第7話
「おはよう彦斎」
「自分の部屋に戻らなかったのか…」
朝、目が覚めるとベットに燈子が居た………一緒に寝てる?どうして…
俺は困惑と同様の最中ある事に気が付く、自分が抱き着いてるという事に。
「ごめん!俺のせいで戻れなかったのか」
「気にするな。心配だったからな、それより大丈夫か?」
「おう、心配しすぎだろ、平気平気」
燈子は優雅に微笑みながら俺の言葉を聞きジッと見つめる事数秒、心配そうな顔になる燈子。どうしたものかな、この世界に来てからより悪化してる気がする。
元の世界でもこんな感じではあったけどここまで酷くなかった気がするんだけどなぁ、俺ってそんなに危なっかしいかな。
「ほら、俺腹減っちまった、あ!昨日肉頼んだのに寝ちまったよ!」
「それは下げてもらったぞ、起こすわけにはいかなかったからな。ちなみに朝ご飯はお肉を頼んどいたからそろそろ来るはずだ。」
「流石、燈子!」
今日はご飯食べたらどうしようかな、訓練もないし…
そういやこの世界の歴史とか知らないな、どこで調べられるんだろう?
後で聞いてみるか。
「寝ぐせついてるぞ、こっちに来い。直すから」
「あえ?」
寝ぐせ?鏡がないから見えないな、頼んだ燈子。
俺は燈子に寝ぐせを直してもらいながらのんびり待っていると扉の方からノック音が聞こえてくる。
来たな朝飯と思い扉の方へ行こうとすると燈子が待ったを掛ける。
「いや、私が行こう」
「いいって聞きたいこともあるし俺が行くよ」
「そうか?では頼んだぞ」
燈子はにこやかに笑い、見守るような表情でこちらを見てくる。
居心地が悪い、早く食べ物を貰いに行こう。
足早に扉を開け俺はご飯を受け取ろうとする。
「こちらステーキでございます、どうぞ」
「ありがとうございます」
おお、良い匂いだ。うまそー早く食べよう……って忘れてた。
俺はウェインを引き留めようと急いで大きな声を出す。
俺の声を聴いたウェインは静かにこちらを振り向き疑問の表情を浮かべている。
「ちょっと待った!」
「はい?いかがなさいましたか」
あぶねー、どうやったら歴史を調べたりできるのか聞かないと、すっかり忘れてたぜ。
気になる事があるしな、ちゃんと調べとかないと。
「この世界の歴史とか調べれる場所ってあります?」
「そうですね、資料室の様な物がありますが、よろしければいくつかの書物をお持ちしましょうか?わかりやすいものを集めてきますがどうでしょうか?」
「じゃあ、お願いします」
「かしこまりました、ごゆっくりどうぞ」
うっし、じゃあ今日はのんびり待つか、そしたらとりあえず肉を早く食べよう。
熱いうちに食べたいし燈子も待ってるだろうしな。
「お待たせ、燈子も肉にしたんだな」
「ああ、話を聞いたら食べたくなってしまってな。たまには良いだろう?」
「そうだな、んじゃいただきまーす」
「ふふ、いただきます」
この肉、柔らかくて滅茶苦茶うまいぞ、俺がいつも食べるのはこんな感じじゃないのに。
俺は少し考えた後一つの可能性を思いつく。
…まさか今日は燈子がいるから俺も良い肉なのか?確かに燈子のステータスとんでもないもんな、特別待遇も理解できる。
とは言え俺も毎日良い肉が食いたい、羨ましい。
「む、どうしたのだ?」
「いや、俺も強くなったら毎日これ食えるのかなって………何でもない」
格差が凄いんだけど、他の奴らにバレたら抗議の一つや二つ来るんじゃないか?
まあ、活躍具合で待遇が違うのはしょうがないけど、やっぱり羨ましいぃい。
「???」
「…気にするな。そんな事より燈子は今日何するんだ?」
「今日はな休む事にした、それでもし良かったらなんだが…」
言い淀んでどうしたんだろう、この感じはもしかして俺と出かけたいとか?
そういやこっちに来てから出かけた事ないな。訓練ばっかで暇なかったし、俺から声をかけよう。
「えっと、私と」
「なあ、俺と遊びに行かないか?」
「……もちろん、行こう!」
歴史の勉強は帰って来てからすればいいし、今日は燈子と遊ぼう。
しっかし驚いた表情とか久しぶりに見た気がする。あ、照れて髪の毛クルクルいじってる。
何処に行こうか考えようと思ったけど町とか言ったことないからわかんないんだよな。俺は顎に手を置き考えながら燈子に意見を聞くことにした
「んじゃどこ行く?俺、何があるのか知らないんだよな」
「私に任せてほしい、行きたい場所があるんだ」
「行きたい場所?ってどこ」
「行くまで秘密だ」
燈子は人差し指を唇に当てウィンクをする。どうやら行くまで秘密のようで、楽しみにしておこう。今日は久しぶりにゆっくりと楽しめそうだ。
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