第11話 守護神の使い方
「だいぶスムーズに
宿に戻ってきて手をグーパーしつつ、自分の体の調子を確かめる。人に対して攻撃したのは初めてだったけど、魔物の時と同様なんとも思わなかった。
殺しはしてないからなんとも言えないけど、恐らくこれなら問題なく盗賊討伐の依頼も受けれるでしょう。まずはランクを上げないといけないけれど。
「冬の間に色々訓練しておいて良かったわね。やっぱり
「グルルルッ」
ハーヴィーを撫でながら冬の訓練を思い出す。服の効果のお陰で寒くはないけれど、外に出る気が起きなかったから、会話デッキを構築したり、
結界を出すだけの能力だったけど、果たしてそれだけなのか疑問だったのよ。神様の名前がついた大層な能力なんだし、普通の結界とは違う使い方が出来るんじゃないかって思ったの。
それで今回ケムオに対して使ったのは、一旦手足を結界で覆ってから、それを圧縮するというもの。見事にケムオの手足はぐちゃぐちゃになったわ。
ぶっつけ本番で試してみたけど、上手くいって良かったわ。これでウロボロス以外にも新たな攻撃手段を得る事が出来た。
これをもっと早く展開出来るまで熟練度を上げないといけないわね。まだまだ発動してから、手足を覆うのにラグがあるの。
将来的には大規模に結界で覆ってやりたい。多人数を同時に相手取れるのは良い攻撃手段だもの。
「でも魔物には使えないかしらね。素材をダメにしちゃうわ。色々応用出来る事は分かったし、もっと使い方を模索していきましょう」
今日はもう休みましょうか。明日から本格的に冒険者としての活動をスタートさせるわよ。
私はふんすと気合いを入れてシャワーを浴びて、ネグリジェに着替えてからベッドに入った。寝る前に侵入者阻害用の結界を張っておくのも忘れない。
常に魔力を消費してしまうけど、回復量といい感じにバランスが取れてるから問題ない。これも冬の間や、野営の練習をしてる時に必要だと思って色々考えたの。
まあ、大体はハーヴィーがなんとかしてくれるんだけどね。万が一に備えてよ。
「改めて冒険者について教えてもらいたいのだけれど」
「ひゃい!」
翌日。朝起きて少しゆっくりしてから、冒険者ギルドに向かった。道中何か監視されてる様な視線を感じたけれど、とりあえず無視。不快な感じはしなかったし。
ホムンクルスの身体になってから、そういう視線に敏感になったのよね。感覚機能が上昇してるせいかしら? 日本にいた時に監視されてる視線なんて、よほど露骨じゃないと分からなかったし。
これは都合が良い時もあれば、煩わしい時もあるわね。そのうち慣れるなら良いのだけれど。
で、冒険者ギルドに向かったのだけれど、周りからはかなり距離を取られてるわ。比較的遅い時間にやって来たのに、結構な人数がいて、距離を取られつつも様々な視線を向けられる。
昨日の件が知れ渡ってるのかしらね。まあ、デビューに成功したとプラスに捉えておきましょう。
昨日と同じ小動物系受付嬢を見かけたので、その子にお願いするとかなり怯えられている。男はともかくこんな可愛い子にも怯えられるのは少し悲しいわ。自業自得だけど。
怯えながらの説明で少し分かりにくかったけれど、一応冒険者の事は理解出来た。錬金術師が残してた本にも書いてあったし、前世のラノベを読んでいたお陰でもある。
冒険者のランクはG〜Sまで。Aまでは日々の依頼や試験を受ければ上げる事が出来る。
Sは三カ国以上のその国のトップの承認、十人以上のギルドマスターの推薦。更に、誰にでも明確に分かる功績が必要らしいわ。
現在この世界には四人のSランク冒険者がいるけれど、聞く限りどの人物も本当にそんな事が出来るのって偉業を成し遂げている。
いつかその領域まで達してみたいとは思うけれど、今の私じゃ多分無理ね。
「依頼はあの掲示板から?」
「そ、そうです。Gランクはお試し期間みたいなもので、お、お使いや、街中の掃除が主な依頼になってますが、Fランクからは街の外に出て、や、薬草の採取や低ランクの魔物討伐等もあります。常設依頼と書かれてる紙は受け付けに持ってこなくても、素材や討伐部位を持ってくるだけで依頼達成となります」
「なるほどね」
良くある冒険者のテンプレで助かったわ。色んな作品を読んでたお陰で、拙い説明でも分かりやすい。この子も怯えながら一生懸命説明してくれてるしね。
冒険者の実績はポイントで管理されていて、規定ポイント到達で試験を受けて昇級される感じみたい。中には試験を受けるのが面倒でランクを上げてない人もいるみたいだけれど。
現状に満足して、そのランク帯で稼げてるなら無理をしないって人もいるわよね。
私はとりあえず上を目指そうとは思ってるけれど。面倒事も増えそうだけど、それはその時考えましょう。
行き当たりばったり上等。やりたい事をやって、面白おかしく異世界を楽しんでやるわ。
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