ページ1・とあるFラン大学生
俺は何処にもいる、Fラン大学に通う大学二年生だ。
父は普通のサラリーマン、母は偶にパートで働いたりする普通の主婦だ。
そんな探せば何処にでもいるような過程で生まれた俺が13歳の時にベーシックインカム制度が始まった。
ネットの知識やテレビの知識で何となく知っていた俺はいきなり毎月11万円貰えるのヤッターと強く驚いたのを覚えている。
ただ、現実はそう甘くはなく、11万円は全部親が管理した。
それでも何とか幼いながら交渉して毎月のお小遣いが5000円から1万円にあがった。
凄く嬉しかったのを今でも覚えている。
周りの友達の中には11万円全部貰ったという奴もいたが、そういう奴は元々金持ちだったりで、俺と同じ普通の人は親が管理という形で落ちついていた。
友達と一緒に、愚痴ったり、まあそんなものかと諦めたりして笑いあったのを覚えている。
かくして月日は流れて18歳になった。
あまり頭がよくなかった俺は見事大学受験に失敗。
家から7キロ程離れた偏差値42の所謂Fラン大学に入学することとなった。
そして大学生になったということで親から月11万円のベーシックインカムの金額分を自分で管理しても良いということとなった。
その代わりに実家に住むなら家賃食費光熱費として月5万入れることを条件に出された。
その提案をありがたく受け入れて、俺は毎月6万円自由に使えるお金が出来た。
ただ、6万円ってのは案外すんなり飛んでいった。
教科書代や新人歓迎といって払った飲み代、サークル活動に必要なお金、友人とやる為のゲーム代、趣味の漫画代等々。
皆俺と同じようにベーシックインカム制度のおかげで毎月11万円貰っていたから、活発的に遊んだり、お金を使う行動をしていた。
かくしてお金が足りないと思った俺は人生初めてのバイトをすることになった。
友人の働いていたバイト先に応募して受かり、働きだす。
大学が速く終わる平日2日間と時給の良い土日の夜、週4の5時間勤務で働いた。
それなりに大変だったが、友人もいたし楽しく働くことが出来た。
貰えた給料は約9万円
あれだけ頑張って9万円かと思ってしまった。
ベーシックインカム制度で毎月貰えるお金が11万円というのを考えれば、そのお金よりも2万円も少ない。
自由に使えるお金が丸々9万円増えたと考えればかなり大きかった。
このままバイトを続ければ毎月15万円も自由に使えるお金が出来る。
正直何でもできそうな万能感に駆られてしまった。
ふと、財布を見たら、バイトを始めてからのベーシックインカム分の6万円の内4万円程が余っていた。
落ち着いて考えたら当たり前だった。バイトが忙しくて遊んでないからお金が溜まってるやんって。
遊ぶためにバイトしたのに、バイトしたから遊べない、何とも本末転倒のような何というか。
しかもバイトが忙しくて寝不足で授業中に寝てしまったり、遅刻してしまったりもした。
一応今の自分の本文は大学生だ。
勉強だ。
バイトにかまけて疎かになるなんて本末転倒この上なかった。
結局、バイトを減らして平日水曜日と土曜日の週2勤務、バイト代は減ったけど、その分、友達と遊んだりゲームの課金につかったりして結構充実している。
何だかんだで、今も楽しく大学生を謳歌出来ている。
――――――――
ベーシックインカムによって、大学生の進学率は大幅に上昇しました。
理由としてほとんどの親が子供の内からベーシックインカム分のお金を管理して、貯蓄、その貯蓄分を大学費用に充ててくれているからです。
奨学金制度の貸与型はベーシックインカム制度導入に伴い大幅に規模が縮小されましたが、特に問題はなかったです。
ただし、所謂Fランク大学が募集人数を増やしたり、新しく作られたり、少子高齢化時代にも関わらず大学の数が増えるという異常事態が起きてしまっています。
現在でもFランク大学は問題になっていますが、ベーシックインカム制度はそれを増長させる結果となってしまいました。
それでも、学んでいる学生達は将来、奨学金を返すという負担がなく、思う存分遊び学ぶことが出来るので、国全体的に見た際の学力や能力という点で見れば上昇していました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます