第46話 潔癖症を治す大ヒントです


「ま、まあいい……。このままその方向の話しても堂々巡りするだけだ……」


 俺は何とか羽ばたくジーの話を切り上げた。


「てかおまえ、潔癖症のわりには部屋あんま綺麗にしてないよな? 埃とかも結構あるし、服とか漫画とか散らばってるし……」


「そんなの決まってるじゃないですか。私の部屋にある物質や、部屋で生成されたゴミ等は汚染されていませんからね。片付けたり掃除したりする必要性が無いのですよ」


「……ふーん……」


 そういえばなるみちゃんが言っていた。

 トアリが『自分が汚いと思ったモノの範囲が凄く広くなって』と。


 普通の人でも、自分が汚いと思うモノは極端に避ける。でも通常はその範囲はあまり広くないので、日常生活を送るのに何ら支障はない。


 しかしトアリはその範囲が非常に広く、ただのシャーペンでも汚いと思って、触ったあとに手を洗わなければならない。


 だが潔癖症とて、実際に汚染されているモノでも『綺麗だと思っていれば無害と認識する』ようだ。

 トアリが自室にあるモノを実際の汚染度のことを考えずに『綺麗』と言ったのが良い例だ。


(ちょっと見えてきたぞ……トアリの潔癖症を治すヒントが……。時期がかなりかかるかもだけど、治せるかもしれない……。でも今は……)


 その時ではない。

 今第一にしなければならないのは、明日の課外授業の対策。

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