【2024/7/5完結】なんで私が追放なのよ!はぁ。もういいわ。私は助けを求めてきた剣士様と、私を守ってくれる精霊たちと一緒に行くから、勇者様 あなたはどうぞご自由に。
第34話 勇者ざまぁ⑯エピローグでもざまぁが続く……
第34話 勇者ざまぁ⑯エピローグでもざまぁが続く……
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ふと気付くと僕は暗い場所を歩いている……。
ここはなんだ?
僕はどこからやってきた?
振り返ってみても何も見えない。
なんの感覚もない。
ただただ真黒な空間だ。
そんな中で、僕はひたすらまっすぐ歩いている。
何かに躓くかもと一瞬思ったが、そんな気配はない。
こっちに行けと、まるで引き込まれるような感覚の中、ただとぼとぼと真っすぐに歩いていく。
本当に真っすぐかは暗くて見えないが。
足が勝手に動いていく。
どういうことだ?僕はどうなったんだ?
あぁ、そうだ。
僕はエメリアに敗れたんだった。
スーメリアはどうなった……?
なにをやってるんだろうな、僕は。
思い浮かぶのは自分の最後の姿……。
仲間を失い、聖剣を失い、理性をも失った姿だ……。
そこまでやっても僕は敗れた。あっさりと。
そもそもなぜあんな力が僕の中にあった?
あれではまさに魔物だ。
まさかエメリアの言うことが本当だったのか?
いや、そんなバカなことはない。
僕は勇者だ。
僕は王子だ。
僕の中に魔族の因子などない。
もしあったらそれはもう血の中に含まれていた……まさか国王のやつ……母や祖母が魔族だったとかじゃないだろうな?
いや、そんなことはもうどうでもいい。
そんなことは……。
大事なことはエメリアが許せない、ということだけだ。
僕のことなんか嫌いだったんだろう?
失墜させ、破滅させたかったんだろ?
あっさりと僕を倒したな。
かつての仲間、かつての婚約相手である僕をあっさりと。
血も涙もないやつだな。
ふざけんなよ。
なのになんでそんな表情なんだよ。
ふざけんなよ。
もっと勝ち誇れよ。
魔王も四天王も、敵は全部倒したんだって。
闇に染まった元勇者や仲間の魔導士すら倒したって。
できないんだろう?
結局は自分の力じゃないからな、お前は。
ふざけやがって。
たくさんの精霊に愛されて幸せか?
多くの人間に讃えられて嬉しいか?
そこの無骨な国王さまに求められて満たされたか?
ふざけんなよ?
絶対に許さないからな。
僕だけは絶対にお前を許さないからな。
絶対に僕がお前を潰してやるからな。
それまで少しの間、のうのうと生きてればいいさ。
そうして歩いていると、ふと真っ暗な中で何か仄暗い灯が見えてきた。
あそこに行けばいいのか?
洞窟の出口のような……?
不穏な空気は感じるが、どうせ足が勝手に動いていく。
勝手に灯に向かって歩いていく。
その灯に近付いていくと、だんだん暑くなってきた。
灯は少しずつ大きくなり、赤みを帯びていく。
そうして僕はその灯に辿り着いた。
それは出口だった。
僕は迷わずその灯に飛び込んだ。
その先には景色があった。
いままでの真っ暗な場所とは違う、景色。
決して歓迎すべきものではないが、そこに大地が続いていたことで僕は少し安心した。
僕はエメリアにやられてもう死んでしまって、どこか違う場所に行ってしまうのかとも思いながら歩いていた。
もしそうなったら、僕はエメリアに復讐できない。
しかし景色がある場所に辿り着いた。
ただの真っ暗な世界から抜け出た。
ここがどこなのかはわからない。
燃える土砂……溶岩がいたるところに流れる平原のような場所だ。
草木は1本たりとも生えることはなく、生物は1匹たりともいない場所。
ただ溶岩が流れている。
ふと歩いてきた方を振り返ったが、真っ暗な場所はなくなっていた。
そもそもそんな場所はなかったように、僕の後ろにも同じような燃え盛る平原が広がっている。
僕はどこから出てきた?
わからない。
そこへ……
「裁判を始める!」
突然、凄まじい雷鳴のような大声が聞こえ、僕は咄嗟に耳を押さえた。
頭がぐらぐらする。
なんだ?
なんの裁判だ?
僕のか?
ここはなんだ?
見渡しても誰もいない。
なのに何かを呟くような声が聞こえる。
まるで声が天から降り注いでいるようだ。
僕がなにをした?
お前は何を呟いている。
「おい!答えろ!」
僕は叫ぶが何も起こらない。
呟きも止まらない。
そして……
「ふむ。強い怨念が消えておらぬな。これは惑うことなく地獄行きじゃ!!!!」
凄まじい大声がまたも振ってきた。
なにか金属のようなものを打ち鳴らす音も聞こえる。
ふざけるな!
僕がなにをした!
僕はただ、魔族と戦っただけだ!
それでなぜ地獄行きなんだ!?
それなら世界中の人々が地獄行きになるだろう!?
なのになぜ、ここには誰もいない。
なぜ僕だけが裁かれなければならないんだ!?
多くのモンスターを殺したからか?
ならエメリアは!?
あいつこそ
ぐっ……
そう思った瞬間何かに潰された僕は……
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ここまでお読みいただきありがとうございました。
ということで、もの凄いぶつ切りな感じですが、これで第二章終了です。
ライエルの魂はどうなったのでしょうか……。
少しでも多くの方に見て頂くためにフォローや☆評価(☆☆☆→★★★)を頂けると、とても、とってもありがたいです。
どうかよろしくお願いします!
次回からは新章がスタートします。
引き続き、どうぞお楽しみいただければと思います。
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