第16話 何故か始まる練習(sideM)
(なんか気まずいな……)
ボクは
「全然声かけられねーな。様子がおかしいな、このコンビニ」
様子がおかしいのはキミだよ。
「あ、しまった。
言うと、城ヶ崎くんは雑誌を置いた。そしてこれ見よがしに清キラのワッペンが付いた胸を張りながら、店内をゆっくりと歩き出したのだった。
(え、えええええええええええええ?)
何してんの?
完全に不審者なんだけど。
腰メッチャ後ろに反らせながら歩きだしたんだけど。
そんなに清キラのワッペン見せびらかそうとしてる人初めて見たよ?
どんだけエリートって
つーか店員さん以外他に誰も居ないよ今。
「くっ、なかなか
そら誰も居ないからね。ボクしか居ないからね(因みにボクは城ヶ崎くんに見つからないよう商品棚に隠れながらやりすごしてます)。
「しょうがない。練習しとくか」
城ヶ崎くんは姿勢を正して、雑誌のコーナーに戻った。
そして、
「ありがとうございます! いえいえ! 俺なんてそんなに凄く無いッス!」
雑誌に向かって叫びだした。
(え、ええええええええええええええええ?)
何してんの?
練習って言ってたけど何?
何の練習?
「恐縮です! いえいえ! 俺なんてただのエリートですよ!」
いやうるせえよ。メッチャ響き渡ってますけど。店員さんも危険を感じてどこかに電話かけてるよ。
「そうですかねえ! いやいや! 俺なんてただのエリートですって!」
うるさいんだけど。てかさっきから謙遜の念を感じないのは気のせい?
「ふう……。『清キラに通うエリートの人ですよね』って声かけられた時の練習はこれくらいにしとくか」
なんの練習してんのキミ。つーか今の練習通りに答えたら嫌な奴って思われそうだけど大丈夫?
「ちょっと良いかな?」
と、誰かが城ヶ崎くんに声をかけた。警察官二人組だった。一人は眼鏡をかけていて、もう一人はゴツイ警官だった。
(ヤバいヤバい……)
ボクはその場から大きく離れて、彼らを見守ることに。
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