第61話 Next Megane Of(sideM)


(……一体どうなるんだろう……)


 まあ、とりあえず二人の極悪ごくあく非道ひどう六神獣ろくしんじゅう及び魔王まおうが衝突することは無かったから、今のところは良しとすればいいのかな……。


「……あれ? 城ヶ崎じょうがさきくん?」


 ボクが清キラの車両に戻ると、鞘師さやしさんの隣で城ヶ崎くんが頬杖をして眠りについていた。


「そっとしておいてください早乙女さおとめくん」


 鞘師さんは、ヒッソリとボクに言った。


「こう見えてクラス委員長として陰で色々頑張ってくれてるんです」


「あ、そうなんだ……」


 ボクも鞘師さんに合わせて声をヒッソリとさせた。


「その疲れが出て寝てしまったのでしょう」


 フフッと、防護服の中で鞘師さんが確かに笑った。

 とても穏やかに。


(そっか……。鞘師さんが言ってた友達っていうのは……)


 ボクはここで、確信していた。

 鞘師さんと城ヶ崎くんの関係性と……。

 二人の『本当の』人間性を……。

 そのことを知って、ボクは思わず笑みを零してしまっていた。


「……じゃあ鞘師さん、ボクは自分の席に戻るよ」


「ええ。ではまた」


 ……また……か。

 うん、また、機会ができたら話そう。

 この二人と。


(うん……また……)


 鞘師さんも、とても良い人だと思いました。

 本物の極悪非道六神獣及び魔王のことは良く分からないけど……。


(良く分からないけど……)


 もし『本物』が居るとしたら……。

 それは人の心だと思いました。

 そんな日でした。




 【第2章】

  

   フルアーマーと課外授業の準備 


        ‐おしまい‐

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