第157話 そんなオカルト、あり得ません。
「それにしても占い師さん。どうして私たちがカップルだと分かったんですか?」
先手を取ったのはトアリ。
占い師はうっすらと微笑みながら、
「宇宙の波動を受け取って見抜いたのですわ」
スゲー自信満々に言ってるけどさ。
俺ら付き合ってないんだよね。
男女二人組を見てそう判断したよね。一般人並みの洞察力だよね。
「ポケットのスマホにメッセージが来た時の振動を感じて確信しましたわ」
それスマホが電波を受信しただけ。宇宙の波動とか受け取ってないよね。
「それにあなたがた二人は、どう見ても不釣り合いですわ」
……あ?
「女の子の方はとても可愛らしいですが、男子はそのへんに居るモブにも劣らぬ素朴っぷりですわ」
……なんだテメーは?
「どう見ても付き合っているとは思えないですが、それは罠。ワタクシは、そんなものに引っかかるような三流占い師ではございませんわ」
引っかかってるんだよ、このド三流占い師。
「男の子の方が生まれた星はすぐに分かりました」
そりゃあね。地球しかないしね。
「素朴銀河の素朴星からやってきた素朴星人ですよね?」
何処の話だああああああああああああああああああああああ。
地球の日本人だわバカタレ。
なんだこの占い師いぃ。メッチャディスってくるんだけど。
レビューで最低評価したろか。
「あ、分かっちゃいます~?(笑)」
オマエ(トアリ)はホントに俺をディスることに関してはイキイキするよな。
「あなた……そこの女の子……。ええと……」占い師はトアリを見て、何かを探ろうとしている。
「ああ、私の名前ですか? 当ててみてください」
止めろ一生ここ出られないようになるっての。トアリとか、ただでさえ珍しい名前なんだから。
ああでも腐っても占い師だし……名前くらい分かったりするかも……。
「え、ええと……。かえで……ちゃん?」
全然違ええええええええええええええ。
初っ端から思いっきり空振りしてんだけどコイツぅ。占い師なのに。
「文字数は合ってます」トアリは声をヒソヒソさせている。「三文字ですよ」
なにしてんだトアリは?
「えっと、じゃあ……はるな……ちゃん?」
「違います」
「ええと……さくら……ちゃん?」
「違います」
さっきから一文字も合ってねーんだけど。逆に凄くね?
「あ、えと……あゆみ……ちゃん?」
「惜しいです」トアリはヒソヒソ声で、「一文字合ってます。『あ』は合ってます」
なにヒント与えてんの? なんでクイズ番組みたいな感じになってんの?
なんの時間なのこれは? 何を見せられてるの俺は?
「えっと……あいか……ちゃん?」
「違います」
「じゃあ……あいり……ちゃん?」
「惜しいです! 今、名前が二文字目に突入しましたよ!」
名前が二文字目に突入しましたよってなに? 地球上では存在するはずのないセリフだよねこれ? 素朴星の言語だったりする?
「『あ』と『り』は正解です! もう答えは近いですよ!」
トアリはマジで何を楽しんでるの?
「あ! 分かりましたわ!」
占い師は突然、大声を出した。
え、大丈夫? 今のでホントに分かった?
これ外したら終わりだよ色々。
「あなたの名前は……ズバリ、アリスちゃんですわね!」
外すんかいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい。
確かにその二文字から連想出来得る名前だけども。
そこまでヒント貰ってんだから後は己の占い力で導き出せよ。
こいつホントに占い師か?
「違います(笑)」
笑っちゃってんじゃねーかトアリも。
「ええ? じゃあ答えを教えてくれますでしょうか?」
それを自分で導き出すのが占い師の仕事じゃないの?
「私の名前はトアリですよ」
「あ、トアリ! トアリちゃん! ああ、そんな気がしてたんですわよね~」
嘘をつけ。
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