【2024/7/5完結】なんで私が追放なのよ!はぁ。もういいわ。私は助けを求めてきた剣士様と、私を守ってくれる精霊たちと一緒に行くから、勇者様 あなたはどうぞご自由に。
第28話 3人目にして最後(?)の四天王
第28話 3人目にして最後(?)の四天王
アラグリア大陸にて名も知らぬ四天王を倒した私たちの次なる敵は最後の四天王です。
えっ?まだ3人じゃなかったかって?
そうですね。ルーディア大陸のダーメルド、アラグリア大陸の四天王と、あとは今向かっている先にいる四天王の3人ですね。
なぜ3人なのかはすみませんが知りません。
しかし、四天王として広まっている魔族はなぜか3体なのです。
もしかしたら今だ隠れている四天王がいるのかもしれませんし、何らかの理由で既に倒れたあとなのかもしれません。
ですが、とりあえず私たちは次の四天王を倒しに向かっています。
もし4人目がいるならその次に出てくるでしょうし、いないならいないで魔王の魔力の残滓を追えばいいんです。
なので、今は次なる四天王との戦いに想いを馳せつつ、4つ目の大陸であるファージュ大陸に向かって飛んでいます。
えっ?船じゃないのかって?
船じゃないんです。この大陸はなんと空に浮かんでいるので、飛んでいかないといけないのです。だから私たちは風の精霊シルフィード様に頼んで飛んで行っているところなのです。
今回は光と木の大精霊ヴェルディア様も光の精霊ルクシオン様にもご遠慮いただき、シルフィード様と一緒に来ています。
もちろんディルクも一緒です。
ちなみに国王陛下に頼んでファージュ大陸の強国であるグリスメア帝国に打診をしてもらったところ、すでに私の噂をご存じであり、なんと四天王がいるお城の地図が送られてきました。
清々しいほどの丸投げっぷりで間違いなく倒してってことだと思います。
そのためヴェルディア様たちを連れて来ても良かったのですが、『高いところは嫌い』とかいう子供のような理由で断られてしまいました。
木の精霊でもあるので仕方ないでしょうか……。
「みっ、みっ、みっ、見えてきたな……エメリア殿」
はい、私にも見えていますが、どうしてディルクはそんなに震えているのでしょうか?
「頼むから早く頼む。怖い……」
どうやら空を飛ぶのが怖かったようです。
たしかに慣れていないと怖いかもしれません。
なにせ、特に何かに乗るのでもなく、ただ風に煽られて飛んでいるだけなので、もしシルフィード様が風の魔法を使うのをやめたら真っ逆さまです。
もちろんそんなことはしませんが。
そうして私たちは空に浮かぶファージュ大陸の山々のさらに上を飛び、一直線で四天王のいるという城に飛んでいき、降り立つと同時にシルフィード様に強力な風魔法を叩きこんでもらいました。
ついでにもう一体ついてきてくれた大地の精霊であるタイタン様を召喚します。
タイタン様はその名の通りとても大きいのです。
四天王の住む城と聞いてとても大きなものを想像していたので、巨大質量の落下でダメージを与えてもらおうと思ってお願いしたのですが、少々やりすぎましたね。
なんと、城よりもタイタン様の方が大きかったので、ぺしゃんこです……。
てへっ♡
「これ、俺はついてくる意味があったのだろうか……」
ディルクが落下するタイタン様に潰されてお城が崩壊していく様子を見つめながら何やら呟いていますが、あなたは正式に私の護衛に任命されたのであきらめてくださいと心の中で思っておきました。
しかし、ここの魔物たちは私が思うより元気でした。
タイタン様に潰された城から次々に飛び出してきます。
まるで巣を壊された蜂のようにぶんぶんと何百匹も。
彼らはタイタン様に一斉に襲い掛かります。
タイタン様は煩わしそうに大きな手を振ったので当たる傍から辛うじて残っていたお城の一部などがどんどん破壊されて行きますが、魔物たちは気にせずタイタン様に攻撃しているようです。
いきなり怪獣大戦争みたいな絵になってしまいましたが、タイタン様が一方的に攻撃されているのは申し訳ないので一度戻っていただき、かわりにシルフィード様に強力な風を放っていただいて、全ての魔物の動きを止めてもらいました。
私は魔力を両手に集中させます。
基本的に精霊様に直接力の行使をお願いする私ですが、本来の精霊術師の戦いというのは力を借りての魔法行使なのです。
今回は強い自我のある精霊様は連れていないので、私が自分で攻撃しようと思います。
「えっ?エメリア殿?」
すみません、ディルク。今は遊んでいる余裕がないので後にしてください。
「エメリア殿?魔力を注ぎ込みすぎでは?というか、以前に比べて物凄く魔力が増えてませんか?えっ?」
そうですね、最近自分で戦っていなかったので意識することも少なくなっていますが、ルーディア大陸を解放した時から比べてレベルも相当上がって、魔力はかなり増えています。
そんな私の魔力のほぼ9割くらいをつぎ込んで魔法陣を通じて魔法を完成させます。
私の上に出現した魔法陣はとても大きくて、これなら地上からも見えているかもしれませんね。
では、行きます。
「ちょっ、待って。シルフィード様、もう少し俺を大地から離してくれ……おぉ、ありがとうって、シルフィード様一緒に逃げてないか?」
ディルクがシルフィード様と一緒に離れていきました。
もう、2人にはちゃんとシールドを貼るので巻き込んだりしないですよ。
そう思いながら私は魔法攻撃を放ちました。
その魔法は光り輝く球体となって進んで行き、一か所に推しとどめられていた何百匹もの魔物を全て消し去り、お城の残骸に着弾しました。
よし、私たちの勝ちです。
そう思ったものの様子が変でした。
あれ?どうして球体が爆発しないのでしょうか?
障害物にぶつかったので周囲を巻き込んではじけ飛び、お城を破壊して終わるかと思ったのですが……。
なんと、球体はそのまま沈んでいきます。
あれ?
……やばいでしょうか。やりすぎましたでしょうかね?
その球体はなんとそのまま進んでいき、空に浮かぶ大陸の地面を突き破って海に落ちていきました。
そして巨大な爆発音が響き渡り、私の耳は……間に合いました。なんとか防護しましたので鼓膜は無事です。
しかし上がる水しぶき……というかあれ?雲ですか?海水が巻き上がって空に昇り、ファージュ大陸を直撃して揺らしてますね。
……ごめんなさい。
この後、グリスメア帝国に赴いて皇帝陛下に謝っておきました。
間違いなく四天王は倒れ、ファージュ大陸から強力な魔物を一掃したということで、顔にあからさまな作り笑顔を張り付けた皇帝陛下や大臣の方々に労って頂けたので、問題はないですね!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます