第25話至高の錬金術2

「錬金術ってあれだろ?バカ高い薬草使ってくそ不味いポーション作ったりやたら貴重な鉱物で魔法武器作ったりする……」

(ちらっ)

「壊れた道具を修復したりすると聞きますよね」

(ちらっ)


「えっと…うん、多分その“錬金術”であってると思います。」

よいっしょっと、これくらいでいいかなぁ?

1つだけじゃ少ないかもだもんね(タマモは騎士団による捜索隊のメンバーと会話しながら料理の準備を手際よく進めていく。)


「お兄ちゃん達、そんなに気になるんですか?」


お昼ごはんを作った時のかまどまでやってきました。お兄さん達なんか竃で何をするのか気になっているみたい。チラチラよそ見?してるね。お腹空いてるのかなぁ?

大丈夫。ちゃんと皆の分あるからね。それとお肉はすぐに焼かないと痛んじゃうから錬金術のお話しながらお料理するよ


お裾分けのお料理はローストミノタウロスです。


まずは冷たくないお肉にたっぷりめにお塩と胡椒をすりこみます。そうしたらお肉の表面を焼いていきます。強火で全体に焦げ目をつけるの。


「錬金術はね、誰かとわかり会うために出来たんだよ。」


焦げ目着けたら…(竃に火を起こして鉄板をしき肉を焼いていく。ただ焼いていくのも退屈?なため質問に対しての回答も同時にこなしていくようだ。)


「は?錬金術がなんだって?」


「みんな錬金術は金や薬を作るためのぎじゅつ、ほうほうっておそわるでしょ?」


焦げ目着けたらお湯をのなかに葉っぱでくるんでいれちゃいます。グツグツはだめだよ?お肉が被るくらいでお湯の量は大丈夫です。お肉をお風呂にいれちゃいます(料理を進めながら会話を続けるタマモ)あとは熱々を冷や冷やにしないように待つだけです。


「違うのか?」


「僕ね錬金術で金を作るのはただの結果でね。誰かが誰かを好きになったから出来たんだと思うの」



「ん?言っている意味が分からないんだけど」


僕ねあんまり覚えてないんだけどねエル達の話を聞くとね僕はいろんな世界でいろんなことをお勉強して身に付けたんだって。

そんでね錬金術もその一つなんだって。




「錬金術の基本は“解析、分析”からの“分解”して“再構築”なの。」


「あぁ、基本だな」


よし、もう1つは薫製を作ろう!スモークミノタウロスだね。竃もちょうど空いたかならね。そうと決まれば……

(まだ話しは終わらなそうなのでタマモは考えていた二品目に取りかかろうと準備を始める。命具から必要なものを取り出していく。)


「例えば、誰かを好きになったらその誰かを知りたいと思うでしょ?」


四角い不思議な燃えない箱を取り出します。なかは三段食べ物を置く場所が網になっています。特製の混ぜ混ぜチップを一番下に小さなフライパン置いて、箱を竈に置いちゃいます。直接チップに火をつけたら駄目なんだよ。


「?、まぁそうだな。」


「知りたくなったらお話ししたりしてなかよくなるでしょ?」


あとは網のところにお塩と胡椒をすりこんだお肉を置いていきます。別の箱も用意してお兄さんたちがくれたチーズとかお魚(川で捕まえた)をいれちゃいましょう(薫製をする準備を始めた辺りに団員たちがタマモに渡した食材を別の箱で薫製にしていく)


「……」


あとは待つだけですよ。

いい匂いしてくるからね。


「でもね、言葉通じなかったり喧嘩して仲直り出来なかったりしたらどうすればいいのかな?」


「……」


「そんな時にね、皆で美味しいもの食べたら切っ掛けになると思うの。」


「……」 


あれれ?お兄さんたちお返事帰ってきませんね?僕変なこと言ったかなぁ?

(ゆっくりとチップの薫りが立ち上る。話そっちのけで意識が持っていかれている団員たち)


「誰かに気持ちを伝えるのはとってもむずかしいの。だけどね、錬金術ならできるかなって

ぼくの錬金術は色々混ぜ合わせて1つじゃない答えを見つけるものなんだ。」


えりくさー、ぽーしょん……沢山お薬作れるし種類もあるんだ、だけど目的は1つでしょ?“誰かを助けたい”“早く治してあげたい”なんて1つの気持ちがこもっているの


「1つじゃない」


「答え?」


「うん。」


「お料理もそうだよ。沢山の材料に味付け、油で炒めたり揚げたり、お鍋でゆでたり煮たり。行程もそうだけど切り方にいれる順番とか

数えきれない位組み合わせがあるでしょ?」


「あ、あぁ…」



「錬金術もお料理も数えきれない組み合わせの中から答えを“あなたが大切です”って気持ちを伝えるためのものなんだよ。

答えは1つじゃないの

さっきはスープや甘いのだったけど今はお肉で作ってるでしょ?どんな味にしようかって考えながら(解析、分析)切ったり刺したり捏ねたり(分解)して炒めたり煮たり、味付けしたり(再構築)して完成させていくの。最後に美味しく食べてくれたら嬉しいなって盛り付けてね。」


(風を送ったり燃料の位置を変えたりと手際よく火の勢いを一定に保ち続ける作業をこなすタマモの姿に段々と魅いられていく団員たち)


「はぁ……ってただ料理しだけじゃあの説明ができないだろ!」


『もちろん、俺達の主さまが使えるスキル“至高の錬金術”は普通とは段違う!

さっきお前らが喰ったチャウダースープだって』


「エル?」


僕美味しくなれってやったけど変なお薬とかいれてないんだよね。僕にもそれは分かんないの。


『大地と空(太陽)の恵みである根菜類と海の恵みたる魚介類をミルクでまとめて温めたスープをあの場で一番立場の高い医療班が配ったんだろ?』


『これを錬金術的にまとめるとだな

大地と大空と大海の恵みを1つにしたもの即ち鍋のなかを1つの世界に置換え治療即ち再構築を行うもの……まぁ、この場合だと天使や神に当たる役割を持つもの即ち医療班の団員が世界の恵み(スープ)を分け与えた(配膳)わけだ』


『神様から施しを受けたんだ、傷くらい完全になおって当然だろ?』


(なにやら難しく言っているがタマモが美味しくなぁれと元気になぁれと考えながら作ったらいい感じのスープができて

配膳したのが医療班だってため偶然エルの話す構図が出来上がったと言うだけのこと

別にタマモは意図していたわけではない。だって怒鳴られて逃げたわけだし(笑))


「?」

(顔を見合わせてお互いに苦笑いを浮かべるタマモと団員たち。タマモ本人はちょっと元気が出るご飯程度にしか思っていなかったがそこに認識の違いがかなり発生していることに全く気づいていなかった。

状態異常完全回復に肉体欠損完全再生の薬なんて神の奇跡そのものなのだから…)


「とにかくね。ニコニコの元気になれるようにしたのが僕の“錬金術”なんだよ。」


エルたちはそんな風に言うけどよく分かんない。

あっそろそろ出来上がりそうだね。ソース作らないと。


(こう、あっけらかんと言われたら団員たちもなんか難しく考えるのがバカらしくなり力が抜けた)


「お前たち、報告がないようだが…」


「「はっ!」」


顔を見合わせ苦笑いを浮かべる団員達。

の後ろから何やらたくさんの感情なこもったルーナの声がした。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る