第3話、 オペレーションに参加するメンバーの選別。(前編)
朝、目が覚めると一緒にベッドで寝ていたはずの沙羅がいなくなっていた。
唯華は寂しげな顔をして、ベッドから起き上がり床に足を下ろし、
トイレに向かった。1分ほど経ちトイレから出てくるとベッドを整えに向かった。
ゆっくり丁寧にベッドを整えた。きれいに整えられたベッドを見て
今日も頑張るという意気込みを交え少し小さめな声で
「よしっ!」
と言い放った。
そして、少しよろけながら、うとうとしていたが
リビングへ行くとなんと沙羅が唯華のために朝ご飯を作っていた。
寝起きの唯華を見た沙羅が、
「もう少しでご飯ができるので少し待っていてくださいね!」
と落ち着いたまるでお母さんのような感じで言うと
唯華は
「うん。」
と眠そうな感じで言い。テレビの前のソファに腰かけて朝のニュースを見始めた。
すると、そのニュースでは
『テロを企てた疑いで昨夜未明三ノ宮純容疑者を逮捕しました。』
という大きな見出しで報じられていた。
名前を見ると、私たちの仲間である、三ノ宮君が逮捕されていた。
ニュースをじっくりと聞いていると
『警視庁の調べでは、日本革命戦線を名乗る右翼活動家の幹部として実行部隊に加わり活動していた模様です。
三ノ宮容疑者は、本人を含む3人で多数の企業などと連携を試みており今までに多くの企業に話を持ち掛けていたことで事件が発覚し、三ノ宮容疑者が活動していたのではないかと調べていました。するととある企業に入って活動をしている三ノ宮容疑者を目撃し、今回逮捕に至りました。共に活動していた容疑者は逃走中です。警視庁は三ノ宮容疑者の詳しい活動内容については控えさせていただきますが引き続き三ノ宮純容疑者の取り調べを行いますとコメントしています。』
というニュースを聞いた瞬間に唯華は泣き崩れた。
「そんなぁ。こんなに早くメンバーの一人が捕まってしまうなんて。
これからどうしよう。警視庁を襲撃するか、それとも解散?
いや、どうしよう。」
と涙目になりながら頭を抱えながら悩んでいると、
唯華の朝ご飯を作っていた沙羅が唯華のところへ行き、
唯華の頭を腕で包むように抱きしめ、唯華に
「きっと大丈夫ですよ。私たちが今できることをしましょう。」
と優しく言うと。
唯華は、
「そうだよね。そうだよね。私たちが今できることをしないと。
あの子のためにも頑張らないと。」
と言いながらさらに泣き出してしまった。
数十秒が経と少し落ち着いたくらいで、「ひとまず朝ご飯にして、そこから考えませんか?」
と沙羅が唯華に問いかけると、「いや朝ご飯を食べながらミーティングをするよ!」
と起き上がりパソコンを起動した。
その間に沙羅は、幹部たちに「今からミーティングするからZOOMに入ってください」
と朝も早いので一人一人に電話をかけ対応をした。
そして、10分くらいが経ち幹部全員が集合した。
みんな寝起きだったので集まるのに少し時間がかかったのだが
仕方ないと思い唯華は気にせずに話し始めた。
「みんな集まったわね。今からミーティングを始めるのだけど、
幹部の一人、三ノ宮君が逮捕されました。」
すると、ニュースを初めて知った人がほとんどだったのでみんな驚いていた。
「えー!」
「どうしてだよー!」
「悲しいです」
「これからどうしよう」
と言った感じでみんな驚きを隠せなかったが、
唯華が話し始めた瞬間みんな静かにし沈黙が場を占めた。
「そこで、これからどうするか相談をしたいのですが、
意見のある人は挙手してください。」
というと真っ先に手を挙げたのは杉本慎吾という人物だった。
(杉本慎吾とは、いつもイケメン風にかっこを付けて物事を話したがるただのバカである
仲間からも(こいつばかだぁ....)と思われていて唯一慎吾だけはそのことに気づいていない。
鼻は高く、鮮やかに輝く美しい瞳を持ち髪型はベリーショート。
体もスマートな細マッチョ。
普通に黙っていればイケメンな人である。)
唯華は、「じゃ、杉本君の意見を聞かせていただけるかしら」
と言った。
すると、杉本慎吾は、かけていた眼鏡を額の上まで上げ話し始めた。
「まず、三ノ宮君を警視庁から取り返したいと私は考えていますが、
そのために何か行動を起こさないといけませんね。」
「具体的にはどうするの?」
と唯華は問いかけた。
すると杉本慎吾は、少し腕を組み悩んだ末、出した答えが、
「警視庁の誰かを人質にとるか、それとも犯行声明を出して襲撃するか、
それか警視庁にこっそりと侵入してこっそりと逃げ出すか。
といったところですね。」
唯華は、「いつも変なことを言うのに今日はいたって真面目ね。」
と感心していると。
杉本慎吾は、「だって!仲間の命が掛かっているのですよ!
それとこれからの戦線の活動にも影響してくるでしょ!」
と熱弁していると、
「それもそうね。」
と落ち着いた雰囲気で小声で言った。
そして開き直った唯華は、
「じゃ、今回のオペレーションは、《三ノ宮君奪還作戦》とでも行きますか!
