第2話 ギリギリの勝利と突然の敗北
「こっちは人が全然いないね」
東の草原は人がいっぱいいてモンスターなんてほとんど狩られてたから南の森にきた。
『*警告 推奨レベルより高いエリアに居ます。現在エリブミの森 推奨レベル15』
いきなり目の前にメッセージウィンドが表示された。
確か最初からあるスキルの《ヘルプ》が色々教えてくれるんだっけ。
「推奨レベル15かー、だから誰も人が居ないんだ」
今日が発売日だしレベル15なんてそうそういないだろう。
「まっ私もレベル1なんだけどねー、普通に死んじゃうかも」
そういえばデスペナルティってあるのかな?
「ヘルプ、デスペナルティはある?」
『1時間の間全ステータス半減、経験値取得数半減です。ただレベル10未満のデスペナルティはありません』
《ヘルプ》はすぐに答えてくれた。
なるほど、じゃあ死んでも良いね。
しばらく歩いているとモンスターと思われるオオカミが現れた。
ウルフ Lv11
モンスターの頭の上に名前とレベルが表示してあった。
「初戦闘にしては強敵すぎるけど……倒すしか無いよねぇ」
グッと拳を構えるとウルフは口を大きく開けて私に向かって突進してきた。
「早っ!がはっ」
何も出来ずに私は近くの木に叩きつけられる。
「めっちゃ痛い……」
視界の隅に映っているHPが赤い文字で15と表示されている。100あったHPが一瞬で無くなった。
ええ……防御上げててこのダメージって…強すぎない?
いや、私のレベルが低すぎるだけか。
「あれ腕の感覚が……って左腕無くなってる?!」
恐る恐る左腕を見ると綺麗さっぱり無くなっていた。
私を突き飛ばしたウルフの方はどう考えても私の左腕だろうものを口に咥えていた。
ゲームだからか血じゃなくて青くてキラキラしたものが無くなった肩の付近から出ていた。
「良くも私の左腕を!」
足元にあった小石を掴みウルフに向かって投げる。
しかしウルフに当たることはなかった。
「ちょっ!私の左腕、ぺって捨てないでよ!」
左腕をゴミのように捨てたウルフはまたもや私に向かって突進してこようとしていた。
「さっきは何も出来なかったけど……それ、突進する前に少し溜めがあるよね」
ウルフの視線は私の右足付近を見ている…狙ってくる方向とタイミングが分かれば――!
「アッハッハ!残念だったねウルフくん、もうそのまま攻撃は効かない……って事はないけど注意してみれば避けれなくはないよ!痛てて……」
右足を見ると少し切り傷が出来ていた
避けれはしたけど若干掠ったらしい、そもそもさっき叩きつけられて全身が痛いから多少の痛みはどうでもいい。
ちなみにHPは11まで減っていて何やら欠損状態とかいう状態異常にもなっていた。
5分おきにHPが1減るらしい。
「ハッ!そんな事見ている暇なかっ――」
後ろを見ようとした時にはウルフがすぐそばまで迫っていてそのまま私は背中から食われて死んだ。
「うわーん、負けた!油断したー!」
最初に設定したような不思議な空間に送られた。
『再リスポーンまで後4分50秒……』
どうやら死ぬと生き返るのに5分かかるらしい。
「次は絶対に勝つ!」
5分後、無事にリスポーンした私は再度エリブミの森に向かって走った。
ウルフ Lv12
さっきより強いウルフに遭遇した。
「集中集中……っそこ!」
ウルフが思いっきり頭を狙ってきたのを倒れるように避けてウルフの腹を思いっきり殴る。
鈍い音がしてウルフが転がり回る。
「さらに追撃!」
ボコボコとウルフを殴り続ける。動きが速くても押さえ込んで仕舞えばただのサンドバッグ。
しかし筋力が低いからなかなか倒せない。
「痛っ!この!私の手を離せー」
殴っているところを口で咥えられて思いっきり噛まれる。
「痛い痛い痛い痛い」
鋭い歯をギシギシとめり込ませ物凄い激痛が走る。
私は抵抗するように噛まれていない逆の手でポカポカと殴る。
「はぁ、はぁ……やっと離したなこのやろー」
噛まれた手はズタボロで動かない。押さえ込んでいたのも逃げられてしまう。
しかしウルフも相当なダメージのようでふらふらと身体が揺れていた。
「これで最後だー!」
再度突進してくるウルフに向かって私は思いっきりパンチをする。
ダメージを受けていたからかウルフの動きが鈍っていたおかげで思いっきり攻撃が当たった
「しゃー!勝利!」
HPが無くなったウルフは砂のようにキラキラと消えてなくなった。
『レベルが上がりました』
『レベルが上がりました』
『レベルが上がりました』
『レベルが上がりました』
『スキル《
『スキル《異常者》を取得しました』
ウルフを倒したら色々通知がきた。
「格上倒したんだから沢山レベル上がるよね、これでもっと沢山ウルフを倒せるね」
そう思った矢先に次のウルフが……沢山現れた。
ウルフ Lv9
ウルフ Lv13
ウルフ Lv10
ウルフ Lv8
「いや……沢山倒せるとは言ったけど!ウルフの群れは聞いていないってー!」
既にボロボロな状態の私は当たり前のように食われて死んだ。
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