【#5】《掲示板》話題の酒クズ女サムライについて

 デビュー配信後の夜。


☆【速報】話題の酒クズちゃん、ダンジョン配信者としてデビューする!!★


(うわぁ〜!? お、俺について語るスレがある〜!?)


 ティーシャのお風呂を待つ間、そんなタイトルのスレを見つけてしまった。


 まぁ、あんだけ話題になれば立つのは当然か……。


(でも、どうしよう……??)


 見るか見ないか、迷ってしまう。


 これから配信者として活動していくなら……本当は見ないようにした方がいいんだろう。そりゃ悪口とか書かれてたらイヤだし。


 でも、どうしてもこういうの気になっちゃうタイプなんだ──ダメだ!! やっぱ我慢できない!!


 けっきょく好奇心に負けた俺は、そのスレを恐る恐る開いた。



◇◆◇◆◇



☆【速報】話題の酒クズちゃん、ダンジョン配信者としてデビューする!!★



1:名も無き探索者さん


 いやー、衝撃的デビューだったわ

             

2:名も無き探索者さん


 ここまでの酒クズちゃんの動きまとめ


 (昨日の夜)ティーシャが迷惑系に絡まれていたところへ助けに来た酒クズちゃん

 ↓

 (今日)ティーシャと一緒にデビュー配信。さらに家に同居も決定←今ここ


3:名も無き探索者さん


 ちくしょーー!! ティーシャと同居なんて羨ましすぎんだろ!?


4:名も無き探索者さん


 しかし、話題になってすぐ配信デビューとは思い切ったな


5:名も無き探索者さん


 >>4

 いいことだ。あんなにおっぱいデカい子が配信で毎回見れるなんて!!



7:名も無き探索者さん


 >>5

 それもそうだな。おっぱいは正義



10:名も無き探索者さん


 酒クズちゃんのD-LINEも開設されたみたいだね(URL略)



13:名も無き探索者さん


 >>10

 おっ、フォローしとくか



15:名も無き探索者さん


 なぁなぁ、ちょっとその酒クズちゃんのD-LINEで笑ったんだが


 プロフィール欄に『配信者になる前の職業→"ニート"』って書いてあって草


17:名も無き探索者さん


 >>15

 うーん、ダメ人間!!


20:名も無き探索者さん


 昼間からダラダラしながら酒をあおる酒クズちゃん……まさに想像通りの女だ!!


24:名も無き探索者さん


 なんかそう思うと親近感わいてきたな


27:名も無き探索者さん


 そして、今はティーシャのヒモにランクアップしたってわけ


30:名も無き探索者さん


 >>27

 ますますダメ人間じゃねーか

 でも、むしろ可愛いから許せる!!


33:名も無き探索者さん


 そういや、スキルの話は笑ったなー。【酔剣】だの【鋼の肝臓】だのネタスキルすぎる


35:名も無き探索者さん


 >>33

 それな


37:名も無き探索者さん

 

 でも、例の動画でいい動きしてたのもあの【酔剣】のおかげか? だとしたら、結構強いんじゃね?


40:名も無き探索者さん


>>37

 いやいや、アレはあの迷惑系共が弱すぎるだけだよ。ギルドのランク規定に従えば、せいぜいBランクくらいの実力だろう


42:名も無き探索者さん


 んー、それもそうかも


44:名も無き探索者さん


 まぁとにかくこれから見守っていこうや。近々ダンジョンでの配信もすると思うし


46:名も無き探索者さん


 >>44

 だな!

 なんかあぶなっかしそうな感じするし、配信中はアドバイスのコメ書いてやるか


48:名も無き探索者さん


 あぁ~、配信楽しみ~

 可愛いうえにおっぱいもデカい!! こんなの最強だ!!


50:名も無き探索者さん


 >>48

 酒クズちゃんを性的な目で見ないでください


53:名も無き探索者さん


 おっ、本人か~?


54:名も無き探索者さん


 いやいや、そんなワケないでしょ~。あんな美少女がこんなとこ見てるわけないじゃん


56:名も無き探索者さん


 それもそーだな


◇◆◇◆◇


(……言えない。まさか”本当に見てる”なんて)


 そうやって変な汗をかきながら、掲示板を見ていた時だった。


「アヤカちゃん、何見てるの~?」


「わぁ!?」


 ティーシャに後ろから話しかけられて、俺は慌ててスマホを隠す。


 どうやらいつのまにか風呂から上がっていたらしい。ティーシャの銀髪はほんのりとれており、肌は少し赤くなっていた。


(うぉぉお!? お風呂上がりのティーシャ……めちゃくちゃ可愛い!!)


 ……と、浮かれている場合でもなかった。


「なになに〜?」


 ティーシャはニヤニヤと面白がるように言って、わざとらしく「ハッ!」と両手を自分の口に当てた。


「もしかして、見られたらマズいモノでもご覧になってましたか~!?」


「そ、そうじゃないですけど……!?」


「えぇ〜? ホントにぃ〜?」


 でも、彼女はそれ以上追求することなく、あっさりと別の話題に切り替えてきた。


「ところでさー。アヤカちゃんの寝る場所なんだけど……」


「ハイッ!? ぜひ、なんなりと!! どこでも申してください!? 廊下の床でも、押入れでも喜んで寝るので~!?」


「いやいや!? そんなに自分を下げなくてもいいよ!? てゆーか、アヤカちゃんにはベッドでちゃんと寝てもらわないと、逆にこっちが安心できなくなっちゃうよ!」


「そ、そうですか……」


「でも、確かに現状ウチにベッドが一つしかないのも事実! そ・こ・で!!」


 すると、ティーシャは奥から白い枕を持ってきて、そのまま俺に手渡しながら言った。


「アヤカちゃん、一緒に寝よ♡」


「!?」


 おいおいおいおい!? 今……なんて言った!?


「わ、わたしがティーシャと一緒に寝る!? そんなことしちゃっていいんですか!?」


「いいよぉ〜? 別にこれくらいはフツーだよ? なんだからさ~♡」


「うっ……」


 ホントは男なんですけど……。


 しかし、正直に言えないもどかしさ!! 俺が”生まれついての女の子”というていで話を進めるしかなかった。


「えっと……わかりました!! もしティーシャがいいんでしたら、同じベッドで寝させてもらいたいです!!」


「やったーーーー!!」


 嬉しそうにバンザイするティーシャ。


 そのまま二人で寝室まで行き、さっきの話通り本当に一緒のベッドで寝ることになった……!!


 消灯して布団をかぶったティーシャは、俺にスペースを開けながら微笑んでくる。


「えへへ、なんかドキドキするね?」


「ま、まったくですね……」


 ……てゆーか、さっきからドキドキしっぱなしだ。それこそぶっ倒れそうなくらい。

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