第2話、唯華の可愛げのある日常
朝、目が覚めると唯華はなぜか泣いていた。
彼女にとってはよくあることだ。
戦線のメンバーのことや活動、そして家族のことを
思い泣いている。
普段は、戦線のメンバーの前では、嬉しくもあり、楽しくもある。
しっかり者の姉みたいな感じである。
そしてその反面、苦しくもあり、悲しくもある。
唯華にとって戦線のメンバーは大切な仲間なので、一人でも捕まったり殺されたらと思うと
心の中で悲しみの障壁が構築され懺悔に駆られてしまう。
意外と仲間思いで繊細なのが戦線のリーダーの唯華である。
そんな唯華だからこそ付いてくる戦線のメンバーもいる。
そんなことを思い、今日も気を引き締めて戦線の活動へと向かった。
外へ出るとまず始めに自分の自慢のフェラーリでコンビニでおにぎりとサンドウィッチを買い、
広めの公園へむかい少し考え事をしながら
小さな子供たちがたくさん遊んでいる遊具を眺めていた。
そこで、ゆっくり朝ご飯を食べた。
唯華には考えることが多い。
なぜなら戦線ことや家族のこと敵組織である警察や自衛隊のこと
挙げればキリがないないが、とにかく唯華には負担が多い。
これは、唯華が始めた戦いなので、唯華に責任や負担がある。
本人もそれを理解している。
可哀想にみえるかもしれないが、唯華がこうして責任者になったことで
みんなついてきてくれた。
唯華はいつも自分に
「かけがえのない仲間だから。
こうしてついてきてくれた大切な仲間だから。
だから私が責任を取らないと。
こんなに慕ってくれているのに。
申し訳ない。」
と言い聞かせている。
リーダーを演じるのも一苦労というところである。
次に唯華は東京都心にあるビルや神社やお寺などの文化的遺産などを巡り、被害状況の予測や
ここにはどんな人物がいるのかなどの偵察、どんなところに文化的な物があるかなどの確認をした。
今日は東京駅周辺や、お台場、有明、と海沿い運転して
一人で考えながら巡っていた。
その最中に唯華はふと思った。
(やはりこれだけの人数が働いてるビルや商業施設、観光地をいきなりミサイルなどで破壊することは
いくら戦線のためとはいえ、多大の犠牲が出ることを考えないとな
それと私たちの日本革命戦線は一般市民を殺したり拷問することは絶対にしてはならない。)
と改めて考えさせられた。
それはその筈、東京だけで日本人や外国人を合わせて約2000万人の人がいる。
これだけの人が非難や移動するとなると日本は全て麻痺してしまう。
このような危険な思想は唯華にとっても戦線にとっても好ましくない。
そんなことを思いないながら
何度も同じビルを確認したり、
ここにはこんなものがあるんだと、文化的な遺産まで確認した。
そして、事前に決めておいた唯華の午前中の業務を終了させた。
今いる新木場からもう少し行ったところに葛西臨海公園があるので
そこでお昼休憩をしようと思い、
近くのコンビニで朝ご飯で食べたものとまた別のおにぎりとサンドウィッチを
買い葛西臨海公園にあるベンチで食べた。
腰かけて少し食べ始めた頃
「考えることが多すぎるわぁ。」
と唯華が愚痴をこぼした。
一人でいると大体悩み事を考えている。
そして、ゆっくり周りにある風景を楽しみながら、お昼を食べ、
公園内にある水族館へと向かった。
そこでサンゴを見たりハンマーヘッドシャークを見たり、マグロやペンギンを見て、
唯華は可愛いものが大好きなので物凄く癒されていた。
「やばい!物凄く可愛い!!!」
と観察中に言葉をこぼして、足をじたばたしていた。
唯華にも可愛い一面があった。
すると仲間の一人から連絡が入ってきた。
彼の名前は、三ノ宮君。
フルネームは、
黒髪のスポーツ刈りで顔はそこら辺にいるような普通の顔。
頭はそこそこで戦線ではあまり目立たない。
どこかに偵察や情報を収集するには唯華にとっても戦線にとっても都合がよい人物である。
ただ、いざとなると持ち前のリーダーシップを発揮し彼は、唯華の命令には絶対忠誠を尽くし、
逃げ出すことは絶対にしない。
昨日の会議で唯華に
「まず関山君と三ノ宮君と大塚君は、国内にある大手の企業との連携や工場の確保をして。」
と実行部隊に抜擢された人物だ。
三ノ宮君が
「ゆい姉!やったぞ!ついにあの大手企業の三菱重工業と連携が取れたぞ!
