第122話 パンダさんパワー!
「点が取れなそうだった場合でも救済措置があるから大丈夫よね!」
……救済措置? そんなの聞いてないけど。
「テスト用紙の裏に動物を上手く描いたら10点プラスされるから!」
それ小学生ん時にあった謎ルール。
懐かしっ。しかも描いても点数に反映されねえってやつね。
「私のところはパンダさんを描いたら10点プラスだったわ!」
加藤に続いて、金剛力士像が口を開く。
「オイラの所はテスト用紙の裏側に弥勒菩薩を描いたら10点プラスだったでやんす」
弥勒菩薩を? それ表のテスト問題よりムズくねーか。
「Zzz(パンダさんパワー)」
トアリ壊れてきてるよ。スリープモードの限界きてるよ。
パンダさんパワーとかいう未知の力との遭遇してるよ防護服の中で。
「トアリさんのところは何を描いたら点数プラスされたの?」
加藤が問うと、トアリがちょっと間を空けてから反応した。
「Zzz(私の所はゴキブリを描いたら100点プラスだったかな)」
嘘をつけええええええええええええええええええええええ。
そんなルール出す教師居るワケないよね。
てか100点って何だ。表の満点と同じじゃねーか。
一匹いたら百匹居る、から来てる?
「Zzz(より詳しく描くほど点数が増えます)」
そんな繁殖性あってたまるか。
「Zzz(でも先生が『気持ち悪い』って思うほど精巧なGを描くと、逆に減点されます)」
じゃあそれ描かない方がいいよね。
「Zzz(今だと隣の城ヶ崎くんを見ながら描けてしまうので、減点されるでしょうね)」
誰がゴキブリだ。
てか普通に喋れええええええええええええええええええええええええ。
さっきから確実に起きたやつの会話してんじゃねーか。
俺をイジりだしてから完全に目覚めたよね?
マジでそういうことに関してはイキイキするよなオマエは。
「良く思い出してみたら、私のところなんだけど、パンダさん描いたら120点プラスだったわ!」
あ、そうですか。
「甘いでやんす。オイラのところは千手観音を描いたら1000点プラスだったでやんす」
千手観音だけにってか? やかましいわ。
「間違えたわ!」加藤は叫んだ。「パンダさんを描いたら1200点プラスだった!」
え、なに? 何でさっきからオークション始まってんの?
そんなくだらねーもんで競うなよ。小学生かオマエらは。
「じゃ、じゃあオイラんところは千手観音の手を描き足す度に1点プラスだったでやんす」
じゃあって何?
「悪いわね金剛力士像くん! 私のところはパンダさんの尻尾が黒いか白いか正確に描けたら更に30点プラスだったわよ!」
しょーもなっ。
「Zzz(パンダさんパワー)」
くだらなすぎてトアリも再びスリープモードに入ったぞ。
「ぐうう……オイラの負けでやんす!」
「残念だったわね金剛力士像くん! これがパンダさんパワーの力よ!」
え、そうなの?
「Zzz(私のところはゴキブリを描いたら10000点でした)」
テメーも入ってくるんかいぃ。
「い、10000点ですってえ? トアリさん、それは本当なの?」
いや嘘だよそれ。
「Zzz(描いたGを駆除したら更に10000点プラスです)」
描いたのを駆除したらってなに? もしかして消すってこと?
「Zzz(大事なのは『描いたGを消したかどうか』です。白紙のまま出すと描いてないのがバレてしまうので、おぼろげでも良いからGを描いて消します。そうするだけで10000点は確実に取れちゃいます)」
フツーに喋れえええええええええええええええええええええええ。
寝てる奴がこんな長文話せるワケないよね。完全に目を覚ましてるよね。
「悔しいけど! 悔しいけどこの戦いはトアリさんの勝ちよ!」
「オイラもそう思うでやんす! トアリの姉御の勝ちでやんす!」
その勝ちには何の価値もねえよ。
「Zzz(どんな戦いにも頑丈な守りで勝つ。これがGショックの力です)」
全っ然うまくねーし。
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