第3話 死亡からの死亡

「ちくしょー!また負けた!」


ウルフの群れに殺された私はまたもや謎の空間でリスポーン待ちをしているのだった。


待ち時間の5分が長く感じる。


そういえばステータスってどうなったんだろう?


ラビリル Lv5 


HP140/140 MP140/140


筋力 6 防御 13

賢さ 5 俊敏 11

幸運 5

SP4


スキル《ヘルプ》《番狂わせ》《異常者》


装備

  武 初心者のナックル 筋力1

  頭 なし

  胴 初心者の服(上)防御1

  腰 初心者の服(下)防御1

  足 初心者の靴 防御1 俊敏1

  他 なし

    なし


「おおっ!順調に強くなってる」


新しく覚えたスキルもあるね!


《番狂わせ》……自身より格上のレベルと戦う時相手とのレベル差の分を自身のステータスに上乗せする(上限10)


取得条件……10レベル以上の差がある魔物に勝利する


「凄い!もう一つの方は……」


《異常者》……ダメージを10受けるごとに筋力が1上がる


取得条件…痛覚設定100%で一定以上ダメージを受ける


「ちょっと名前があれだけど強いからヨシ!」


ステータスポイントも全部防御に振っておこう。これで少しは死ににくくなるはず。


ポチポチと操作をしてステータスポイントを振るころには再リスポーン時間はとっくに過ぎていた。


「よーし!どんどんモンスターを倒していこう」


ステータスが上がった私は単独のウルフなら無傷とはいかないけど楽に倒せるようになった。


『レベルが上がりました』


「またレベルが上がった!」


ウルフを数匹倒すとレベルが上がり自信のついた私はどんどん森の奥まで進んでいった。


「ん?あれは…蜂だ!」


ポイズンビー Lv9


人の頭くらいの大きさでブーンと羽をならす音が聞こえる。


私は平気だけど人によっては苦手そうな見た目だね。


「こっちにきた!」


私に気づいたポイズンビーは大きな針を向けてこっちに向かってくる。


「あぐっ!痛っ!速いね……でも捕まえたよ」


想像以上にポイズンビーの動きが速く、左肩に針がぶっ刺さってしまった。


しかし刺さっていて動けないうちに思いっきり殴るとポイズンビーはあっさりと倒せた。


「あれ?もう終わり?防御が弱かったのかな」


レベルも9だったし弱い個体だったのかもしれないと思っているとHPが紫色になっていることに気づいた。


「何これ?また状態異常?」


HP126/150 HP125/150 HP124/150


なんと紫色になったHPが数秒置きに減っていくのだ。


「わわわ!これ毒?!どうやって治すの?!」


このままでは死ぬのを待つのみだ。


しかしゲーム初心者なラビリルはHP回復アイテムすら持っていなかったので毒など治せるわけがなく、慌てるだけでそのままHPが0になって死んだ。


「うん……また死んだ」


毒の対策ってどうすればいいの?


そう思っていると視界の端の通知欄が光っていることに気づいた。


『毒を治すアイテムを手に入れよう』


どうやら死んだ時にヘルプがその原因について教えてくれるっぽい?


ウルフに殺された時も通知きてたみたい。


『レベルを上げて再挑戦しよう』


とあった。


もっとも私はレベルを上げずに再挑戦したけどね。


「アイテム……毒消しみたいなのがあるのかな?」


ゲームを始めてから街の散策なんてやってないからそんなアイテムがあるなんて知らなかった。


そういえばお金ってどれくらいあるんだろう?


480G


うーん、元々持っていた金額も分からないから多いのか少ないのか分からない。


「キリのいい1000Gまで貯めてから買いに行こうかな」


ウルフなら毒はないしなんとかなるでしょ。


最悪毒になったら死ぬまでにウルフなりポイズンビーなり倒しまくろう。


ただレベルが10になったらデスペナルティがあるし、レベル10になったらお金が貯まってなくてもアイテムを買いに行こう。


「アハハハ!ウルフくんもう私には敵わないねぇ!」


3匹に囲まれた私は特に苦戦することなく次々と突進してくるウルフに拳を振り続ける。


結構ウルフを倒して分かったんだけど、この子たち突進か噛みつきか突進噛みつきの3パターンしか無いんだよね。


「はいラストー」


『レベルが上がりました』


3匹目が砂のように消えていき再度レベルが上がる。


「よし次…って何あのキノコ」


どう考えても普通の大きさじゃない毒々しいキノコが私に向かって移動してきているように見えた。


「よく見たら足生えてる……うわぁ」


これまた、私は平気だけど苦手な人も多そうだね。


フォレストマッシュ Lv14


「レベル高っ!けどあんまり強くなさそう」


動きが凄く遅いし前とか見えてなさそう。


ゆっくりゆっくりと私に歩み寄ってくるフォレストマッシュに私は攻撃してみた。


ポヨンとした弾力で攻撃が弾かれる。


「プヨプヨしてて全然ダメージが入っている感じがしない……殴りがいが無い」


でもこのフォレストマッシュも全然攻撃してこないから私はボコスカ殴りまくった。やっぱり殴りがいが無い。


しばらく殴っていると急にフォレストマッシュが謎の黄色い粉を私に振りかけてきた。


「ゲホゲホッ……何?フォレストマッシュの攻……げ……」


黄色い粉を吸い込んだせいか身体に力が入らなくなりバタリと倒れる。


麻痺……HPの横にそう表示してあった


「あうっ!お腹……で、跳ね、ない……でよ」


フォレストマッシュは倒れた私の上に乗ってボヨンボヨン跳ねるが防御が高いおかげかほとんどダメージはない。


「一体、何を……ヒッ!」


急に跳ねるのをやめたと思ったらキノコの頭がパックリと割れて大きな口のようなものが私に向けられる。


「ア"ア"ア"!痛い、痛い、お腹、食う、な」


物凄い激痛と共にゴリゴリHPが削れていく。


「ケフ……次、は、か、つ」


麻痺と痛みでほとんど声が出ないなか目の前のフォレストマッシュに向かって絞り出すように声を上げる。


そしてすぐにHPが無くなり私は死んだ。

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