第32話 懸賞金はン億ベリーです。
「おいアイツ……」
「ああ、
「学校にある『考える人』の銅像を腹いせでぶっ壊したらしいぜ?」
「え~?」
「やだ~」
「二ノ宮金次郎も半壊させたらしいぜ。昼休みの間に」
「学校のオブジェクトを壊して自分の力を見せしめるって算段らしい」
「うそ~?」
「こわ~い」
等と、こじれにこじれた噂話を浴びながら、俺は下駄箱へ歩いていた。
校内の至る所に、俺の顔が指名手配犯のように貼られている。
顔の下には『二つ名』が黒字で書かれている。
《生徒会公認、極悪非道
最悪だった。
学校を支配しようとする極悪非道六神獣という良く分からない二つ名を得てしまった。
もう高校デビューどころじゃない。
ある意味高校デビューだけども。
「何でこうなった……。てか何で俺の邪魔する奴しか居ないんだよ、この学校に居る生物は……。授業環境はめちゃ良いのに……」
肩を落としながら辿り着いた下駄箱に、フルアーマー系女子、
鞘師は靴を履き替えることなく(靴が防護服と一体化しているから)、そのまま外へ出ようとしていたところだった。
「あっ、城ヶ崎くん、ご機嫌よう」
鞘師はとても上機嫌な声で言った。
「……おまえやけに嬉しそうだな……」
「そんなことないですよー。城ヶ崎くんが二つ名を得たことは置いといて」
置いとけないんだけど。
「一年生は課外授業があるじゃないですかー。『ある組織』は破滅作戦に失敗したようですから、他の方法で破滅へ向かわせないと……って思うともう鬱で鬱で」
鬱なのは俺だっつの。ああもう色々ツッコム気力もねえわ。
「……つーかさ、嫌なら破壊せずに行かなきゃいいだろ……。何でそう課外授業を破滅へ向かわせることに拘るんだおまえ」
「……」
何で黙るのここで。
「私だって――」
鞘師は何かを言いかけた。
「べ、別に何でもありません……」
鞘師は強引に先の言葉を飲み込んだのだった。
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