第19話 カフェと図書館

「ほんっとごめんね!ちょっとテストの結果が悪くてゲーム禁止にされてた」

「いいって、私も平日は1時間くらいしか出来ないから」


土曜日の朝、いつも通りに起きてご飯を食べた後にログインするとベルテが既にログインしていて早速会いに来てくれた。


フレンドなら許可をした者同士で互いの場所が分かるから合流しやすいのだ。


それにしても緊急の用事とかじゃなくて普通に取り上げられてただけだったんだね……私もそうならないようにしよ。


「お詫びにカフェで何か奢るよ」

「え、別に良いよ?」

「遠慮は良いから……ね」


私は手を掴まれて引っ張られながらベルテオススメのおしゃれなカフェに連れて行かれた。


「わぁ、こんなおしゃれなカフェ初めて入ったよ……」

「あまり街を散策する人は居ないしここは特に見つけにくい場所だから全く混んでなくて穴場なんだよ」


確かに少し隠れ家的な場所かも?


「一時期、一角ウサギにボコられすぎて疲れた時に見つけてね……」

「あ、うん……」


あの角に刺されながらモフってたらそりゃ疲れるよ。


「ほらほら、このパフェとかケーキとか美味しかったよ!お金はこの前のボス戦でたんまりあるから遠慮なくどうぞ」

「じゃあオススメって書いてあるチーズケーキ頼もうかな」

「それね!私もそれにしよっと……店員さーん!」


ベルテがNPCの店員さんに頼むとすぐにチーズケーキがきた。


「そういえばベルテは明日のイベントには参加するの?」


パクパクとチーズケーキを食べながら明日の事について話す。


「もちろん!誰かが広めたのか知らないけどいつのまにか私がゲームから離れている間にモンスターを仲間に出来る事が知られちゃったからサフィと一緒に沢山ゴブリンを倒すよ!」


魔物使いのスキルもう広まったんだ、じゃあ私もパラと一緒にイベントできるね。


「じゃあ一緒にゴブリン倒す?」


私がそう提案するとベルテは首を横に振った。


「パーティだと貢献度が分配されるらしいから一緒にはやめておくよ、私は無理だけどラビリルは貢献度上位いけると思うしね」

「別に楽しめれば良いと思ってるから貢献度上位狙ってるとかないんだけど」

「いいの?ほら、パラの可愛さ……可愛さ?を広める事も出来るよ?」

「何故、可愛さの部分が疑問形なの?パラは可愛いよ」


でも、そうか。パラがいかに可愛いかを広める事も出来るんだ。


「わかった!私、頑張るね!」

「もしかしたら私がラビリルより上位に居るかもよ?」


その後もお喋りしながらカフェで楽しく過ごした。


「ふむふむ、図書館は……っと」


あの後カフェで時間を過ごしすぎてベルテが落ちる時間になってしまった為、魔法の覚え方を教えてもらった後すぐにベルテはログアウトしていった。


「ごめん、今度の追試落ちたらマジでやばいから落ちるね」


高校生のテストって難しいんだろうなぁ。


そんな事を思いつつ教えてもらった図書館へと向かう私であった。


「結構人がいっぱいいるね、みんな魔法を覚えに来たのかな?」


サービス開始から1週間が経って初期装備じゃない人が増えてきたけどまだまだ初期装備も沢山いる。


私は入館料の100Gを払い図書館の中へと入っていった。


「うーん、今のレベルは19だから4回読めるんだよね?何の魔法覚えようかな?」


1、5、10、15だから合ってるはず


確かベルテが違う属性の魔法を覚えすぎると弱い魔法しか使えないから1つだけかもしくは2つにしとけって言ってた。


火、水、風、土、光、闇


そのうち火、水、風、土は属性で相性が違うだけで大体性能は同じ。


光は回復系で闇は攻撃性能はあんまりないけど何かしら状態異常にするらしい。


「気になるのはやっぱり闇魔法かなぁ、私自身が状態異常に出来るならパラが麻痺粉使わずに食べれるし」


回復はパラができるからいらないし、そもそも回復ポーションで良い。


「でも火とか水とかはベルテで見てすごく便利そうだったんだよね、火で炙ったり、水責めで窒息させたり……アハッ」


いかんいかん、破壊衝動が出た。後で噴水でも壊して発散しよう。


「まあ今のところは闇魔法でパラを成長させることにしよう」


私は闇魔法を4回読む。


『スキル《闇魔法Lv1》を取得しました』

『スキル《闇魔法Lv1》が《闇魔法Lv2》になりました』

『スキル《闇魔法Lv2》が《闇魔法Lv3》になりました』

『スキル《闇魔法Lv3》が《闇魔法Lv4》になりました』


「読むというか閉じて開いてを4回繰り返しただけなんだけどちゃんとスキルとれたね」


そもそも中身は白紙だったよ、ちょっと手抜きだね。


《闇魔法Lv4》……闇属性の魔法が使えるようになる。


取得条件……闇の魔法書を読む。


現在使用可能魔法 

Lv1 消費MP10 ダークボール(弱麻痺、弱毒)

Lv2 消費MP30 ダークアロー(麻痺、毒、弱スロウ)

Lv3 消費MP50 ダークバレット(麻痺、毒、スロウ、弱暗闇)

Lv4 消費MP100 ダークランス(麻痺、毒、スロウ、暗闇)


*状態異常になる確率は使用者と対象の幸運による。


*状態異常になった後の効果時間は使用者と対象の賢さによる。(弱暗闇、暗闇は除く)

(使用者−対象)×10秒(弱は1秒)


「す、すごい!こんなにも状態異常が出来るなんて想像以上だよ!」


私の賢さが低いからそんなに状態異常には出来ないかもだけど出来たらパラのMPを温存できる。


「麻痺とか毒は分かるけど他の状態異常の効果はどんな感じなんだろう」


私はもう少し設定を見てみる。


弱麻痺――身体が動きにくくなる。

麻痺――身体が動かなくなる。

弱毒――5秒毎にHPが1減る。

毒――2秒毎にHPが1減る。

弱スロウ――俊敏が1割減少する。

スロウ――俊敏が3割減少する。

弱暗闇――1秒間相手を暗闇状態にする。

暗闇――3秒間相手を暗闇状態にする。


「暗闇って状態がよく分からないけどこれ以上の説明はないみたいだし森にでも行って試しに行こっと」


私は闇魔法を試しに森へと向かった。


もちろん、通り道にある噴水は破壊した。

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