良かった~!ついにやったぞ!」
と喜んでいると唯華が
「たかが一社と連携が取れたごときで電話してくるな!
もっとたくさん連携が取れてから連絡しろ!!!!」
と言って電話を切った。
唯華は公園でゆっくりとお昼を食べて水族館にいる件は完全に伏せて
ただただ一方的に切った。
一方で三ノ宮君の方は、一緒にいた関山君と、大塚君も
「ゆい姉は、冷たいな。
それが、ゆい姉だからいいんだようなぁ。」
といかにもドMみたいな会話をしていた。
戦線のメンバーは唯華に調教されこんな人ばっかである。
しばらくして、さらに契約できる場所を確保するために
動き出した。
唯華は、お昼を食べ終わると再び、午前中にやった
東京都心にあるビルや神社やお寺などの文化的遺産などを巡り、被害状況の予測や
ここにはどんな人物がいるのかなどの偵察、どんなところに文化的な物があるかなどを
続きを確認をしに行った。
今度は逆に葛西臨海公園から新木場、有明、お台場、東京駅周辺へと向かった。
今回は午前中に行ったところをもう一度確認をし、被害を最小限に抑えられるかの実験をしながら
何度も車を降りては、乗って運転をするので、本人にとってもものすごく大変だ。
大変だったが、この日本の未来がかかっているとなれば、自然と簡単に動けた。
気づいたら夕方の17時だったので
「あー疲れた。
さっさと帰ってご飯にするか!」
と言って戦線の中で仲の良い神無月沙羅にいきなり連絡をした。
「なんですか?ゆい姉さん?
今日はお休みのはずだったんですが、、、」
と少し呆れた感じで電話に出ると、
唯華は、電話越しに
「沙羅さん!一緒に夕飯どうかしら?」
と可愛い感じで言ってきた。
お昼の時に男からの連絡は雑に扱うくせに女の子相手だと
急に優しくなる。
「わかりました。
じゃあゆい姉がフェラーリで迎え来てください。
そしたら行きます。」
と仕方なく承諾した。
「じゃあ待ち合わせ場所は、
沙羅さんの家の近くの中目黒駅近くのセブンイレブン前で待っててね!
急いで行くから!」
といつもとは違う優しい声で呼び出した。
そして合流して一緒に買い出しへと向かった。
「沙羅さんは何が食べたい?
私は、久しぶりにお肉が食べたい!」
と元気よく明るい声でまるで小学生の男の子のように言った。
「ゆい姉さんが言うなら私もそれでいいです」
と落ち着いた感じでお姉さん感があふれるような感じで言い、
二人の夕飯はステーキになった。
そして、虎ノ門にある唯華のタワーマンションに一緒に帰り、
フライパンを出して一緒に料理を始めた。
唯華はあまり料理が得意ではないので、
沙羅にほとんど補助してもらいながらやり始めた。
まず始めに、
「手を洗いましょうね!」
と沙羅が優しく言うと、
唯華は、
「はーい!」
と元気よく言った。こうして見ると可愛い。
すると、沙羅は、
「ゆい姉さんまず牛肉に塩コショウで味付けしましょう!
