第45話 焼肉パーティ
人気が全くなくってへこたれていましたが、
応援コメントいただきました!
ありがとうございます!
それでは、お楽しみください。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
「お~い、三蔵~!」
今度は麗しい声で誘われた!
スパイス・ガールズだ!
マリンとウィローが笑顔で手招きしてくれている~!
マリンは犬人の斥候で、茶色の髪、ふさふさのしっぽ、
すらりとした綺麗でまじめな人。
ウィローは猫人の戦士で、三毛、しっぽは団子、
これまたすらりとした長身で、面白な人だ。
彼女たちの傍に立っているスラティナ村の背の高いイケメンが俺を睨んでいたが、
気にせず、いそいそとして近寄っていった。
「ゴメンね、アタシたち、自分より弱い男に興味ないの。」
ウィローがイケメンに見せつけるように、俺と腕を組んで体を摺り寄せてきた!
反対側からはマリンがニコニコとしながら、俺と腕を組んで体を摺り寄せてきた!
うぉ~!
背の高いイケメンは俺を見下ろしながらも、悔しそうに去っていったのだが、
わが生涯に一片の悔いなし!
って叫びながら、右こぶしを天に向かって突き上げたい!
って思ったよ。
でも、イケメンが去ってしまうと、マリンとウィローはあっさりと俺の拘束を解いてしまった。
残念・・・
マリンがワイバーンの肉を摘まんだ。
「ワイバーンの肉なんて、初めて食べたよ。
すっごく美味しいね。三蔵と花梨が狩ったんだって?」
「ああ、花梨はホントに凄いよ。」
「ゴブリンキング、マンティコア、ワイバーン・・・
アタシたちの前で狩ってほしかったな。」
「次はカッコいいところ、見せてやるよ。」
キラリと白い歯を見せると、ウィローに大ウケした!
「アハハハ!強いところじゃなくって、カッコいいところなんだ。
うん、見たい、見たい!」
マリンが生真面目な顔で俺の肩をトントンした。
「ねえねえ、そんなことより、パメラとアルテってどんな関係なの?」
「キタ!呼ばれた理由が俺じゃなく、パメラのことだった!」
「まあまあ、いいじゃない?
アタシたち、今はキミと九郎とパメラに興味津々なんだ。」
マリンが俺の肩をじっとりと撫でると、
ウィローはニッコリ笑って俺をロックオンした。
「ていうか、アタシたちより強いヤツ、有能なヤツって言ったら、
周りにその三人しかいないワケ。」
「えっと、悪いな。ベイビーフェイスを助けられなくって。
仲、良かったんだろ?」
ウィローは一瞬、キョトンとしてから苦笑いした。
「えっ?いや、まったく気にしてないよ。
もう別れていたし、アイツ等、弱っちかったからね~。
アイツらは先輩でさ、駆け出しの頃は色々と面倒を見てもらったんだ。
若くて、有望で、カッコよかったから好きだったんだけどね。
そのうち、アイツら慢心しちゃって、努力しないようになっちゃって、
いつの間にか、アタシたちの方が強くなっていたんだ。
なのに、自分たちは強いって勘違いしたままだったんだよね。
そのくせ、ゴブリンの大群に襲われた時だって、
村人を避難させるって一番に逃げ出したしね。」
「そうなんだ。」
「だから、全然、気にしてないんだよ。
それより、パメラのことを教えてよ。」
「12歳のガキだけど。」
「青田買いって言葉があるでしょ。」
「・・・パメラはどこかの貴族の御曹司で、アルテはその護衛だよ。
グラディシュカ修道院に行く途中だったんだ。
アルテは忠誠心に溢れているから、恋人になるなんてそんなことは絶対にないよ。」
「ふ~ん、貴族の御曹司で、恋人はいないと。
ふ~ん、そうなんだ。」
言葉は平板だったが、マリンとウィローの瞳はギラリと光った。
「じゃあ、九郎は?」
「九郎は、恋人はいないけど、好きなタイプがかなり年下だから、
アンタたちは対象外で間違いないね。」
「ああ~、なるほどね。
なんで、サポネとかの後ろをついて回っているのかなって思ってた。」
「ふ~ん、嫌悪感とかないんだね。」
「まあね、別に何かしたワケじゃないみたいだし。
じゃあ、アンタは?」
「最後にキタ!お情けの問いかけ、キタ!」
自虐的に反応すると、マリンが少し慌てていた。
「いや、アンタってもうハーレム作ってんじゃないの?
花梨、アルテ、グレイスの三人。」
「ないない!・・・そう見えるの?」
「恋人を一人だけに絞っていないのは分かるけど。
その3人と仲良さそうで、どうかな~って話してた。
だから、最後に訊いたんだよ?」
「まだ、ないから!
