第151話 日本の魔王とフランスの魔王、初会話。


 ん? 新しい書き込みがきたぞ。


エムセル(暗殺者アサシン)『そんなしょーもないことで悩んでいるのか』


 暗殺者来たああ! 

 ついにアウトローの世界とも繋がったよ。

 え、こいつも本物?


Mセル(暗殺者)『城、と言ったか? まずキミと買い物にいく女子との関係性を教えてくれ』


 ヤベーよ暗殺者とやりとりすることになったんだけど。

 大丈夫? 書き込んだ瞬間サイレンサーで撃たれたりしない?


城『友達です』


Mセル(暗殺者)『友達、か。いつもどれくらいの頻度で話している?』


城『学校に居る時はほとんど話してます』


Mセル(暗殺者)『どこまで言い合える仲だ?』


城『どこまで言い合える、とはニュアンスが違うかもですが……。俺が向こうにイジられたらツッコミ返すって感じです』


金ちゃん『なにい? イジってツッコむ? そんなこと許さんぞ!』


 どーでも良い奴食いついてきたんだけどぉ。

 おまえ千手観音にシバかれたんじゃなかったのか。


金ちゃん『不純異性交遊は認めんぞおおおおおおおおおお! マジで爆発しろ!』



 オマエが想像するような卑猥なことはしてねーよ。


Mセル(暗殺者)『なるほど。そこまでは進展しているワケか』


 違う違う違う。マジで止めてくんないそーいうの。


城『誤解です! 向こうが俺のことをイジってくるから、それに大きく反応してツッコむって感じです』


 余計卑猥な感じになったあああああああああああああああああ!

 何やってんだ俺えぇ。この際だからもう詳しく書くか。


金ちゃん『許しません! そんなのダメダメ! まだオマエには早い!』


 ちょっと黙っててくんない?


Mセル(暗殺者)『なんだ楽しそうじゃないか』


 違いますMセルさん。今すぐ修正します。


城『俺は、ある虫に生態が似てるらしく、女子は俺のことをその虫の名前で呼んだりするんです。それに俺が【なんでやねん】みたいな感じでツッコむ。そんな関係です』


 ……ふう……。これで誤解は解けたかな。


Mセル(暗殺者)『なるほど。つまりキミは女子にゴキブリだと言われてイジられてるんだな』


 なんでだよ。

 なんで情報ゼロから正解(ゴキブリ)に辿り着けてんだ。おかしいだろ。


Mセル(暗殺者)『じゃあもう答えは出てるじゃないか』


 え、見当たらないけど?


Mセル(暗殺者)『これまでの書き込みを見る限り、制服で行くのが良さそうじゃないか?』


 どこをどう読んでそうなったんですか?


Mセル(暗殺者)『サンタはサンタの恰好で行けと言っていた。それはサンタの正装で行くこと=制服で行くことを示唆している』


 なにその深読み? たぶんそこまで考えてないと思いますよ?


Mセル(暗殺者)『千利休も忍び装束で行けと言っていた。それ即ち、忍者の正装で行くこと=制服で行けと言っている』


 強引過ぎない?


Mセル(暗殺者)『ゴキブリとパンダさんも紆余曲折はあったが、最後には制服で行った方が良いという答えを出しているじゃないか』


 それは確かにそうかもしれんわ。

 Gとパンダさんって名前に囚われて答えに目が行ってなかったわ。


Mセル(暗殺者)『つまり、ここに書き込んだ全ての人が制服で行った方が良いという答えを出してくれているんだ』


 確かに皆そう言ってる感じがしてきたわ。

 こ、これが裏社会の修羅場を切り抜けてきた暗殺者の力なのか……?

 

Mセル(暗殺者)『まあオレならそれくらいの仲の女子には【明日、制服か私服、どっちで行く?】って聞くけどな』


 それえええええええええええええええええええええええええ!

 それが俺が求めてた答え。それが百点の解答。


 そんな斬新な解答あるんだったら早く言ってよ。

 まあでも、ありがとうございます。


城『ありがとうございますMセルさん! 聞いて二人で決めることにします!』


Mセル(暗殺者)『そうか。力になれて嬉しいよ。じゃあな。楽しんでくるんだぞ』


 去り際カッケーな。Mセルさんは中身も外見もイケメンに違いない。


(よし……じゃあトアリに聞くか……)


 さっそく、俺はトアリにメッセージを送信。


城『よおトアリ。明日なんだけどさ。制服で行く? それとも私服で行く?』


 すぐに返事が返ってきた。


トアリ『制服で行きましょう(グーデンブリア産のGより)』


 あのGオマエだったんかいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!

 なんか文脈から既視感あると思ったら!


トアリ『城ヶ崎じょうがさきくんもまだまだですね。掲示板でそんな相談するなんて』


城『うっせーな。そーいうの初めてなんだから仕方ないだろ?』 


 トアリから、驚いた顔をしたツチノコのスタンプが送られてきた。


トアリ『へえ。そうなんですね』


城『何だよ?』


トアリ『別に。同じだなって』


 ……え?


トアリ『じゃあ明日、約束の場所で。時間通りに来てくださいよ』


 俺が聞こうとする間も与えず、トアリはニッコリ微笑んだツチノコのスタンプを送ってきたのだった。


 ……俺も……同じスタンプを送っておいた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る