お姉さんは裏切らないんですよ。私の脳内でしか生きてませんから

第1話

　どうも。

　ちょっと惚気ていいっすか？

　ん？　ダメ？

　そうか。なら勝手に喋るね。

　私はいわゆる夢女子です。

　とある二次元キャラクターに飼育されることを夢見た女です。

　でも彼女は二次元にしかいないんです。

　こっち（三次元）に来てくれないんです。

　仕方がないので私がいくことにしました。

　姐さん（某二次元キャラクターのことです）に会うための可愛らしくなった二次元の自分を用意して、会いにいくわけですよ。

　脳内で。

　脳内で私はいろんなことをしてもらいます。

　よしよしと頭を撫でてもらったり。

　ぎゅうっと抱きしめてもらったり。

　ぐりぐりと踏んでもらったり。

　刺し殺してもらったり。

　脳内だから相思相愛な私たちはそうやって楽しく過ごしているわけです。

　ですが。

　脳内であるせいで姐さんの体温を感じることも心臓の音を聞くこともできないのです。

　現実の恋人が与えてくれたあの安心感は得られなんですよ。

　（もっとも、現実の彼奴は浮気しやがりましたけれども。殴り殺したいとも思いましたが、死にたがりの彼奴にしても意味がないのでやめました）

　脳内にいるので浮気したり、フラれたり、なんてことは起きません。

　ですが、私の五感は満たされないのです。

　やっぱり人は見て、聞いて、触れて、匂って、食べて。

　そこまでして楽しめると思うんですよ。

　自分だけが知っている姿を見て、優しく私を呼ぶ声を聞いて、帰るのが寂しくて抱きしめて、貸したカーディガンに残った匂いを嗅いで、飲みさしのペットボトルから水を飲んで。

　そうして相手を堪能できると思うんですよ。

　触れられなくてもいい。

　姐さんを感じたい。

　私は色々考えました。

　考えて、考えて、考えて。

　姐さんに首輪を貰えばいいんじゃないかと思いつきました。