ねえねえ、俺も教えてほしいんだ?」
「まあ、言ってごらんよ。」
「スパイス・ガールズって奇跡だと思っていてさ、
何故かって言うと、人、エルフ、ドワーフ、犬人、猫人と揃っていてさ、
そのうえ、金ランクと強くて、さらにさらに、みんなすっごく綺麗だ。
なんか、パーティ誕生秘話とかあるの?」
「ふっふっふ。私たちのこと、よくわかっているじゃないか!」
マリンとウィローがご機嫌になった!ちょろい!
「私とウィローはカデックの衛兵の娘なんだ。
ブルーメ、アメリア、ブレンダ、ついでにベルントは王都から来たんだ。
その理由は、・・・まあ、本人に聞いてよ。
ブルーメたちはカデックで、女の新メンバーを探していてね、
私たちは男女混合のパーティだったんだけど、
色恋ざたでバラバラになったから面倒になって抜けて、
ブルーメたちのパーティに入ったんだ。」
「そうなんだ。ふたり、俺のハーレムに入らない?」
「「アハハハハハハ!!」」
せいぜい冗談っぽく言ってみたら二人ともに爆笑された!
「悲しいくらい、ウケた!」
爆笑が終わってから、一呼吸おいて、マリンが俺を見た。
「はぁ、アンタがスパイス・ガールズのメンバーに入ったら考えるよ。」
「ガールズじゃなくなっちゃうじゃん!
う~ん、九郎と花梨と別れるのは無しだな。ごめん。」
「おいおい、口説こうとした女より、仲間を優先するってどうなのよ?」
「最低だな、台無しだよ。」
「あ~あ、ウィローと二人、ハーレムメンバーになろうかなって思ったのにな。」
「ああ、なくなっちゃったな。」
息ぴったりに、残念そうにうんうんと肯くマリンとウィロー。
「ちょっと、待って。5人全員、ハーレムに入ってくれるなら、
俺、スパイス・ガールズに入る!」
キリっといい顔して宣言してやった!
「「うわあ、クズだ!!」」
「「「アハハハハハハ!!!」」」
楽しくなってきて、俺も爆笑してしまった。
ウィローがワザとらしく色っぽい表情を作った。
「うん、もう少しおっきくなったらね、ぼうや。」
「むき~!俺はもう16歳だ!」
「「「アハハハハハハ!!!」」」
3人で笑いあった後、色々と教えてもらった。
・ダンジョンより、外の魔物の魔石の方が価値が高い
・ゴブリンキングは1万匹以上のゴブリンを率いるのが普通だが、
セベシュ村を襲ったのはせいぜい4千。理由は不明。
・マンティコアは森の奥の奥にいて、この辺りに来たことはない。
ていうか、見たことあるヤツなんていない。
・ハイオーガ、トールトレント、サーベルタイガーなど、
森の奥にいる奴らがこの辺りに出没するようになった。
・ギルド長がバッドデイと組んだから、スパイス・ガールズはここを拠点にした。
・人、犬人、猫人はどこの国にもいるが、エルフとドワーフはあんまりいない。
エルフは北の森の奥に国が、ドワーフは東北の山脈に国がある。
ここまでは割と真面目に話していたのだが、
もう1本キープしていたワインをこっそりと開けて、
三人で回し飲みしたら、みんな超ご機嫌になってしまって、
・人だけが、犬人、猫人、エルフ、ドワーフと子どもをつくれる。
・例えば、犬人ハーフは人か、犬人と子どもを作れて、
犬人との子どもは犬人となる。
・ハーレムメンバーを平等に扱い、みんなを満足させるため、主は体力が必要。
・ハーレムを作った奴は狙われるので、武力か権力が必要。
とか、とてもタメになることを教えてもらったし、
もっと下品なことも教えてもらったが、内緒だ。
バーベキュー大会が終わりに近づき、三々五々帰っていく。
ほろ酔いのウィローにぎゅっと腕を抱かれ、耳元で囁かれた。
「ねえ、ハーレムに入るかどうか、まずは相性を試してみない?」
「相性って大事だよね~。」
反対側からはやっぱりほろ酔いのマリンが囁いた。
気持ちよく酔っている俺はうんうんと肯くと、
二人と腕を組んで、村の外れに向かって歩きだした。
やったよ!
大人の階段、登っちゃうよ!
「「「「三蔵。」」」」
右から、後ろから、左から絶対零度の声がかけられた。
花梨、パメラとアルテ、グレイスだ!
4人の俺を見る目が怖い。超怖い!
酔いが一気に醒めちゃったよ!
マリンとウィローの二人はさっと俺の腕を放してしまった。
「あれ~?なんで三蔵がいるんだろ~?おかしいな~。」
「ほんとだ~。マリン、帰ろう~。」
セリフを棒読みしながら、マリンとウィローが腕を組んで、
文字通りしっぽを巻いて逃げ出した!
「・・・三蔵、みんなにダメって言いながら、ワインをくすねていたんだ?」
「・・・ずいぶんとお楽しみでしたね。」
「・・・何を話していたのか、おしえてもらおうか?」
「・・・お部屋に帰って、ゆっくりとね。」
「はい。」
俺はドナドナされていった。
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