バイオドールとは?

 バイオドールとは、オナテックしゃ『アダルト玩具がんぐ』の登録とうろく商標しょうひょうです。



 バイオドールは、ゲノム生成せいせいAIによる人間にんげん遺伝子いでんし培養ばいようしたラブドール(性欲せいよく解消かいしょうよう人形にんぎょう)です。ただし、仕様しようとして、彼女かのじょたちには、人権じんけん必要ひつようとする『自我じが』が発生はっせいしないよう、頭脳ずのう迂回うかいしきのブロック神経しんけい回路かいろ形成けいせいされています。

 しかも、魂魄こんぱく領域りょういきに、情報じょうほうセキュリティをほどこすことで、間違まちがっても『人間の霊魂れいこん』が宿やどらないように『安心あんしん安全あんぜん設計せっけい徹底てっていされていました。


 ところが‥‥事故じこは、発生しました。


 製造せいぞう途中とちゅうのバイオドールに、地球ちきゅう大学だいがくせい女子じょし本生もとじょう奈央なお』が転生てんせいしたのです。

 のちに、このけんでは、オナテック社のCEOが、星系せいけい議会ぎかい喚問かんもんされました。ですが、現在げんざいは、製造途中にも『安心/安全』処置しょちが施されています。



 ところで、商用しょうようアイテム『バイオドール』は、とう胴体どうたい部のみのコアボディーを、個人こじん軍事ぐんじ介護かいご警護けいご風俗ふうぞくなどの『サービス用途ようと』で規格きかく統一とういつして、ていコストを実現じつげんしています。

 たとえば、個人所有しょゆうと軍事配備はいびちがいは、手足てあし機械きかい義肢ぎし』が戦闘せんとう用であるかと、頭脳ないアプリ『システム神経回路』の違いだけです。


 なお、バイオドールには、うであしがありません。家事かじ奉仕ほうしや戦闘参加さんかは、機械義肢をけることで可能かのうとなります。また、バイオドール用途の設定せっていは、パッケージ梱包こんぽう工程こうてい)で施されます。

 それと、余談よだんですが、システム神経回路の導入どうにゅうさい設定のたぐいは、頭脳内ナノマシンが専用せんよう酵素こうそ構築こうちく/再構築しています。



 ちなみに、本生奈央こと『オナさん』は、マスターワークばんです。それゆえ、個人所有にも、軍事配備にも対応たいおうできます。

 しかも、彼女は、自我抑制よくせいの神経回路が、解除かいじょされています。


 それから、これも、余談ですが、オナ子さんは、業務ぎょうむ用でも自家じか用でもく『個人用』です。そのため、オナ子さんに搭載とうさいのアプリや、システム神経回路の利用りようけん(ライセンス)は、個人にあります。

 また、利用ライセンスの『個人』とは、オナ子さん自身じしんです。オナ子さんの所有しゃには、それらの2利用権のみがあります。



聖暦せいれき2022ねんがつにち仏滅ぶつめつひるがりの『本生優人ゆうと』の部屋へや――


 優人は、PCで読書どくしょちゅうです。また、七守しちがみ丁子ちょうこも、普段ふだんのままで、優人のベッドにそべり、少年しょうねん漫画まんが雑誌ざっしんでいます。

 そして、オナ子さんは『銀色ぎんいろ玉子たまご形態けいたいですが、バーチャル・キャラクター状態じょうたいで、空中くうちゅう対話たいわウインドウ内から優人の様子ようすまもっています。


 不意ふいに、オナ子さんが、優人にはなけます。

『ご主人しゅじんさま、わたしを使つかとき‥‥

 無闇むやみに、もと実姉じっしとしての感情かんじょうを、刺激しげきしないでくれ!』


「けど、面白おもしろいし‥‥気持きもいから、無理むり!」

 優人は、たりまえこととして、拒否きょひしました。



 ウインドウ内から、オナ子さんがつづけます。

『じゃあ、発射はっしゃ瞬間しゅんかんだけでも‥‥』


「その時のあねいじりが、一番いちばん最高さいこうなんだけど‥‥

 ‥‥ん?

 いつも、ありがとう!」


『えっ?』

本当ほんとに、感謝かんしゃしてる」

 優人のくちだけ感謝に、オナ子さんがれています。

 なんだか、かなり駄目だめ駄目な交渉こうしょうです。


 ちなみに、オナ子さんは、優人がオナ子さんで性欲解消する時の『妊娠にんしん確率かくりつ』についても、交渉するつもりでした。

 やはり、妊娠は、オナ子さんとしても、おびえや不安ふあんがあるようです。



 しばらくして、今度こんどは、優人が質問しつもんします。

「ところで、しっぱなしの『お掃除そうじ』って、どういう仕組しくみ?」

筋肉きんにく収縮しゅうしゅくさせて、中奥なかおくってる』

 ウインドウ内のオナ子さんは、かすかに、ほほあからめています。


 いて、今度は、オナ子さんが発言はつげんします。

なまエッチの時、わたしのあせにおいとか、くわしくめるが‥‥やめてくれ!』

「あれも、姉弄りの一環いっかんだから‥‥可能!」


『わたしを酷使こくしして、たのしいのか?』

「気持ち良いけど?」

 優人の疑問ぎもんけいこたえに‥‥オナ子さんは、ムッとしながらも、おもしながらの『じらい涙目なみだめ』です。


 ちなみに、優人とオナ子さんには、血縁けつえん関係かんけい皆無かいむです。実姉『奈央』が、オナ子さんに転生した時、完全かんぜん消滅しょうめつしています。



 ともあれ、色々いろいろと、仕方しかたが無いので‥‥優人が、フォローします。

「それは、そうと‥‥

 オナ子さんのことは、七守さんのつぎに、だいきだよ!」


『‥‥そっか、好きなんだな!』

 ウインドウ内のオナ子さんは、照れながらもうれしそうです。

 しかし、オナ子さんのためにならない、どうしようもなく、あきれた会話かいわでした。



 このは、そのも‥‥駄目な無駄むだばなしが、続いていました。

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