第4章 ゴールデンウィーク本番!
第148話 城ヶ崎少年の悩み
「どうする……?」
夜七時ごろ……。
俺は究極の選択を迫られていた。
明日、トアリと駅前で文房具を買いに行くのだけど……。
私服で行くか、制服で行くかで悩んでいた。
「私服だとな……」
俺とトアリの仲だし、ダサいって言われるのは別に良いんだけど。
たかがショッピングに行くだけで、張り切ってるって思われるのはちょっと恥ずかしいし……。
それに向こうだけ制服だと恥ずかしい思いをさせるかもしれない。
「制服でもな……」
ゴキブリカラー(学ラン)って言われるのは別に良いんだけど。
あ、いや、今は日中暑いから白シャツで行くし、それはないか。
まあそれは置いといて。
トアリが私服で、折角オシャレしてきてくれた場合、それこそ恥ずかしい思いをさせるかもだし。
「いったい……どうすれば……?」
考えても考えても答えを導き出せない。
くそ……数学の発展問題のが簡単だぞ……。
誰かに相談するしかねえな……。
いやでも知り合いに相談してトアリと出かけるのバレるのは何か恥ずかしいというか……。
「そ、そうだ!」
ネットがあるじゃないか。
そこなら匿名で、世界中の人からアドバイスを聞けるし。
よし、さっそく掲示板で相談してみよう。
ネットでの名前は『城』にするか。
城『高校一年生男子です。相談があります。明日、女子と買い物に行くのですが、制服で行った方が良いでしょうか? それとも私服で行った方が良いでしょうか?』
俺が書き込んだのと、ほぼ同時のタイミングで、
金ちゃん『嘘乙。チー牛は黙ってパソコンと見つめ合ってろwww』
という返信が来たのだった。
(え、えええええええええええええええええ?)
何コイツううう? 爆速で返事してきたんだけど、なんか闇を感じるんだけど。
城『嘘じゃないです。明日なのでちょっとしたアドバイスでも欲しいです』
金ちゃん『はいはいwwwあ、女子って二次元の女子ってことねwwwwそれならパイロットスーツで行けば良いんじゃないのwwwwww』
何だコイツは。マジで何なんだコイツは。パイロットスーツって何だよテキトーすぎだろ、もうコイツの書き込みは無視するか。
ん? 他の人から書き込みが来たぞ。
サンタクロース『ワシならサンタの恰好で行くぞい』
サンタの恰好って何だよ。オマエもテキトーなこと言ってんじゃねーよ。
サンタクロース『トナカイにソリ引かせて待ち合わせ場所に行けば、好感度も上がるぞい』
ドン引きされるわ。マトモに答えてくんない?
金ちゃん『サンタwwwwwこれ釣りだからねwwwwww』
オマエもう帰れや。
サンタクロース『やれやれ、マトモに人の相談に乗れんのか?』
マトモな答えを出さないアンタが言うのそれ?
サンタクロース『一人の若者が相談に乗ってほしいと言ってるんじゃぞ。助けようって思わないのか?』
え、このサンタなんかマトモなこと言ってんだけど。もしかして本気で答えたつもりだった?
サンタクロース『哀れじゃのう。若者を妬む、ネットの住人は。青春コンプレックスでもあるのかえ?』
その書き込みに、爆速で反応するやつが居た。
金ちゃん『は? 何言ってんのオマエ。んなことねーし。オイラだって隣のクラスの弥勒菩薩とデートしたことあるし。羨ましいかバーカバーカ』
金ちゃんってオマエ(金剛力士像)だったんかいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい。
煽り耐性ゼロじゃねーか。魔法とかには耐性あるくせに。
サンタクロース『おいおい、あんたさんこそ嘘ついてないか? 隣のクラスの弥勒菩薩なんて存在するわけないじゃろうが』
なんか金剛力士像とサンタがレスバしてんだけど。
金ちゃん『嘘じゃねーしいいい! 何なら千手観音と手も繋いだしいい! 羨ましいだろバーカバーカ』
語彙力無くなってきてんぞ金剛力士像。
弥勒菩薩『私はアナタとデートした覚えはありませんよ』
弥勒菩薩きたああああああああああああああああああああああああ!
ここで本人来たよ。
極楽浄土から解き放たれた弥勒菩薩がネットに降臨したよ。
どーすんの金剛力士像。
金ちゃん『は? オイラの弥勒菩薩のなりすましは止めてくんない?』
弥勒菩薩『いいえ、本人ですよ。それに私はアナタのモノになった覚えはありません。大切な友達であることに違いはありませんが』
金ちゃん『証拠を出せよ証拠! 出せねーだろバーカバーカ!』
弥勒菩薩『アナタの名前は金剛力士像。母親からは金剛力ちゃんと呼ばれている。好物はカレー。今まで女子と手を繋いだことのない。これでどうです?』
完全に金剛力士像のこと把握してるよ。本物だよこの弥勒菩薩。
ど、どーすんだ金剛力士像?
……あれ? なんか急に金剛力士像の書き込み無くなったぞ。
千手観音『皆さんご安心を。金剛力士像なら私がシバいておきました』
千手観音も来たあぁ。極楽浄土から抜け出して書き込みにきたよ。身内で解決してくれたよ。
千手観音『因みに金剛力士像と手なんか繋いだことありません(怒)』
怒ってるよ千手観音。そりゃそうだよ、勝手に手を繋いだとか言われたらキレるよ。つーか良く抜け出せたな、あのメイド喫茶から。
サンタクロース『これで邪魔者は消えたな。さて、サンタの恰好で行くのはどうかね?』
え、それしか答え持ち合わせてないの?
城『アンサーありがとうございます。でもすみません。それは前衛的すぎるので止めておきます』
サンタクロース『そうかそうか。ワシには良い提案を出せそうにない。これで失礼するよ少年』
サンタ良い人じゃん。真剣に考えてくれてたんですね、ふざけてたと思ってました。俺は『ありがとうございました』と書き込んでおいた。
「ふう……」
荒らしが居なくなって落ち着いた。
恥ずかしいことに、俺が率いる魔王軍の一人だったけど。
ま、まあいい……。
気を取り直して新しい返事が来るのを待つか。
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