第40話 勇者達の鎮魂歌①
「ポシェットー!」
プラムシャム将軍はポシェットたちの住まう建物の前まで来ると大声で叫ぶ。その声を聞いたポシェットはピョンと飛び跳ねるように起き上った。
「ほらポシェット。私の言った通り無事だったでしょ?」
「……先生、元気そうな声なの……」
建物の入り口付近までプラムジャム将軍を出迎えるポシェットたち。
「ショーグン! 良かったよ~心配したよぉ~」
ショーグンに勢いよく抱きつくポシェット。
「コ、コラ! 今は体がガタガタなんだかラあまり衝撃与えないデ」
「えへへ~ごめんなさい」
「流石は先生。タフだよねー」
「……先生は無敵なの……」
目を輝かせる三少女。
「とこロでポシェット。カラクリ兵を大量に
「……ネズミさんに聞いたんだね。うん、そうだよ」
「何故そんな事ヲ……」
「決まってるじゃん。魔王にお仕置きする為だよ!」
「……先生が困ってるの皆知ってるの。魔王が悪いの……」
「い、イヤ魔王様は悪くないのダ! 大人しくシテいれバ魔王様もきっとお許しニなってくれる」
「そんなはずない!」
ポシェットが語尾を強めて反論する。
「私たちは別にいいんだよ。でもショーグンは将軍なのになんでこんなに酷い扱いを受けるの? なんで自分の命をすり減らしてまでこんな重力場を作らなきゃいけないの?」
「……そうなの。こんな大きな重力場維持するのが無理なんて
「で、結局魔王に直談判するしかないって話になったんだよねー。でも魔王って怖いらしいじゃん? 私たちの意見を通す為にはそれなりの兵力が、ね」
「だ、駄目ダ! 魔王様はそんなに甘いお方でハないのダ!」
「じゃあ戦う、魔王とでも」
真っ直ぐプラムジャム将軍を見つめるポシェット。
「ポシェット……言う事ヲ聞いてくレ」
「何言ってんのさ。ポシェットだって先生の為に半分以上のエルたちを各地に散らして情報収集と戦力補強してたんだよ!」
「……ポシェットも好きでやってるわけじゃないの……」
フウ……と溜息を漏らしてズンズンとポシェットたちが出て来た建物へと歩き出すプラムジャム将軍。
「ちょ、ちょっと!? ショーグン?」
三少女の横をスルリとすり抜ける。通り慣れた道をどんどん進み建物中央の白柱までやってくる。そして白柱に埋めてある自身の分身とも言える黒い球体の核を見据える。
「ほほ、これこれ。人の家に勝手に入って来ては駄目なのじゃぞ?」
「おお? 良く見たら貴様プラムジャム将軍と一緒に居たブリキの玩具ではないか」
建物内でエルグランディスたちとババ抜きをしていたスクエアとキュービックが声を掛ける。
「アア、軍師クンのお仲間カ。それニ……エルたちも……」
プラムジャム将軍は無表情でトランプに興じているエルグランディスたちに声を掛ける。
「オオ……君ハ、ハンスか。ソレにエドワードも……ヴィクトリア、君モ変わらないナ当然カ……」
淋しそうな表情を浮かべるプラムジャム将軍。そして決心したかのように白柱に埋めてある自らの心臓部とも言える黒い核の前に立つ。
「お仲間サン。ここは危ないカラ離れた方ガいい。できレばエルたちも退避させてあげて欲しイナ」
「?」
「君たちのお仲間ノ軍師クンは言っていたヨ。メカチックシティ全土を覆うのでは無ク、かなり小規模ニ絞っテ重力場ヲ発生させレバ維持できル時間は長くなルとネ。それに核ノ一部デはナク私自身が動力源ニなれば更にその時間は伸びルはずともネ……」
そして胸部からパイプのようなものを取り出すと黒の核と結合させる。
「あ、ショーグン居た居た~。な~んだチャージしてたん……」
ブオォォォォォォン!!!!
プラムジャム将軍の周りに超重力場が形成される。
「なにこれ!?」
「……チャージ……じゃないの……」
「凄い重力場だよ!」
超重力場の中で声を震わせながらプラムジャム将軍が三少女に話しかける。
「ガガ……ピー……三人トモ……ヨク聞キナサイ……コレカラメカチックシティヲ覆ウ重力場ヲ百分ノ一マデ圧縮スル……」
「な、なに言ってんの先生?」
「ガガ……私ガ動力源ト一体化スル事デ恐ラク五十年ハ重力場ヲ維持デキ……ル……行動範囲モ狭クナリ不便ヲカケル……スマナイナ……」
「……何言ってるの……」
「ダガ……ソレデモ幸セニ生キテクレルト信ジル……ガガ……」
「ショーグン……嫌だよ! なんでショーグンがこんな事しなくちゃいけないの!」
「……ガガ……私ハ魔物ダ。ソシテコノ命ハ魔王様カラ頂イタ命、魔王様ハ私ノ親ナノダ……ダガナ、ポシェット、クレスタ、
プラムジャム将軍の右脚が重力圧でボロリと崩れる。
「っ! ごめんショーグン! もう魔王と戦うなんて言わないから! それ止めてよ! そこから出て来てよ!」
「ハハ……ガガ……ソレハ無理ナ相談ダ。コウデモシナイト
そして沈黙するプラムジャム将軍。
「嫌だぁぁ!! ショーグンッ!!」
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