第76話 人外魔境メガネ決戦④(sideM)


「じゃ、じゃあ、今からワタシが食べたいモノを言うので、それ持ってこなかったら呪うっていう感じで……」


 幽霊さんが言うと、岩田いわた先生は「ほう」と声を出した。


「なかなか良いアイディアじゃない。アナタにしては上出来よ」


「あ、ありがとうございます」


 何を見せられてるのボクは?


「で? 何を持ってこればいいのかしら?」


「えとえと、じゃあポテトで……」


「分かったわ、ジンギスカンね!」


 あなたの耳は節穴ですか?


「あのあの、ポテトを――」


「ジンギスカンね。安心して。ちょっと用意が難しいけど、不可能ではないわよ」


 さっきからポテトっつってますよね。

 ポテトがジンギスカンに変換されるソフトでも脳に内蔵されてます?


「あの味ってクセになるわよねえ。分かるわ食べたい気持ちも」


 だからポテトですって。幽霊さん逆にジンギスカンって言ってみて、多分ポテトに変換されるから。


「じゃ、じゃあジンギスカンで……」


 よし良いぞ幽霊さん、多分ポテトに変換――


「そこまで言うなら仕方ないわね。ジンギスカン、早急に用意するわ!」


 関係ねーのかよ。

 えっ、じゃあ何でさっきから頑なにジンギスカンに変換?

 先生もしかして食べたかったりする?


「私の力ではどうしようもないけど、大丈夫、この学校には『あの人』が居るから」


 言うと、岩田先生はスマホを取り出して通話を始めた。


「――夜分遅くに失礼します。――いえ、実はワケあってジンギスカンを用意してほしいのですが」


 ボクと幽霊さんは、岩田先生を見守る(なんだこの時間)。


「アナタたち、朗報よ」岩田先生はこちらを向いて、「教頭先生が用意してくれるらしいわ」


 ここで教頭おおおおおおおお?

 ジンギスカンも用意出来るのかよ。

 マジで何なら出来ないのあの人?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る