程よいくらいになじませるように。
私が先にやるから真似してくださいね。」
唯華も沙羅に習って
同じようにやってみたが、上手く出来ず、台所は塩コショウだらけになってしまった。
唯華は自分の失敗を悔やんでしまい落ち込んでしまったが、
沙羅が、「私が片付けておきますから元気出してください。
お肉私と一緒に食べるんでしょ?」
と言われると唯華は元気を取り戻した。
戦線の中で数少ない唯華を扱えるのが沙羅である。
次に焼くところだが、
唯華がやると悲惨なことになってしまうので
ここは、沙羅が担当した。
まずオリーブオイルを垂らして、
よく表面が焼けてきたらひっくり返してまた良く焼くそれを繰り返した。
沙羅が「焼き加減どうする?」
と唯華に声をかけると「レアがいい。」と子供みたいな口調で言い出した。
料理は作るのは苦手だが、食べるのは大好きなのが唯華なので、
テーブルの上にお皿を運び、ご飯を盛って待っていた。
しばらくたち沙羅が
「できましたよー!」
と子供の面倒をみる母親のように言うと
唯華のテンションがものすごく高くなった。
そして沙羅が盛り付けると。
唯華は、美味しそうと言い、沙羅がフライパンを片付けた後一緒に向かい合った席で仲良く
「「いただきます!!」」
と言い食べた。
唯華は、物凄く美味しそうに食べ始めると
沙羅は、
「こんな感じのゆい姉さんを見れるのはレアですよね。
いつもはしっかり者のお姉さんみたいな感じなのに。
みんなにもこのような姿を見せればいいのに、」
と落ち着いた感じで言うと、
唯華は、「こんな姿をみんなに見せたらリーダーとしての威厳が無くなるじゃん!」
と言い美味しそうにステーキをむしゃむしゃ食べながら話した。
そして、お互い食べ終わり、沙羅は唯華と一緒に食器を片付けた。
他人から見れば女の子同士のカップルみたいにイチャイチャしていた。
片付け終わると、一緒に仲良くテレビを見ていると気づいたら夜の9時になっていた。
唯華が時計を見て
「もう9時だから沙羅さん今晩は泊っていったら?」
と提案した。
すると沙羅は、5秒くらい考えたのち
「まぁもう遅いですしね。
今晩はお邪魔します。
その返答に唯華は、とても喜び
「よっしゃー!」とガッツポーズしていた。
「じゃあ一緒にお風呂に入ろうよー!」
と唯華が言い出し、
沙羅は、「遠慮しときます。」
と辛辣に断った。
「じゃあ、どっちから入る?」
と恐る恐る唯華が提案すると、
沙羅は、
「ゆい姉さんから入ってください。
私が先に入って途中から入られてきても困ります。」
と断り、
唯華の次に沙羅の順番で入ることになった。
唯華が、お風呂に入り、気持ち良さそうにお湯につかっているときに
「あーあ、一緒に入りたかったなぁ~」
と愚痴をこぼした。
そして体も洗い終わり、体を拭き、服を着てリビングに戻り、沙羅と交代した。
そして、沙羅も同じように入りお風呂から上がってリビングに戻った。
そして唯華が
「お互いにドライヤーの掛け合いっこしよ!」
と可愛げに言い、
沙羅は
「まぁそれくらいならいいですね」
と終始落ち着いていた。
そしてお互いの髪の毛を乾かしあって
唯華が「一緒に寝よう?」
とおねだりしてきたので
「いいですよ」
と沙羅もそれに答えた。
そして一緒にベッドに入ると
唯華が
「なんかカップルみたいだね!」
とふざけた感じで言ってきた。
沙羅は、
「あなたと付き合いたくありません。」
と返そうとしたら唯華はもうぐっすりと寝ていた。
そして、
「ゆい姉さんはわがままな人だなぁ。」
とつぶやき沙羅も眠りについた。
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