第3話

翌朝、夢先は散歩のとき

ひとりの犬を連れた少女に出会った。

黄埔に似た彼女だった。

「あっ、おはようございます」

先に夢先に声を掛けてきたのは

彼女の方だった。

夢先はしばらく声が出ず、

しどろもどろしていた。

「クスッ」

彼女が笑った。

夢先はそれだけで天にも昇るような

心地になった。

「それじゃあ」

彼女はそれだけ言い残すと、消えていった。


「それで、名前も聴けずじまいってわけか」

鏡が呆れたように腕組みしていった。

「まあ、夢先くんらしいわよね」

黄埔が微笑ましいような眼差しを

夢先に送った。


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