第149話 千利休VS悪役令嬢


千利休『忍び装束で行くのはどうかっチャ?』


 え、千利休?

 ああ本物じゃなくてネットの名前か、そーいうの忘れてた。

 コイツもロクな答え持ち合わせてなさそうだな。


城『ありがとうございます。でも持ってないので止めときます』


 持ってても忍び装束なんかで行くかよという気持ちを秘め、俺は大人の対応をした。


千利休『そうかっチャ。持ってないなら行かない方が良いっチャ』


 何でだよ。何でそうなるんだよ。つーかその語尾は何なの?


千利休『道中で忍者に手裏剣投げられて終わるっチャ』


 何処の魔境の話をしている。


千利休『ワシは割ったお椀の欠片で手裏剣を作ってるっチャ』


 聞いてませんし。


千利休『忍び装束を着てないと、その手裏剣の餌食になるっチャ』


 オメーが攻撃してくるんかいぃ。


悪役令嬢カレン『そうはさせませんわ!』


 なんかまた変な奴来たああぁ。


悪役令嬢カレン『人の恋路の邪魔は、このワタクシ、カレンが許しませんわ!』


 え、ちょ、恋路とかそーいうんじゃないから。恥ずいからその言い方止めて。


千利休『何いいい? 貴様は誰だっチャ!』


悪役令嬢カレン『ワタクシは恋のキューピット、悪役令嬢カレンですわ!』


 悪役令嬢なのに恋のキューピットなの?


悪役令嬢カレン『度が入った綺麗なガラスを身に着けた殿方のお陰で、心を入れ替えたんですわ!』


 何の話ですか?


千利休『ふん! 何が恋のキューピットだっチャ! バカバカしいっチャ!』


悪役令嬢カレン『あなたこそ、人の邪魔をしようだなんてバカバカしい真似はお止めなさい!』


 千利休ブーメランぶっ刺さってんだけど。いやぶっ刺さってんのは手裏剣か。


千利休『何ををををををををを? 人の勝手じゃろがバーカバーカ!』


 千利休沸点低すぎだろ。お茶より先に沸騰してね?


悪役令嬢カレン『ふん! 怒るってことは図星をつかれた証拠! 潔く悪行から手を引きなさい!』


 なんでさっきから俺と関係ない奴同士でレスバやってんの?

 ネット掲示板ってこういうとこだっけ?


千利休『貴様ああああああああああああああああ! 今すぐワシの手裏剣を喰らわせてやるうううううううううううううううううううう!』


悪役令嬢カレン『おーっほっほ! やれるものならやってみろですわ! サンタクロースの爺やを盾にして差し上げますわ!』


 サンタクロースあんたの爺やだったんかいぃ。そこ繋がってんのおかしいだろ。

 つーか爺やを盾にすんなよ。悪役令嬢っぷり健在じゃねーか。全然心入れ替えてねーし。


レッドサンタ『ほっほっほっ。お嬢様のためなら何でもしますぞ』


 レッドサンタって何だああああああああああああああああああああ。

 アレかあああああああああああああああ、手裏剣喰らったのかあああああ。

 大丈夫かサンタあああああああああああああ。

 つーか何でもうリアルで戦闘が始まってんだ、おかしいだろ。


千利休『はぁ……はぁ……なんだこのサンタはっチャ! どれだけ手裏剣を喰らっても倒れないっチャ』


 戦闘実況してんじゃねーよ。ここ悩み相談スレッドね。


悪役令嬢カレン『おーっほっほ! 爺や、その調子で盾になるのですわ!』


ゴーストサンタ『もちろんですとも! お嬢様のためなら、あの世にも行きます!』

 

 サンタ霊体になってる霊体になってる! もう魂はあの世に行ってるって、極楽浄土行ってるって。


千利休『何ぃ? クナイも火遁の術も効かないじゃとお? こ、このサンタ、デキル!』


 なんか向こうで無駄にハイレベルの戦闘してるんだけど。 

 もういいから、俺の相談受けるスレッドだからここ。

 戦闘実況するとこじゃないから。


千利休『ぐぐぐ、ワシの負けだっチャ。ワシは本来ならこの世に居ない存在だっチャ。もう雲の上に戻るっチャ』


 雲の上に戻るって何? 昇天するってこと? 

 え、もしかして本物の千利休だった?


悪役令嬢カレン『おーっほっほ! これで解決いたしましたわ! ではこれにて失礼! さあ極楽浄土に爺やの魂を取り戻しに行くわよ!』


ゴーストサンタ『もちろんですとも!』


 そっちは解決したかもしんないけどこっちの悩みは全く解決してねーよ。


 なに? なんでこうカンケーない物事が起こるの?

 ネット掲示板で相談するのが間違いだった?

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