第43話 温泉トーク
オポチュニティズとボリス、村長たちとスパイス・ガールズに
お風呂をプレゼントしたら、
最高に気持ちよかったらしく、凄く喜んでいた。
奴らがお風呂を上がった後、俺と九郎はたった二人で大きな湯船につかっていた。
この温泉旅館に残念ながら露天風呂はないが、
大きな湯船、冷水風呂、サウナがあった。
「この大きな湯船に毎日入れるって最高だな。
それに、こんなに毎日、楽しいのはホント、九郎のお陰だ。ありがとう。」
「みんなの協力あってこそだよ。」
「うん。でもさ、パメラも来たらよかったのにな。」
お風呂に一緒に入ろうって誘ったら、
なぜか、パメラの顔は真っ赤になって、
スラティナ村の人たちに回復魔法を唱えすぎて疲れたといって、
部屋に籠ってしまったのだ。
「うん。でも、パメラが来たら鼻血が出そう。」
九郎が真顔で話していた。
「うん、やっぱり一緒に入るのは止めておこうな。」
「・・・でもさ、ご褒美で1回くらい、いいんじゃない?」
「アルテに殺されてもいいんならな。」
「ホントだ、・・・1度だけじゃあ、命は懸けたくないな・・・」
九郎は残念そうに首を振った。
「そういや、三蔵のハーレム計画どうなっているの?
花梨、アルテ、グレイスとはどんなカンジ?」
「花梨は同い年だから、そもそもボールだな。
アルテとグレイスはどストライクだけど、二人とも、最優先の対象がいるだろ?
イイ感じにはほど遠いよ。
まあ、これまで女子と付き合ったことないから、
どうやったらいいか分からないんだよね~。」
「なんだかんだと、三蔵がかっこよく敵をやっつけているから、
三人ともイケるんじゃないかな?」
「え~、本当かよ?」
「さあ、ロリ好きのボクに大人の女性心理が分かるワケないだろ?」
そのいい加減な答えに俺は滑ってお風呂に沈んでしまった。
「大げさだな~。あと、スパイス・ガールズとか、好みじゃないの?」
「ああ、全員どストライクだ。フルスイングするぜっ!」
「くくく!でも、恋愛ビギナーがいきなり、7人を堕としに行くの?
しかも、スパイス・ガールズはベイビーフェイスと仲良かったんだよね?」
「それな!訊きたいけど、訊けない!
だって、俺の傍にはいつも誰かがいるもの!」
「それはしょうがないよね!
でも気に入っているんだったら、がんばって口説いてみてよ。
この世界でもハーレムは珍しいみたいだから、気を付けて口説いてね。」
「だよな~。九郎の方はどうなの?」
ギロリと九郎の目が厳しくなった。
「パメラがさぁ、三蔵のことを気に入っているみたいなんだよね。」
「・・・それはスマン?」
「そう言いながら、すっごい嬉しそうだよ。」
「ええ、マジ?」
俺はニヤけているらしい顔をグネグネした。
オカシイ!
俺はロリではないし、もちろん、女好きなのに!
パメラ。
恐ろしい子!
「まあ、ボクはノー・タッチだからね、笑顔を見られればいいのさ。」
「おう!業が深いな・・・
そういや、セベシュ村とスラティナ村の子どもはどうなの?」
「うん、ご飯をあんまり食べてないこともあるのか、
パメラ、サポネ、ミレーネほど可愛い子はいないね。」
「まあ、食わしこんで、子どもたちの美貌と九郎への好感度を上げていこうぜ!」
「だね!」
一方、女風呂では、
花梨、アルテ、グレイスが大きな湯船に浸かっていた。
アルテはパメラと一緒にいるって聞かなかったのだが、
パメラの部屋は鍵を閉めるからといって、花梨に無理やり連れて来られたのだ。
「ふぅ、大きなお風呂って最高ですね~。」
「だね、だね!
お風呂ではさぁ、開放的な気分になるじゃん?
レッツ!恋バナ!
アルテは恋人とかいなかったの?」
「いないな!私はパメラ様一筋だ。」
なぜか、アルテは得意げに胸を逸らせた。
「知ってる。じゃあ、これまで好きになった人はどんな人?」
「それは・・・父だな!強くて、優しかったんだ。」
「ほうほう!ということは、アルテより強くないとダメってこと?」
「そうだな・・・うん、そうだ。弱い奴はダメだな。」
「じゃあ、三蔵しかいないじゃん!
他には・・・いっつも、九郎のアイテムに魅了されてんじゃん!
強くないけど、九郎もいいんじゃない?」
「九郎は無しだ!パメラ様を邪な目で見ている!」
アルテはばっさりと切り捨てた。
「うう~ん、触りはしないんだけどね。
じゃあ、三蔵は?
なんだかんだと、アルテも守ろうとしているじゃん?
ゴブリンキングの魔石をアルテの盾の強化に使ったし。」
「三蔵が?私を守る?」
アルテは真剣に考えこんだ。
「いやいやいや、アイツより私の方が強いだろ?
だからないぞ!ないない!
・・・まあ、なんだ、盾を強化してくれたことには感謝しているが・・・」
全力で否定したあと、フォローするアルテを見て、
花梨はにやにやと笑っていた。
二人を見比べながら、グレイスが声を出した。
「じゃあ、花梨はどうなの?」
「アッシはねえ、外見だけで言ったら、クリストフとかは好みなんだけど・・・
なんか、弱そうじゃん?
やっぱり、濃いイケメンで、背が高くて、細マッチョで、
包容力があって、アッシより強くて、アッシだけに優しくて、金持ちで、
ハーレムを認めてくれる男!」
「「いない、いない。」」
アルテとグレイスは、いつかの三蔵と九郎と同じリアクションをしていた。
「いるじゃん。きっと、どこかでアッシが来るのを待っているじゃん!」
うっとりと夢を語る花梨に、グレイスはやっぱり目の前の男を並べた。
「貴女こそ、三蔵さんと九郎さんの二人とすっごく仲良しですよね?
どうなんです?」
「サンキュー?ないわ~。
三蔵は、まあイケメンだし、強いし、優しいけど、背がねえ~。
あと24センチ高くなったら考えるわ。
九郎は家とか、車とか、アイテムは最高じゃん!
でも、やっぱり弱いからね。
それに、三蔵は年上好き、九郎は年下好きなんよ。
二人とも、同い年には興味ないってふざけんな!じゃん!
うん、これからも二人とも義兄弟として仲良くやっていくわ。
そういう、グレイスはどうなの?
新しい恋は?
その大きなオッパイがあれば、誰でも堕とせると思うケド。」
花梨はいつもより早口で答えたあと、話をグレイスに振った。
「そうですね、やっぱり守ってくれたらグラッと来ちゃいますね。
うふふ。二人とも、ぼんやりしていると私が一番に恋人ができちゃいますよ。」
グレイスの浮かべた表情を見て、花梨は敗北感を覚えた。
うわぁ、イロッペぇ~。
「ミレーネ、サポネ、二人は好きな男の子、いるの?」
「サニィとクロニィ!」
「さんぞうとくろう!」
二人は元気よく、異口同音に叫び、花梨、アルテ、グレイスはほほ笑んだ。
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