第6話
帰り道、特に何もなく『狩猟の申し子』のおかげで簡単に帰れた、本当便利だわ。
俺はコボルトを倒したことを報告し、その結果合格を言い渡された。
一人で倒したから失格という事はなく無事合格を出来て一安心。
他の四人は不合格だったみたいだけど逃げたからしょうがない。
来た時の馬車ではなく別の少し煌びやかな馬車に乗り込み他のみんなが戻ってくるのを待つ、待たないと帰れないので暇だなと思っていると眠気がやってきた。
「ふぁあーあ゛」
なんだか眠くなってきたな、緊張の糸が途切れたからだろうか?
この世界に来てからずっと燈子と夜遅くまで話してたからかな?
流石に疲れた……ん。
「………………」
☆
「___今日は訓練ではなくモンスターについて学んでもらう」
____?ああ、モンスターか。俺の認識としては敵対生物って認識なんだけど、どうなんだろう?
「モンスターは彼の者が生み出した存在であらゆる種族に害をもたらす、見つけ次第討伐するのが基本だ。あ、勝てるならだぞ、とてつもない強さを持つモンスターもいるからな、無理は禁物だ。ちゃんと相手の実力を測ってからどうするか判断する様に」
ふーん、そういえばカトリーヌ王女といいデュラン副団長といい敵の親玉の名前を言わないよな、なんで濁して言うんだろう?
「さて、今日は初心者が挑むことになるモンスターたちを紹介していく。まずはゴブリンからだな、ゴブリンは基本的に群れる習性を持ち、悪辣でずる賢く、罠や奇襲などをこの好む。捕まったら最後、男は殺され女は死ぬより悲惨な目に遭うだろう。真正面から戦えれば大したことはないんだがな、毎年ルーキーを抜けだしたあたりの奴らがゴブリンをなめて痛い目に合うんだ、皆は気を付ける様に」
ゴブリンの絵、気持ち悪……緑色の肌、醜悪な顔の小学低学年ぐらいの身長をしたモンスターか。弱いけどずる賢い、気を付けよ。
「次にリネアボア、このモンスターは突進するだけだ、ただし高速でな。不意を突かれると気づいたら吹っ飛ばされている事もある、周りをよく警戒することだ。突進中曲がる事が出来ないので横に避けると良いぞ」
突進してくるイノシシね、はいはい。あー、めんどくさい、話聞くの飽きたわ体動かしてぇー。
「そしてこれはコボルトだな、こいつは初見殺しモンスターでな情報を知ってないと危ないんだ、知ってさえいれば大したことはないんだが。『反撃の構え』というスキルを持っている、こいつの効果が近距離攻撃への絶対的なカウンターだ。もちろん弱点もある、まず、止まってないと使用できない、遠距離攻撃には無力、そして範囲攻撃にも対応できない。そして相手を視界に入れてないと使用不可なのも弱点だな、私は囲んで集団で倒すことをオススメする」
………………
「次なんだが_____」
「____つきましたよ!」
☆
「んお?」
目を開けるとそこには鎧を纏った黒髪の容姿端麗な少年?が俺の顔を覗き込んでいた。
どうやら寝てしまっていたらしい。…ちゃんとモンスターについて説明してたな、ちゃんと聞いとけばもっと楽に勝てたのに…次からちゃんと聞こう。
「皆さんもうお部屋に戻ってますよ」
「ああ、すみません、すぐ行きます」
「…あまりにも気持ちよさそうに寝てたので起こすのを躊躇っちゃったんです。一応タチバナ様の執事にデュラン副団長のお言葉をお伝えしたので部屋に戻ったらお聞きください!」
「わかりました、ありがとうございます」
うん、気持ちよく寝れたな。日が暮れてる…かなりの時間寝てたんじゃないか俺。
早く部屋に戻ろう、もしかしたら燈子が待ってるかもしれない。
彦斎はそう思いながら部屋に戻る、ふと見上げると部屋の前にウェインが立っていた。
「お帰りなさいませ、中でヒグチ様がお待ちです。ですがお部屋に入る前にデュラン副団長からのお言葉をお聞きください」
「はい」
「最終試験お疲れさまでした、試練を突破した者したあなた達はこれからこの世界を飛び回り世界を救いに行っていただきます。この先困難が待ち受けていようともあなた達ならばきっと大丈夫です、改めておめでとうございます、そしてお疲れ様でした。とのことです。」
労いの言葉か、素直に受け取っておこう。
というか旅に出るってここで暮らせなくなるのか?便利だったんだけどなここ…
「それでは食事はいかがなさいますか」
「食事…そうだな。じゃあ、肉が食べたいです」
「承知しました、失礼します」
まあここを出るその時まで楽しませてもらおう。
そして相変わらず去って行くの早いな、早くなるスキルでも持ってんのかな?そんなのがあるなら俺も欲しい。
早く動くウェインに憧れながら扉を開け、中に入るとバタバタと慌ただしい物音が聞こえ始める。
「何してんだ、燈子」
「な…にもしてない」
「嘘つけよ」
……部屋は特に変わった様子はないな。あんなにバタバタして何もない事はないと思うんだが。
「そんな事より今日は遅かったな、何かあったのか?」
「ん?いや、寝てただけ」
「寝てた?疲れてるのか、ほら横になって」
「ああいや、さっき起きたばっかだからっ!」
「いいから、な?」
無理やり引っ張られて寝かされてんだけど、どうしよ。
平気だって言ってんのに。
「燈子は今日どうだった?」
「ん?私か、今日はな竜を倒したよ、今日倒したのはハーフドラゴンと言って混血のドラゴンで純血のドラゴンよりは弱いそうだ、現地の人が混ざりものと言っていたよ」
そう燈子は俺たち転移してきた人間の中でもトップクラスに強く、特別扱いを受けている。
既に外で活動をしており、此間はダンピールを倒したと言ってたな。
強くはなかったらしい、俺は絶対に燈子が強いだけだけど思ってるけどな!
「彦斎は最終試験でモンスターと戦ったのだろう?どんなモンスターだったのか私に教えてくれ」
「今日はコボルトとかと戦ったよ、ふぁあ」
「…そうか、怪我しなかったか?」
「んー?……蹴られたくらい…腕で受けとめたし。あ、あたま、なでるな」
「ふふ、良いだろうこのくらい、お疲れ様」
子ども扱いするなよ、歳いくつだと思ってんだ。
あー無理だ、目が開かねえ。肉食いたかったのに…………
「…腕、痣になってる。《直してくれ》……」
?…………………っ……………ん。ウトウトしてきて頭が上手く働かない、このままベットに居たら本当に寝てしまう。
…あれ?燈子は…何してるんだ、何か光ってる…?
「そのまま寝てていいから、おやすみ彦斎」
起きようとしたその時、頭に手が触れられる、頭を撫でられる感覚が心地よくて眠気に抗えず意識が落ちていく。
ふわふわした感覚の中で額に何かが触れる感覚がした。
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