第9話 ボス戦へ

「とにかくパラが麻痺粉を使う時は離れるか麻痺に耐性のあるスキルとかを見つけるか賢さを上げるかしないとだね」


破壊モードが頭にチラついたがよく考えてみたあれは賢さが0になるんだった、余計に酷くなる未来が見える。


「あれ?何か開けた場所に出た……」


ずっと木々だらけだったのに綺麗な花が沢山咲いた広場みたいな場所に出てきた。


「なんか場違いな巨大な扉がある……」


広場の中央には遠くからでも見えるほど、大きいな扉が佇んでいた。


とても綺麗な場所なので違和感が凄い。


「あれがボスゲート……?」


目の前に立つと迫力がある扉だ。


「む、我々が最初の攻略だと思っていたのだが先客がいたか」

「あ、こんにちは」


後ろから足音と声が聞こえたので振り返ると朝に森の入り口でウルフの群れと戦っていた四人組のプレイヤーがいた。


オレンジの髪にカッコいい剣と鎧を纏った大人な女性。


黒髪でおっきな盾に立派な鎧を着た男の人。


茶髪の男の人で武器は多分腰にかけてある短剣。


金髪で魔法使いのようなローブを着ている杖を持った綺麗な女の人。


「見たところソロっぽいがβテスターか?」


おっきな盾を構えた男の人が話しかけてくる。


「ちょっといきなり相手のこと聞くのは失礼だと思うよ」


魔法使いっぽい人が横に入りを見てくる。


「私の名前はサーリア、魔法使いをやっているわ」

「俺はラルグだ、よろしく」

「闇」

「私はアルテナだ、よろしく頼む」


アルテナ、どこかで聞いた名前……ってボス倒していたパーティじゃん!


「ラビリルです」


ところでなんで誰も私に近づいてこないのだろう?一定距離ずっと離れたまま話しているからちょっと大きな声で話している。


「ところで聞きたいんだが……そのフォレストマッシュは大丈夫なのか?」


ああ!なるほどパラを警戒していたのね。


確かに近づくと危険なモンスターだから仕方ないのかな?


「私のペットです!可愛いですよ?プニプニボヨボヨしてて気持ちいいです。触りますか?」

「いや、遠慮しておこう……」


しまった若干引かれてしまった。


「そういえばモンスターを仲間に出来るスキルがあるって掲示板で言ってた気がするわね」

「俺は掲示板見ないから分からんな」


ふむ、やっぱり離れているから声が聞き取りにくい。


「あの、ボス行ってもいいですか?」


そろそろお昼になるのでログアウトしなければいけないし早めに戦っておきたい。


「もちろん、ラビリルがボスを先に見つけたんだし当然だな」

「私たちはラビリルさんの後にでもできるので大丈夫よ」


そうと決まれば早速ボスに行っちゃうぞー。


「じゃ行きますね」


ゴゴゴゴと扉に近づくだけで勝手に開いていく。


私はパラを抱きながら扉の中へと歩いた。


◆◇◆


バタンと扉の閉まる音が森の中に響き渡る。


「さて、我々はここで待つとするか」


適当な岩に腰を掛ける。


「β時代にあんなやついたか?」

「私は見てないわね」

「……」


闇は無言で首を横に振っていた。


この男はリア友なのだが極度の人見知りで無口なのだ、それなのに私と一緒にゲームをしてくれる昔からの親友だ。


ラルグとサーリアはβ時代に出会った時にパーティを組んだ。正式にサービス開始した今でも集まってパーティを組んで最前線で攻略している。


「β時代どころかサービス開始から今まで始まりの平原はともかく、今でも攻略者が少ないであろう試練の塔ですら見てないな」


あの不気味なフォレストマッシュを可愛いと言っていたおそらく中学生くらいの少女。


かなり良さげな装備品を身につけていることを見るに相当レベルが高いだろう。だがしかしソロでこのボスはきついだろう。


「まあここのボスはβ時代でも攻略者は出ていないから初見でソロは無理だろ」

「私達もβ時代レベル17まで上げたのに勝てなかったわね」


βテストは一週間、短い期間だった。それでもレベルを17まで上げたのにこのボスには勝てなかった。


推奨レベルより高いが所詮は推奨、もっとレベルを上げろという事だ。


正式サービスではβ時代では試行錯誤だったスキル取得や経験値を効率良く稼いでいったので1日半でここまで来れたが今のレベルは皆12。


とりあえずデスペナルティ覚悟でβ時代とボスが変わっていないか行動パターンなどを確認しにきただけだ。


「結構時間経ったが結構粘ってるな、ラビリルだっけ?」

「ソロで拳系の武器だったし俊敏が高いんじゃない?」


私達は待っている間あの少女について話しているとその出来事は急に来た。


『ボス撃破のお知らせ!エリブミの森でラビリルがジャイアントトレントをソロでの初討伐に成功しました!おめでとうございます!』


信じられない通知で全員が固まって動かなくなってしまった。

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