第23話起きました!

「…よく寝た。」(まだ目が覚めきっていないのかアクビをしながらモゾモゾ動き出す)


『あっ起きたかぁ~タッくん?』(目を覚ましたタマモに甘々な声で話しかけ、グリグリと自身の額を主に当てて甘える巨狼フェンリル)


お昼寝を始めてから何時間がすぎた辺りにタマモがムックリと起き上がる。

不安そうに周りをキョロキョロと見回して自分がエルやルーク、ハートに囲まれていることに気づくと安心したのかにっこりと笑い「おはようございますです。」とエルの毛に顔をうずめながら呟いた。


エルは小刻みに振るえながら『なに、こいつ可愛い過ぎんだけど…』などとつぶやいている。

『起きた?』


『顔洗う?』


ハート、ルークもタマモに近づき若干不安そうに話しかける。それに対してタマモは「お顔洗う!晩ごはんのジュンビもしなくちゃだからお手々も洗わなくちゃ!ふたりともおてつだいしてください!」とぴょんと立ち上が…ろうとしたがエルに尻尾で制され尻餅をつく

『俺がつれてく』

エルは立ち上がると子狼を連れていくみたいに服(首の部分)をくわえて歩きだした。「ブランコ?」なんて呟き、キョトンとした顔で運ばれるタマモ


『父ちゃんズルい』


『俺、タッくんのせたかった』


ならんで歩きつつ抗議する二人だったがエルに『寝起きのタッくんがちゃんと乗ってられるか?落っこちて怪我とかしたら嫌だろ?』と諭されブーブー言ってはいたが納得してその状態で川に向かった


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「みつかったか!?」


「いえ…子供の足なのでそこまで遠くにはいっていないはずなのですが」


「いや、あのこが連れていた従魔(本人曰く|親友マブダチ)の足なら…」


「くそっよく考えればあいつまだ六歳なんだ

(この世界では生まれたら一歳。年越せば一斉に次の年齢になるため実際二~三歳小さい)

それが俺みたいなのに怒鳴られたら…(ちなみにこの医療班の男性の年齢は20。見目勇ましい美丈夫である)」


タマモ達が起きて四半刻三十分過ぎた辺り、タマモに聞きたいことがあり探していた騎士団のタマモ捜索が行き詰まっていた。

護衛の任務中でそこまでの人員を割くわけにもいかずそのため捜索範囲も限られていた。最初はすぐみつかるだろうと軽く思っていた騎士団だったが中々見つからない。捜索には先程テントでタマモを追い出した医療班のメンバーも参加しており


怒鳴ってしまい自分のせいで幼子が危険なめにあってはいないかと焦りが募り苛立っていた。


「すまない…」


そうなってくると想像は悪い方へと坂を転がるように雪だるま式に膨らんでいく。

最悪の状況が頭をよぎり掠れた声で謝罪の言葉がこぼれる。


「ごめんなさいはちゃんとその人にいわないとダメだってにぃにぃ言ってたよ?」


そのとき、可愛らしい声が後ろから聞こえる。


「なぁっ」


「おはようございますです。お昼寝してました!」


九本の尻尾をふわふわさせて大きなお皿に山になった肉塊を手にこちらに笑いかけている少年。


なんだこの状況?


呆気に取られる騎士団員、大人が驚いた姿がなんかツボにはいった少年…


ぷっ……


アハハハハハハハハハ


もう一回言おうなんだこの状況?

変な笑いが込み上げてきて顔を会わせるないなや大笑いをしてしまった。

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