第5話
「はじめまして。相鷺黄埔といいます。
よろしくね」
黄埔が(もうひとりの)ニッコリと
微笑んだ。
クラス中がどよめく。
「おい、相鷺黄埔だってよ。同姓同名だ」
鏡が向かいの席の黄埔の背中を
鉛筆でツンツンした。
「わかってる、わたしよりだいぶブスだけどね」
「おい、夢先、オイだいじょょうぶか?
気をしっかりもてよ」
夢先がひっくり返って卒倒した。
「大変!」
二人の相鷺黄埔が同時に夢先を
抱き起こそうとした。
「わたしがやります」
「いいえ、わたしが」
「なーにを痴話げんかしとるんじゃ」
担任が呆れ顔でいった。
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