第8話

「オレのことが好き?」

鏡が鼻の下を伸ばした。

「もうひとりの黄埔がそういったのか?」

「そう、もの好きにもほどがあるわよね」

黄埔が腹立たし気につぶやいた。

「いってくれるな、黄埔。でもよかったじゃねえか。

もう一人の黄埔が夢先の

ことを何とも思ってなくて」

「いや、この話にはきっと、裏がある」

「裏?」

「そうよ。きっと、夢先くんもうひとりの黄埔と

もうキスをすましていて、ふたりでカモフラージュ

しているのよ」

「オマエの考えすぎだと思うけどな。ところで

もうひとりの黄埔。オマエの兄弟かもしれないんだろう」

「そう、まあ、ありがたくはないけどね」

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