それと前回の計画していたオペレーションは一旦無し。これから、私が作戦を練って後で詳細のメールを送るから早めに確認しておくように。じゃあ!よろしくねあなた達!健闘を祈るわ!!!」
といつもの決め台詞を言った後にZOOMのミーティングルームを後にした。
ミーティングが終わると、まず沙羅が作った朝ご飯を食べた。
朝ご飯のメニューは、スクランブルエッグにベーコンにウィンナーそこにケチャップをかけて
さらに、バターを塗った食パンを食べた。
仲間のこともあるし急いで朝ご飯を食べ、作戦を考え始めた。
(まず、三ノ宮君がどこの警察署にいるのか探し出す。いると思われる警察署に幹部の部下たち含めて30人くらいの仲間を動員して占拠する。そして発砲してきた警察はその場にて射殺。
下から順に三ノ宮君を探し出し、無事三ノ宮君を確保出来たら地下にある下水道の通路を通って脱出。てか、おそらく占拠された時用の職員の人が逃げる脱出用通路があるからそれで脱出しても良し。
あと、警察と銃撃戦になってもいいように拳銃は一人一丁全員が必ず持つとして狙撃銃が得意な人3人に狙撃銃を持ち歩いてもらってそれで戦う弾は各自200発くらいあれば大丈夫でしょ!
一緒に作戦に参加するメンバーは後で考えるとして、まずは、三ノ宮君がどこの警察署にいるのか探さないといけない。参加するメンバーは最悪志願制でもよし!)
「よし!これを全員に送信!」と唯華は、元気よくエンターキーを押してみんなに一斉送信をした。
「ふぅ。一仕事したわぁ。あとは、仲間からの返信を待つだけ!」
とソファーに深く腰かけてゆったりしていると、
仲間の一人の茅森さんから連絡が入った。
(茅森さんは、フルネーム茅森璃愛かやもりりあといい、女性の幹部でしっかり者で頭もよく指揮も統制も取れるのだが、少しドジな部分がある。黒髪ボブヘアーで大人びた顔つきの美人で東京工業大学に通う1年生。服装は大学生がよく着ているワンピース姿である。)
その内容は、
「参加するメンバーは志願制ということでしたので志願します。
あと私と部下を含めて10人ならいけます。」
と連絡してきた。
するとそれを見た唯華はそれに食いついた。
なかなか志願してくれる人がいないだろうと思っていたのでめっちゃ喜んだ。
「あなたを採用します!あなたが一番最初に志願してきたので、今回の作戦だけ私の副官として活動してもらいます!」
と返信を送った。
数分が経ち茅森さんから
「了解です!今回の作戦精一杯頑張ります!」
と返信が来てなお唯華は喜んだ。
「よし!これで10人確保!」
となったが、よくよく考えてみたら、
(一人の幹部に付き1,000人近い部下が着任していてその中で実行部隊にいるのが500人いるので
そこから幹部を抜いた9人を出撃させるのは少なくないかな)とふと思った。
まぁとりあえず30人と決めたので他の人が志願するのを待った。
茅森さんの返信があってから1時間ほどが経ち結局誰からも返信が来なかった。
唯華がそれに腹を立て
(おっせぇなぁ、あの馬鹿ども。さっさとメールしてこい。)と思いながら一人でイライラしていた。
その中沙羅は、唯華にばれないようにこっそりと色々な幹部にメールで声掛けをしていた。
「あなたが志願しないとゆい姉さん激怒しますよ。
そうなったらあなたの今の地位がなくなりますよ~?
いいんですか?忠告しましたからね~」
と優しそうに見えて全く優しくないむしろかなり恐ろしい文を送って幹部たちが恐怖していた。
しかも男性の幹部を中心にメールを送信しており、それはほかの女性の幹部や唯華は知らないのがなおさら恐ろしい。
すると続々と男性の幹部が唯華のところに
「自分の部隊も行けます!」
「自分を行かせてください!」
「仲間のために行かせてください!」
「頑張って仲間を取り返したいので行きます!」
「自分の部隊なら大丈夫です!」
といった沙羅のメールに恐怖した男性の幹部たちの全員ではないが続々と送信をし、
唯華の機嫌がかなり良くなった。
とここまではまだいいのだが、ここからさらに恐ろしいことが起きる。
それは、実際に行く人の選別が始まることである。
本来なら唯華の他に実行部隊が30人いればよいのだが、
あまりにも多くの幹部たちから志願(義務)のメールが来たことにより
唯華がここから選別をしないといけない。
それは、幹部たちにとって恐ろしいことである。
唯華から選ばれた人は翌日から早速オペレーションのための訓練に励まないといけなく、
それがみんな行きたくない理由である。しかもその訓練は朝から晩まで人目につかないように山奥だったり
あるいは戦線が管理している島だったりとかなりハードな場所でしかも唯華の奴隷や捕虜になったかのような恐ろしいほどハードな訓練をしないといけない。
そして、男性の幹部の5人から来たメールから今回のオペレーションに参加する
幹部二人を選ばないといけない。
理由は1人の幹部に付き9人の部下が付いてくるので1人の幹部を選ぶと10人なる計算だからである。
その間沙羅の恐怖のメールに踊らされた幹部たちはびくびくと震えている一方で唯華は選別を頑張っていた。
------
※あとがき
次回の第四話では、選別中の幹部たちの心境や唯華の悪ふざけを交えたオペレーションに参加するメンバーが決定します。
是非楽しみに待っていてください!
ある日私は、革命家という名のテロリストになった。 水鳥川倫理 @mitorikawarinri
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