第2話久しぶりの逢瀬

須藤家。


「明日はいつものようにママ友とお茶してくるわね」


夏菜の一週間に一度のいつもの予定を耳にした寛治は何でもないように頷いて応えた。


「凛桜が学校に行っている間だけだよね?」


「もちろん。ママ友会が終わったら、その足で学校まで迎えに行くから」


「そうか。皆さんも一緒に迎えに行くって感じ?」


「そうね。そうなると思うわ」


「分かった。僕は仕事だから…頼むよ」


それに頷いた夏菜は寛治の晩酌に軽く付き合って何事もなく眠りにつくのであった。




郡道家。


「明日は付き合いでゴルフに行ってくる」


翔の言葉に直美は適当に頷きスマホを手にしていた。


「分かったわ。私もお昼頃に買い物に行ってくるわね」


「買い物?走が帰ってくるまで?」


「もちろん。その足で迎えに行くわ」


「分かった。僕も夕方までには帰って来るから」


直美はそれに頷くと翔の晩酌に適当に付き合って眠りにつくのであった。




翌日。

須藤夏菜。


ホテル街の駐車場で件の人物を待っていた。

数分遅れて見覚えのある車が駐車場に入ってきて上手に駐車する。


「待った?」


相手は車から降りると少しだけ照れくさそうな表情を浮かべて微笑んでいた。


「うんん。今さっき来たところ。翔の遅刻癖は昔から変わらないね」


「治ったと思っていたんだけどね…ごめん待たせた」


「良いわよ。早速中に入りましょう」


そうして夏菜と翔は腕を組みながらホテルの中へと入っていく。

フロントで部屋を選ぶと鍵をもらいエレベーターに乗り込んだ。

そのまま室内に入ると一緒にシャワーを浴びて…

そこからはお互いを求め合うような激しい行為が二時間ほど続くのであった。



「久しぶりだったね。何年ぶり?」


夏菜は行為が終わり着替えをしている最中に翔に問いかけていた。


「どうだろう。随分久しぶりで思い出せないな」


「そうね。でもまた一つになれて…幸せだよ」


「そうだな」


二人は本日の感想のような言葉を口にして引き寄せ合うようにしてキスをした。

薄く微笑みあった二人は会計を済ませてホテルを後にした。

駐車場でお互いの車に乗り込んだ二人は別々の帰路に就くのであった。




郡道直美。


正午になる辺りに一人きりの家を静かに出る。

車に乗り込んで駅から歩いて数分のホテルで相手を待っていた。

相手は昼休憩に入れたようで今まさにこちらに向かってきているようだった。

スマホで連絡を密に取っている二人は同じぐらいのタイミングでホテルのフロントに到着する。


「こんにちは。早く入りましょう。お昼休憩が終わっちゃうよ」


「そうだな。入ろう」


二人は部屋を選ぶと鍵を受け取ってエレベーターに乗り込んだ。

部屋の鍵穴に鍵を差し込んで回すとすぐに誰にもバレないように中へと入った。

シャワーを浴びることもなく二人は行為に夢中になり…

全てが終わると一緒にシャワーを浴びる。

着替えを済ませていると直美は嬉しそうに口を開く。


「まさかまた関係を持つようになるとは思わなかったよ」


「僕もだ。入学式で直美を見たときは…本当に驚いた」


「そうね。お互いに見た目はまるで変わっていなかったから…

タイムスリップしたかと思ったよ」


「なんだよそれ。確かにお互いに変わっていなかったが…

それ故に燃え上がったんだと思うけどな」


寛治の言葉に直美は薄く微笑むと彼に熱いキスをして本日のお礼のような言葉を口にしていた。


「お昼休憩だったのに…ありがとうね」


「あぁ。問題ない。十五時ぐらいに適当なお菓子でも食べて腹を満たすから」


「そっか…次は休日にデートがしたいな…」


「分かった。どうにか言い訳を考えておくよ」


「うん。私も…」


そうして二人は再び熱いキスをすると会計を済ませて別々の帰路に就くのであった。



まだ誰にもバレていない全員の関係性。

ここからどの様にして発展していくのか。


そして僕ら私達に待っている運命や裁きとは…

まだそれは誰にもわからない。


また次の逢瀬へ…!

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