第9話なんか襲われてます2

『ブモォ~ッ!』

私はサファイア・ミラ・フォン・ブルー・アストライア。この国の第三王女です。って誰に自己紹介をしているんでしょう私は?そんな場合じゃないのに

今、牛の魔獣ミノタウロスやその上位個体等が馬車を取り囲んでいます。

騎士様達は私達を護ろうと必死に剣や魔法を振るってくれていますが……

状況は芳しくありません。


「ごめんね、私が悪い子だからサフィーをこんな……」


いえ、恐らく狙われたのは私の方です。巻き込まれたのはスカーレット。

しかしスカーレットったら自分が悪い子だからと、そこまでお友達の男の子が居なくなったのがショックだったのでしょう少し妬けてしまいますが今は仕舞っておきます。起こる全ての事象が悪く映り原因が自身にあると感じてしまっている。


「ごめんね……」


ちがう、スカーレットは

全部を諦めて死を受け入れてしまっている。

それはいけない。だって悪いのは私なんですもの……


「スカー……“ヒメちゃん”。大丈夫です。ヒメちゃんは悪い子じゃないです。」


「サフィー?」


「諦めちゃ駄目です。今ここで諦めちゃったらその“タッくん”って子にも会えなくなっちゃいます。ヒメちゃんはそれでもいいの?」


ヒメちゃんだけでも助からなくちゃ、会えなくなって伝えられないことがどんなに辛いか…

まだ知るにははやすぎます。


「……やだ、私会えないのやだ。ちゃんとごめんなさいしたい。」


「ですね。ヒメちゃんはちゃんと謝れる娘ですよね。でしたらヒメちゃんは“良い子”ちゃんです。誰が何と言おうとです。」


「サフィー……」


タッくんさん、一言であなたを思い出すだけでここまで光を取り戻すとは…

こんなに誰かをおもえるヒメちゃんがうらやましいです


「団長、結界がもちません!お二人をつれて団長だけでも」


外の状況は、非常に危ういようですね。

こうなっては私の“命具”で……



「あの、この牛さん達僕にも少し分けてくれませんか?」


え?


なんでしょうこの可愛らしい声は?何処から?そもそもこんな戦場のなかなんで聞こえるの?





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