かれても答えないからね、答えるのは普通の質問だけだよ。


「なぜか質問の多いこれから!」


『どうして噴水を壊しているんですか?』


確かにコメントを見ている限りこの質問がかなり多い。


「え?目に入ったからだけど……モンスターと同じだよ」


皆んなだってモンスターが目の前にいたら倒すでしょ?


『確かにモンスターがいたら倒すわ』

『納得……なのか?』

『あの噴水めっちゃ硬かったというか剣とか弾かれたんだけどどうやって壊したん?』

『お前も試したんか』

『結構噴水を壊そうとしている人はいる』


気づけば同接人数がさらに増えていた。


「あーめっちゃ硬いし最初の頃はめっちゃ手が痛かったよ」

「ラビリルって痛覚設定どのくらいなの?」

「100%だけど?」

「100%?!やっぱりこの子頭おか……」


今頭おかしいって言わなかった?!小さい声だったけど隣にいるんだから聞こえるよ?!


『やばw』

『意味分からんw』

『擦り傷の痛みすら嫌なのに斬られたり殴られたりされるんだぞ』

『これは頭おかしいわw』


「皆んなして私の事頭おかしいって……別にお腹貫かれたり食われたりしただけで死んだ瞬間には痛みは無くなるから大丈夫だよ、あと例のスキル使うと痛みがそんなに無くなるからね」

「いやそれアドレナリンがスキルで出てるだけだと思うよ……」


ゲームだから別に痛いだけで欠損してなきゃ動けるもん。


「ま、まあとにかくこの子がやばい事が再度確認出来たとこで次の質問!」


『例のユニークスキルの事知りたいです』


皆んな破壊者という名前は知らないから例のスキルとかユニークスキルとかの言う質問も多かった。


「あ、教えたくない内容なら言わなくても良いからね」


由佳さんがそう言ってくれているし私もあんまり詳しくは教えるつもりも無いけど少しくらいは教えてあげよう。


「えっとね、私のユニークスキル名は《破壊者》って言うよ」


『破壊者w』

『まさにラビリルにピッタリのスキルじゃん』

『いつも噴水破壊してるもんな』

『他の建造物も壊してるかも』


残念ながら噴水以外の建造物は壊せてないんだよ、時計台とかは壊したら倒れてプレイヤーはともかくNPCに当たっちゃうかもだし空き家っぽいところは壊れる気配無かったしでね


「取得条件はあるスキルを世界で初めて取ってなんやかんや噛み合うと取れたよ」


『まあ、狙って取れるもんじゃないわな』

『他のユニークスキルも同じなんかな?』


ところで今気になったんだけどユニークスキルって複数取得出来るのかな?流石に無理?


まあコメントの人も言ってるけど狙って取れるようなものじゃ無いし取れたら取れたでラッキーみたいな?またbanされなきゃ良いけど。


「スキル内容はね……うーんと、いっぱいあるんだけど1つだけ言うね。敵対する対象が多いほどステータスアップだよ、上限は無し」


『これはなんとなく予想してた』

『あのゴブリンの量だけパワーアップしてたんw』

『上限ねぇのか』

『対多数最強すぎるw』


壊せば壊すほど対象が居なくなって弱くなってくけどね。


「そのくらいかな?」

「じゃあ次の……と行きたいところなんだけど実は時間がきちゃったんだよね」


既に2時間以上は配信している、ちょっと疲れた。


「ラビリルは今後、チャンネルを設立すると思うから皆んなこの公式と共にチャンネル登録お願いねー!またね、バイバーい!」

「ば、バイバーい」


こうして生配信は終わりを迎えた。

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