第145話 メガネのお悩み相談室⑤(SideМ)


(はあ……何なんだ今日は……)


 ま、まあいい……。気を取り直して勉強だ。


(集中集中……)


 ボクが勉強の世界に入って、十五分が経過した頃だろうか。


「ちょっと、ここよろしいかしら?」


 向かいから女性に話しかけられた。


 ん? と勉強する手を止めて、向かい側を見ると……。

 そこには金髪の女性が腕を組んで立っていた。艶のある金色の髪の毛を、縦巻きロールにセットしている。


 顔立ちがハッキリしていて、瞳が青い。外人さんだろうか。白を基調とした、豪華なドレスを着ている。


(……またなんか来たよ……)


 これアレだろ。相談に乗る的なアレだろ。

 もう分かったよ。大体把握したよこのパターン。


 てかさっきからどんどんスパン短くなってきてんだけど。じっくり勉強する間も無いんだけど。

 今度は一体何者?


「お黙り! あなたに拒否権はございませんわ!」


 いやまだ何も言ってませんが?


「この世はワタクシを中心に周ってるんですのよ!」


 言うと、金髪の女性は、ふわりとドレスを踊らせながら、向かいの席に座った。


「ふふ、ワタクシに名乗れですって? 無礼者! 口を慎みなさい!」


 だから何も言ってませんよね?

 つーかうるせえよ。

 ここ図書館。公共施設。皆の場所。静粛に。


「そこまで言うのであれば名乗ってあげますわ!」


 別に名乗らなくて良いです帰ってください。


「ワタクシは悪役令嬢のカレンですわ! ひれ伏しなさい平民!」


 悪役令嬢おぉ? 何かと流行りの、あの?


「ここは崇高な場所よ! 静粛になさい!」


 あんただよ。今んとこ音の発生源あんたしか居ないよ。


「ふふ。あなた如きが、ワタクシに悩みの種があることを見抜くとはね」


 え、悩みあんの?


「そのメガネは伊達ではないようですね。メガネだけに」


 上手くない上手くない。何にもかかってないよ、メガネだけに。


「さあワタクシの悩みを聞いてもらいましょうか」


 嫌です帰ってください。


「無礼者! あなたに拒否権はございませんわ!」


 だから何も言ってねーっつーの。

 何なの? 悪役令嬢ってこんな感じだっけ?


「ふふ。まあここはワタクシの顔に免じて許してさしあげますわ」


 何様?


「では早速、悩みの方を聞いてもらうわよ」


 今度は悪役令嬢カレンさんの悩み相談受けることになった。


 

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